第4話 アイテムは、装備しなければ役に立ちませんわ!
ルクレツィアからルカンと名前を変えてから、最初の朝を迎えました。
ステイサムさんの仮拠点から、最寄りの街へ移動することになりましたわ。
その前に、ある程度装備品が必要ですとのこと。
「主ルカン、好きなものを持っていって」
ステイサメさんに連れてこられたのは、小さな地下洞窟ですわ。崖の下にあり、満潮になると沈んでしまうそうですの。クマが冬眠するような
そこには、数々の金銀、アクセサリなどのアイテムがありましたわ。
「これは、なんですの?」
「ワタシは普段、沈没船などを住処にしていて、こういった使えそうなアイテムを溜め込む習性がある」
このエリアは割と、波に打ち上げられるアイテムというのは多いそうでして。
死んだ冒険者のものなのか、あるいは旅先で落としたか不用品か。実態は定かではありません。まあ、こんなところに打ち捨てられているなら、わたくしたちで有効活用いたした方がよろしいでしょう。
「ここをネグラにして、アイテムを集めていたと」
「なんか、集める必要がある予感がしていた。また、サメの勇者が現れるんじゃないかという」
ネコみたいですわね。地震を予知するといいますし。
「これも、あなたのご趣味でいらして?」
わたくし、貝殻ビキニを見つけてしまいましてよ。大胆ですわぁ。
「こ、これは!」
ステイサメさんが、ビキニをひったくりました。
あらあ。ステイサメさんも、隅に置けませんこと。まあ、女性ですから興味はおありなのでしょう。
「いただいてよろしくて?」
「うん。見た目の割に防御力は高いから、オススメだ。それと、【サメ使い】には特殊な効果があるよ。ビキニに着替えてみて」
わたくしは、普段の水着から貝殻ビキニに変更しました。
「【ヤドカリ】って言ってごらん」
「ええ。ヤドカリ……おおーっ! なんですのこれーっ!」
白いパレオとローブで、上下が包まれましたわ。近くで見ると若干透けてらしているのも、芸が細かいですわねぇ。これなら、水着で街をうろついて奇異な目で見られる必要はありません。
「気に入りました。防具はこれにしますわ」
「よかった」
あとは、換金できそうなものばかりですわね。
武器が欲しかったところですが、どれも装飾品ばかりでしたわ。
ただひとつを除いて。
「……これ、いいですわね」
わたくしが手にしたのは、ステッキですわ。キャンディケインという種類でねじれたカラフルな意匠が特徴ですの。これはかわいいですわね。
「それ、仕込杖だよ」
「マジですの?」
「試しに、先端を壁に向けて念じてごらん」
「やってみますわあああああっ!?」
特に力を入れずに、先端の金属を壁に向けました。そしたら、キャンディケインの模様が伸びたではありませんのーっ! 剣ではなく、銃のようですわ!
「これは、あれですわ! 伝説の海賊用の銃ですわーっ! きっと『左手に仕込んでいた』という、心で撃つ銃でしてよーっ!」
パチュンパチュンと、【ウォーターガン】のスキルを放ちます。ええ、これは魔法を撃つ重火器で間違いないようですわね。
いいものを手に入れましたわ!
「興奮しているところ悪いんだけど、本当にそれでいいの?」
「ええ。これ以外にありませんわ!」
曲がっている方をで杖にして利用し、尖った先端は攻撃特化の銃にして使います。
「気に入ったみたいなら、さっそく行こうか」
ステイサメさんが、サメの姿になりました。
「ワタシの背中に乗って」
「よろしくて?」
「キミのようなやせっぽち、乗せたうちに入らないよ」
「わたくし結構、肉付きはよろしくてよ」
上から九〇、五七、八八はありましてよ。
「ワタシはキミより重いイカリを、くわえて持って帰ってきたことだってあるんだよ? いいから乗りなさいな」
「ではお言葉に甘えて」
「じゃあ、出航だよ」
こうして、わたくしの大海原を目指す旅は、静かに幕を開けたのですわ!
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