6-2.sm9というニコニコ動画の伝説の動画がありましてね
No.5815陰陽師
No.4852雪化粧
No.6490ビオトープ
「”木造の古い校舎はよく燃えるだろうな”」
「ちょっと!」
「ん?」
「なんて歌うたってんのよ?」
「え?」
「は? 無意識?」
「え、えっとね『ビオトープ』って曲で――」
「そういうことが聞きたいんじゃなくて!」
「じゃあ、なに?」
「今すごい歌詞じゃなかった?」
「あれ? そうだっけ?」
「木造だからよく燃えるって」
「あー、そういえばそんな歌詞だったね」
「はあ。なんでそんなかわいい顔からそんなえぐい歌詞が出てくるのよ」
「好きな曲歌ってるだけだし」
「というか、よくもまあ勉強中にそんなにしっかり歌えるね」
「ん-。たぶん勉強できてないんだと思うよ?」
「はあ?」
「そんな歌いながらなんて勉強できないよー」
「ちょっと期待したあたしがばかだった」
「えー。なんかバカにされてる気がするー」
「そんなことより美樹さ、そんな曲聞いてたっけ? あんまり趣味と違う気がするんだけど」
「ん-、けっこうわたし何でも聞くから」
「ちょっと、プレイリスト見てもいい?」
「いいけど、ゆきちゃんのも見して」
「えー」
「いいじゃん! けちー」
「うそうそ。はい、じゃあ交換してみよっか」
「うん」
「あー、なつかしー。これ小学生のときに流行ってたよねー」
「ねえ、美樹?」
「ん?」
「これ何?」
「あー、『レッツゴー! 陰陽師』だね」
「いやいやいや。なんなのこれ!」
「何って言われても」
「え、この曲好きなの? てか曲なのこれ?」
「えー、別に全然好きじゃないけど」
「はあ!? じゃあなんでこんなのがリストにいるのよ!」
「わかんないけど、わかんない」
「何もわかんないじゃない! なんかさっきまでの電波ソングってやつ? までは曲っちゃあ曲だと思ったけど、これはなんかもう、曲ですらなくない?」
「そんなこと言われても、わたしも知らないもん」
「はあ。……。天然ちゃんというか不思議ちゃんというか。通り越してるよね?」
「でも同じ世代の人ならこれ聞いてると思うよ?」
「あたしが! 現に! 同い年のあたしが! 知らないんだって!」
「ゆきちゃんが知らないだけだと思うよ?」
「はあ」
「……。ふふふーん、ふんふんふんふーん」
「え、あたしのリストに暴れん坊将軍なんて入ってないよね!?」
「知らないけど」
「もー、美樹としゃべってると疲れる」
「大丈夫? お茶飲む?」
「……。だいじょうぶ」
「そっか」
「……」
「……」
「ちょっと! 静かにならないでよ! せっかく忘れてたのに!」
「なにを?」
「錦戸君に告白したk『ぐーっ』……。美樹?」
「お腹すいちゃった。ごはん食べに行こ?」
ピンコーン!
「あ、LINE!」
「あ! 錦戸君?」
「あー……、うん……」
「どうだったどうだった? おめでとー?」
「ん-。おあずけかなー」
「なにを?」
「あたし、ダメだって」
「ダメ?」
「ふられちゃった」
「えー! 錦戸君見る目ないね! ゆきちゃん、こんなにお母さんなのに!」
「ぷっ、ふふっ」
「どうしたの? 壊れちゃった?」
「あっははははは! もー、やめよ」
「どうしたの? ゆきちゃん?」
「あたしには美樹がいるし。いっかって」
「わたしでいいの?」
「うん。美樹とあたしで、彼氏いないどうし仲よくしよ?」
「え? わたし彼氏いるよ?」
「はあ!?」
「あれ? 言ってなかったっけ?」
「ちょっと! 美樹! いつから!」
「えー? 去年のー、夏?」
「はああああ!? あんた、もう1年半くらい前じゃない! なんで言ってくれなかったの!」
「言ったと思ってて」
「もー」
「ごめんね」
「最初に言いたかったのに」
「え?」
「なんで、こんな、遅くに。……。美樹?」
「なあに?」
「おめでと」
「えー、もっと早く言ってよー」
「あんたが今まで言ってなかったのが悪いんでしょー!」
「……。でもよかった。ゆきちゃん元気になって」
「はあ?」
「さっき、『ダメだった』ってなったとき、泣きそうだったから」
「……」
「あ、雪」
「え?」
「”雪化粧美しく君の頬を染めていく”」
「なにそれ?」
「あ! ”楽しかった恋もまた次へと締めくくる”」
「……」
「GRANRODEOってグループのね、『Snow Pallet』」
「……」
「いい曲だから聞いてみて!」
「美樹が歌ってよ」
「歌ったじゃん」
「もっと」
「もっと? よくばりさんだね? ”はしゃぎ過ぎた足跡も今は夢の中”」
「……。優しいかよ」
「やさしいでーす!」
「じゃあ、今日は慰労会ね! 優しい美樹がおごって!」
「それとこれとは話が違いまーす!」
「もー、けち」
「あ、ちょっと待って! あ、もしもし、健君?」
「は?」
「え? 今? 今からごはん。え? 一緒に食べる? いいよー。はーい。じゃあ、いつものファミレスで。ばいばーい」
「ねえ?」
「ん?」
「彼氏来るの?」
「え? ゆきちゃん超能力者?」
「全部口に出てたから!」
「健君すごい楽しい人だから、だいじょーぶだよ?」
「そういう心配してないんだけど。ま、いっか。ちゃんと紹介しなさいよ?」
「あ、あげないよ!?」
「とらないわよ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます