第3話 コウスケ、デカいんです

 下ネタじゃないですよ。コウスケ、デカいんです。


 僕を語る上で、個性というか、アイデンティティというか、自分の体型はかなり影響を及ぼしてきました。母親の胎内に居た時から成長著しい、出産予定日より2週間ほど早く出てきましたが、4000グラム近くあったそうです。そして、1ヶ月検診の時に、3ヶ月検診の子供と間違われるくらい大きかったそう。


 小学校低学年の時に、運動会の組体操のお相手は、6年生のお兄さんでした。そして、中学生~高校生まで、身長をグラフ化すると一直線に伸び続けました。おかげで保育所の頃から背骨の発達にゆがみが出たり、成長痛がツラく、定期的にカイロプラクティックに通っているという、なんともじじくさい子供でした。


 そして、現在身長は190センチメートルオーバー。若い頃は目立つのがイヤでイヤで仕方なかったのですが、ある程度人生経験を積んでくると、これも個性やん!と割り切れるようになりました。そこに辿り着くまでは時間がかかりましたが。


 というのも、やはり身長が高い=スポーツができる、という誤った概念があるのです。一言、言わせてもらうと、背が高いと運動神経がいいわけじゃないからな!という点です。残念ながら、走りは遅いんです。長距離走は大嫌いでした。水泳、バレーボール、バスケットボール等は好きでしたし、それなりに得意だったので、運動音痴って訳じゃないとは思うのですが、走るのが遅いってことが自分の中でのコンプレックスになっていて、スポーツに打ち込みにくくさせてました。


 そして、宗教問題が絡んできます。エホバの証人なら、放課後は家に帰って集会、もしくは宣教活動するべき。週末、遠征や試合なんてもってのほか。世の人(エホバの証人ではない人は全般的にこう呼ばれていた)と付き合うのは最低限にしないといけない。そんな考えもあって、クラブ活動に専念することはできませんでした。


 高校受験の頃、とある有名私立高校のお偉いさんが自宅に来て、僕をスカウトしたい、と言われました。バスケットボールの強豪校ですが、バスケをこれまで本格的にしたこともない僕をスカウトっていうのもビックリしましたが、身長があればなんとでもなるそうです(ほんまかいな)。


 少し悩みましたが、この高校に進学すると寮に入ることになるので、エホバの証人は続けられない、そして、男子みんな丸坊主という規則がいや!という理由でお断りしました。今思うと、その高校に進んでいたら、人生変わっていただろうなぁと思います。でも、ま、我慢強くない性格なので、途中で挫折していただろうけれども。


 さらに、地元の普通高校に入学後、クラスの担任の先生が国体に出場するような走り高跳びの選手でした。その先生に目を付けられ、ひたすら陸上部に入部するように圧力がかかりました。また、授業の休み時間ごとに、バスケ・バレー、その他いろいろなクラブの上級生が教室まで現れ、身長だけを見て僕を勧誘してきました。背は高いけど、小心者の僕。毎日毎日、毎時間毎時間、非常にストレス。足の遅い僕はみんなの期待に応えられない、とビクビクしていました。


 結局、足が遅くてもできそうという安直な考えでバレーボール部に入り、一旦スカウトが収まった頃に、宗教上の理由で、という言い訳をして文化部(ほぼ帰宅部)に転部。その結果、高校デビューは迷走スタートでした。


 世間知らずのコウスケ、恵まれた身長、全く活用することができない青春時代でした。そんなお話。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る