ルート分岐 if・Hルート バレンタインデーのあと
※前置き。高校生時分のお話。
前回更新分『はじめてのバレンタイン』から分岐するifルート。いわゆるH(ハーレム)ルートです。なんでも許せる方向け。苦手な方は読み飛ばしちゃってください。
◇
灯花という、正式にお付き合いしている彼女がいるにも関わらず。むつ姉とイチャイチャしながらチョコレートクッキーを食べてしまった……
直接触れはしないけど、口から口へ受け渡すギリギリのプレイで。(無論、おっぱいは当たっていた)
しかも結局、全部食べた。
唇にはクッキー以外の甘い感触が残っているような気がして、むつ姉が帰ったあともぼー……っと放心状態。
ずるいよ。ずるい。なんだアレ。
あんな渡し方されたら、忘れられるわけないじゃん。
「どうしよ……塾が終ったら、灯花が来るのに」
てゆーか、既に外が薄暗いんですが。
慌てて掃除機をかけようと、物置替わりにしている収納を開ける。
すると、中から「わひゃあ!」と声がして、妖精さん――ならぬ、天使が転がりでてきた。
「いったたた……あ。ゆきくん……」
「え? あれ? 灯花?」
なんでウチいるの。
視線で通じたのか、灯花はなんとも気まずそうに目を逸らす。
「あ、あはは……あのね、せっかくのバレンタインだからサプライズしようと思って、合い鍵で入って、カーテンの裏に隠れてたの。それで、どさくさに紛れてここへ逃げ込んだんだけど……見つかっちゃったね」
「え。つまり……?」
「見ちゃった……★」
――終わった。
いくらなんでもアレはやばい。それくらい俺にもわかる。
いやでも、あの状態のむつ姉からクッキーを貰わない選択肢はないし、口で受け取っちゃったのは、ちょっとやりすぎ感があるけどだがしかし……!
やべぇ。返す言葉が出てこない。
だらだらと冷や汗が頬を伝うなか、灯花はぽそっと呟く。
「でもまぁ、六美さんならしょうがないよねぇ……?」
「え?」
「だって、幼馴染のお姉さんなんでしょう? ずっと前からゆきくんのことを好きな――しかも、ゆきくんだって六美さんのことが好き。もちろん一番は私だって信じているけど、もし私が六美さんと同じ立場なら、『ちょっとくらい許して?』って思っちゃうかも」
もじもじと指を絡ませながら、甘えるように、誘うように、灯花が囁きかける。
「六美さんなら、アリなんじゃない?」
な に が。
と反論しつつも言葉にできない。
「最近、涼子ちゃんに聞いたんだ。六美さん、清矢さんと別れたらしいの。喧嘩とかじゃなくて、円満に。詳しい事情は知らないけど、やっぱり六美の中に、ゆきくんへの想いとか、清矢さんに対する申し訳なさとかがあったのかなぁ? でも、今はベストフレンドらしいよ。いわゆる、男女の親友ってやつ」
「そ、そうだったの……?」
別れたのは、初耳だ……
「それでね、涼子ちゃん荒ぶってるの。『家(兄貴宅)に帰っても六美さんがいないんですけどぉ! どゆこと!? あたしのおっぱいは!?』って」
「あいつも大概失礼だな……」
「そこで! 私にいい考えがあるの!」
にぱ! と愛らしく微笑んでみせるが、この話の流れで『いい考え』なわけがない。もう直感的にわかる。
「六美さんも……恋人にしちゃおうよ?」
「…………」
それ。『彼女側』のセリフじゃなくね?
悪魔の囁きだよ。
「ゆきくんさえいいなら、私はアリだと思うの。ほら、最近NTRとかも流行ってるし……?」
「NTRの意味、だいぶ違うと思うけど……?」
「私、ゆきくんが私以外の人にどんな表情を見せるのか、ちょっと気になるっていうか……どんなゆきくんでも愛したいっていうか……」
んああ! いちいちもじもじする灯花が可愛い! 逆らえない!!
要は、六美さんくらい愛に溢れた人なら、アリってことらしいんだけど……
むつ姉的には、どうなんだろう?
そんな、愛人みたいなポジション……
しかし、そこで「灯花がいいなら、いいけど……」と言葉を濁したのがよくなかったらしい。
バレンタインデー当日。夜。
荻野伝手に連絡先を聞いたのか、灯花がむつ姉を招待しだした。
急にお呼ばれしたむつ姉は疑問符を頭に浮かべるが、かくかくしかじかと灯花に耳打ちをされて、顔を真っ赤に染める。
「ウチで、チョコレートフォンデュしましょう! 六美さんも、一緒に!」
「え。うそ……ゆっきぃ。そんな……イイの?」
「 な に が? 」
先程の、口移しでクッキーを食べたときの熱がまだ燻っているかのような、熱い瞳のむつ姉。てゆーか、チョコフォンデュって、そんな顔を赤くするようなものだったか?
「これからは、六美さんも一緒に、た~くさん。ゆきくんと三人で蕩けましょうね……♪」
そうして、俺は。裸体の美女に囲まれて、指先やら身体のあちこちについたチョコレートをフォンデュでいただくこととなった。
「ふふっ。ゆっきぃ、くすぐったいよぉ……!」
「あ~ん、ゆきくん。今度はこっちです~! こっち舐めて♡」
……色々、思うところはあるけれど。
罪悪感は、理性と共に吹き飛んだ。
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