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「とにかく、頼んだぞ。お礼に今度、ジュース一本奢るから!」


そう言うと、和樹は忙しない様子で教室を出ていった。


「えぇ…」


お礼が、ジュース一本とか、どう考えたって、割に合わなすぎる。


彼は人当たりの良い性格で、友人も多い人間だが、私からすれば、少々粗暴な面が目立つのではないか、とも思う。


まぁ、そんな彼だからこそ、同じ男として私と接してくれてるのだろうから、感謝こそすれ、憎み切れないのが本音ではあるが。


「…律儀に約束を守ってやる義理はないし、そのまま帰ったって良いよね」


誰にともなく呟く。


今日は生憎、傘を持ってきていない。


それに、売春女の真偽にも、興味はない。


下世話な都市伝説を調べて、無意味な雨に濡れるぐらいなら、とっとと帰って、家で雨音を聞きながら、香ばしい珈琲を飲んでいた方が、よっぽど有意義な筈だ。

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