第26話 道具を売っているようです
膝をぶつけつつ、俺は町に戻る。
俺は、始まりの町にいると、ミラがいる。
ミラがエプロン姿で、あれは、アイテムショップの前にいて人を集めてる。
「みなさん。あなたの大事なお時間無駄にしません!お聞きください。聞くだけで構いません。こちらにあるのは入荷したばかりの『リゼ』が調合を重ね完成させたアイテムでございます!いかがでしょうか?」
ミラは、後ろにある箱へと手の平を出すと、紹介していく。
「みなさま。ご存じの『リゼ』でございます!」
ざわざわする。
「あの『リゼ?』へー。」
「『リゼ』って、あの有名で丁寧に仕事をするって人よね?一つ欲しいわ!」
「『リゼ』の新製品だと?買わないと!家宝にしたい!」
ミラはドンドンと売っていく。
箱を運ぶのは大変そうだ。
俺は、箱運びへと行ってしまう。
「大丈夫か?ミラ」
「あ、ユウタさん。運ぶの手伝ってくれるんですか?」
「あ、ああ。重そうだし」
「倍に運んでくださると尚いいですね」
俺はハッとする。
「………えと、タダ働きはせぬぞ……」
俺はつい、してしまいそうになり言う。
ミラは早口で言う。
「では、少し考えますね。お客様がお待ちなので今はこちらが優先です」
俺は、箱を運んで運んでいく。
全て完売した。
俺は言う。
「いやー。ミラって何でもするんだな」
ミラは暗い目をする。
「そうしないと生活出来なかったので」
「お、おう」
にしても、完売か。
「よく完売するな」
「作られた方が長年の長年に自らを鍛え上げた結果ですね」
「リゼ?だっけ」
「調合をして、儲けるという考え方のない人で、たまにこうして売ってるんです。良い商品でもアピールをしないと全く売れませんので」
なるほど………良くてもアピールしねーとだめなのか。
「本人はどうしてアピールしないんだ?」
「そもそもそれを考える方じゃないんです。段々と貧しくなって、悲しいですよね。自らを鍛え上げた代わりに誰かとのつながりを失うなんて」
「そんなになのか?」
「こちらにいますよ。このアイテムショップに」
美少女フィギュアのあったとこか。
「へー。」
「リゼさんがもっと目だちたがりならよかったんですよね。あなたもそういう経験ありませんか?」
「ねーよ。俺すげーの作れねーし」
「でも、何となく後悔はありますよね?何かそんな風に見えます」
俺は図星でもある。
「俺は、人と上手くいかないから。関わり合いにならない方が相手のためなんだよ」
「…そうですか。では!このかわいいミラがあなたへ何かしらしましょう」
え、家賃減額とか!?
わくわく
「頑張りましたね」
頭をなでなでされる。
いや、これは。これでいいけど!さ!
「な、」
「よしよーしです」
頭を撫でられる。
「待て待てまて!これはいくら何でも家賃減額とかだろ?」
ミラは目が冷たくなる。
「世の中なめてますか?」
「いや!そっちこそ撫でてとか!」
「家を貸している私に文句ですか?今すぐ出ていっても」
「ぐう!」
「なでなでです」
ぐう!ぐう!くう!
ミラ…………………。
「だめだろ!これは…」
「それなら夜ごはん今日は何でも作りますから」
「ミラ、何作るんだ?」
「モヤシを!」
「モヤシのなに?」
「モヤシ炒め作ります」
「お、おう」
____________
その後、モヤシ炒めを食べる。
「うまっ」
俺はバクバク食べる。この世界の最初の手料理はモヤシ炒めだった。
ミラは笑う。
「おいしいですか?」
「うまふぃ!」
「よかったです」
そこへ他の黒ローブも帰ってきたようで悔しげな感じでのぞいてる。
俺はビクッとする。
ミラは笑顔で言う。
「おかえりなさい。みなさん。みなさんもどうぞお食べください」
ミラの手料理を全員残さず食べた。
「うまい…ミラ様の手料理……」
「ミラ様おいしいです!」
「ミラ様…………うう……」
ミラはエプロン姿でニコッとする。
「みなさんが喜んでいられてうれしいです!」
全員がミラにいやされていた。
俺もそうだ。
うまかった。
「ごちそうさまでした」
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