番外編if おっぱいの大きい幼馴染のお姉ちゃんが朝に起こしてくれたなら

 ※前置き

 ルート分岐〇〇編、その後のお話。本編未読の方は、ネタバレ防止のため本編および〇〇編②までをお読みになったあとに読むことをオススメします。

  

  ◇


 薄っすらと、遮光カーテンの隙間から陽光のさす月曜日。

 俺は、心地の良かったノンレム睡眠に後ろ髪を引かれるような、微睡み中で目を覚ます。


(ああ、学校……行きたくねぇぇ……)


 月曜なんて、永遠にこなければいいのに。

 人生、誰だってそう思ったことが一度はあるんじゃなかろうか。

 ちなみに、俺は毎週、思ってる。


 しかし、鬱々としたその耳に、ふとあたたかい声音が響いて。


「起きて、ゆっきぃ」


 俺は、甘えるように返事した。


「ん……あと5分……」


「もぉ~! そんなワガママ言って、二度寝しちゃうと〜……襲っちゃうよ?」


 ちゅう、と優しく唇を合わせてくるのは、最近になって正式にお付き合いすることになった、幼馴染の年上の従姉――むつ姉だ。


 今日は大学がある日なのだろう。

 艶のある長い黒髪を耳にかけ、私服の上にエプロンを纏って、にこりと微笑む。


「朝ごはん、できてるよ」


 言われると同時に、鼻に甘い卵焼きの匂いが届いた。

 むつ姉は、元から家が近いこともあってか、付き合い始めてからはこうして、足しげく朝食を作りに来てくれたりするのだ。


 そうして、朝に弱い俺を、こうして起こしてくれたりもして……

 ああもう、愛してる。


 キスをされた俺は、月曜の憂鬱なんてすでにどこかへ吹き飛んでいて、逆にギンギンに目が覚めていた。

 しかし、むつ姉はなんでもないふうに、部屋を出ていこうとする。


 俺は思わず、ベッドの中からむつ姉の腕を掴んだ。


「えっ。待って、むつ姉。続きは……?」


「学校から帰ってきたらね♡」


 そう言って、さっきまで俺の唇をそっと舐めていた舌をちろりと出して、むつ姉は部屋を去った。


 あれだけ人のことを煽っておいて、こうしてお預けをしたりしてくる大人の余裕……


(あぅ、むつ姉……好き……!)


 そんな想いを胸の内で滾らせて、俺は学校へ向かった。


 ◇


 その日も、バイトを終えて帰宅すると、シフトの被っていなかったむつ姉は、合い鍵を使ってリビングでくつろいでいるところだった。

 もはや半同棲状態。帰ってくると、家にむつ姉のいる毎日……控えめにいって最高が過ぎる。


「あ。おかえりゆっきぃ~。お邪魔してます♪ お夕飯は? 今からでもよければ、何か作ろうか?」


「いいよ。荻野とコンビニに寄ってきたから、お腹いっぱい」


 そんなことより。俺は一刻も早くむつ姉を抱きたい。


 邪な考えが表情から滲み出ていたのか、それとも、むつ姉も同じことを考えていたのか。むつ姉はソファから立ち上がると、その場で服を脱いで、下着姿のまま、俺の手を引いた。


「じゃあ……お風呂、入ろっか♡」


「うん」


 と、即答する。

 俺たちふたりの間に、もはや遠慮なんてものは不要だ。


 お風呂場で、むつ姉はホイップ状の泡にまみれた身体をスポンジ代わりにして、俺の身体を洗ってくれた。


「ふふっ。ゆっきぃ、気持ちいい……?」


 こんなん、我慢できるわけがない。そのまま風呂場で一回戦……


(幸せすぎる……!)


 二回戦は、もちろん自室でゆっくりと。

 思う存分愛しあった後のピロートークが、俺は好きだった。


 枕を並べて横向きに向かい合ったむつ姉が、ふわりと優しい、昔と変わらぬ笑みを浮かべる。


「ゆっきぃ……また明日も、学校がんばろうね?」


「うん」


 むつ姉がそう言うなら、面倒くさい学校も、行ってやらなくもないし。


「私、明日も二限からなの。大学へは、九時過ぎにこの家を出れば間に合うから。また、ゆっきぃの好きな甘い卵焼き作ってあげる」


「ありがとう、むつ姉」


「明日はちゃんと、目覚ましで起きてくるんだよ?」


 その言葉に、俺はきょとんと目を丸くした。


「え。明日も起こして……」


 そうしてまた、朝からキスして欲しいなぁ……なんて。


「もう〜! ゆっきぃ、高校生でしょう?」


 むぅ、と呆れたように頬を膨らませるむつ姉が、いつにも増してくそ可愛い……!


「でも……チューして欲しいって言うなら、起こしてあげなくもない……かな?」


 ちら、と伺う「どうしようかなぁ~♪」みたいな視線……

 あ。コレ、絶対明日もキスしてくれるやつだ。


(むつ姉……くっっっっそ可愛……!!!!)


 その瞬間。俺はむつ姉さえいれば、なんだってがんばれるって思った。

 憂鬱な月曜がなんだ。今日は、サイコーの月曜日だったよ。


 そうして、優しいキスに促されるように、俺は眠りに落ちていった。

 微睡の中で、ふと思う。


 ああ、明日も絶対寝坊しよう。

 ――意図的に。





※順番的には坂巻編か後日談が来て然るべきとは思いましたが、むつ姉欲に負けました。今後もふらふらと、思い立ったものから書くかもです。

 一応、並び順は最新の更新が一番下に来るようにしようと思っています。よろしくお願いします。

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