第7話 初のミッションですわ!

 ギルドへ逆戻りしまして、依頼掲示板をチェックいたします。


「ありますわね。牡蠣カキを養殖している島に現れる、凶悪なモンスターの討伐依頼、でしてよ」


 難易度が低いミッションなのに、討伐率も低いですわね。大した量は、取り戻せていません。

 大型のモンスターに阻まれているそうで、逃げ帰っている冒険者も多いですわ。海賊職の人々も、大半がやられているそうですわね。


「魔物は夜に襲ってくるっていうから、先にあれこれと用意してしまおう」

「ですわね!」


 まずは、腹ごなしが先ですわ。


「チャーハン、最高ですわ!」


 フラッと入った料理店が最高だったので、オイスターは後日まで踏ん張ります。


 宿も兼営されているそうで、ここに拠点を構えることにしました。


 炭水化物が恋しかったところに、このエビチャーハンですのよ。

 チャカチャカと鍋を降る音が、厨房からリズミカルに聞こえてきます。犯罪的な魅力を出していますわねぇ。


「すごいよく食べるね。細いのに」

「昔は太っていましたわ」


 わたくしは、三皿目を食べ終えましたわ。ステイサメさんは、まだ一皿目です。


「そうなの? 今のルカンを見ていると、想像できないんだけど?」

「ええ。なぜか一五になったら急に背が高くなって、このように」

「成長期だったのかもね」


 オイスター系の料理は、依頼が終わったら食べようとなりました。


「夜も開いていますかしら、このお店? 病みつきになりそうですわ」

「また寄ろう。明るいうちに、洋服も手に入れようか。スリーサイズを確認しよう、ルカン」


 仕立て屋さんで、サイズを正確に測ってもらいますわ。幼少期のサイズしか覚えていませんでしたから。


「身長は一六七センチで、上から九一・五六・八八でしたわ」


 えらい、ヤセてましてよ。

 幼少期はお屋敷の仕事でストレス太りだったので、ちゃんと測ったことなかったですわ。

 ミグで一緒に遊んでいた悪ガキどもが今のわたくしを見ても、判別できかねるかも知れません。


「昔、どんなサイズだったの?」

「ウエストは、八八と九〇を行ったり来たりでしたわ」

「そんな状態でキミを乗せたら、ワタシは沈んでいたかもしれないね」


 固有スキル会得のおかげで、困った脂肪も解消されたのでしょう。


「ステイサメさんは?」

「一四五センチの、七二・五五・八〇だよ」


 まごうことなき、幼女ですわね。


 普段着と寝間着の仕立てを、お願いします。


 お次は買い物ですわ。


「どうして太っていたの? ヤセたほうがキレイだよ?」


 歯ブラシやらの日用品を吟味しながら、ステイサメさんは聞いてきました。


「わたくしの美貌では、性的なイタズラをされそうになるからですわーっ!」


 ポーション系など、これから必要な品を買い込みました。


「以前、わたくしをお世話してくださったメイドさんに、義父が手を出していましたわ。義理の父は、色魔ですのよ」


 無抵抗に乱暴されるメイドさんを助けたくて、わたくしは奥方様に糾弾いたしましたの。


 それから、義理の両親がわたくしに向ける態度がキツくなりましたわ。


 件のメイドさんもクビになりまして。


 どうしようもない人たちでしたわー。


「そのメイドさんは、どうしたの?」

「冒険者に戻られたそうですわ」


 うまく活躍なさっていればよろしんですが。


 お洋服が、でき上がったみたいですわ。


「おお、デニム地のミニスカートかっこよくありませんかしら?」


 ナノミニスカートを作っていただきました。オシャレで動きやすいチョイスですこと。

 撥水性が高く、水着としても機能するとか最高ですわね。


 上は「フロントノット」にしましたわ。Tシャツを胸の下で縛って、オヘソを出すスタイルですことよ。

 Tシャツのパフスリーブも、カワイイですわね! 「浮遊」の魔法がかかっていて、救命胴衣の代わりになりますのよ。


「食べたあとだから、お腹がちょっとポコっと出ちゃってるね」

「動いているうちに凹んできますわ」


 ステイサメさんは、ショートパンツです。ラッシュガードと、よく合っていますわ。


 宿に荷物を置いて、いざミッションに出発ですわ!


 わたくしはステイサメさんと一緒に、海へと潜ります。目指すは、モンスターの出るという孤島のカキ養殖場ですわ。


 こういうとき、船を必要としない【サメ使い】は便利ですわね。


「……!?」


 やたらでかいモンスターがいましたわ!


「クラーケンの幼体だ!」


 魔物・クラーケンといったら、B級の冒険者が束になってようやく倒せるという怪物ですわ。

 そんな相手が、幼体とはいえこの海に棲んでいるとは。


「ここのカキはおいしいからね。根城にしちゃったんだね。でも、こんな浅い海にどうして」


 本来なら、もっと海底深くで眠っているそうですわ。たまに、船や大型の魚を襲うレベルだそうで。


「やはり、海底洞窟に異変があるのでしょうね?」

「だろうね。ミッションをいっぱいこなして、探索を急ごう」

「ですわ!」

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