第4話

「何、なめくじ⁉︎」


 家主の娘は改めてなめくじくんを見ると、なめくじくんは頭を傾げた。


「ぎゃーー!!」


 家主の娘は後ずさるが、腰が抜けて逃げることができないようである。


 しかし、暫くしてもなめくじくんが近づいて来ない様子だったので、家主の娘は少し冷静になった。


「なんでなめくじがここに……。うちに迷い込むなら小動物がいいな」


 家主の娘はなめくじくんをじっと見つめる。


「“ちび”だったら、お母さんは喜んでくれたかな……」


 その時、なめくじくんはぴょんと飛び跳ねた。


「ん? “ちび”?」


 またまたなめくじくんはぴょんと飛び跳ねた。


「もしかして……!」


 家主の娘はポケットからスマホを出すと、『犬 転生』と検索した。


「“転生しても前世の記憶を失わない”……やっぱり、あなたは“ちび”の生まれ変わり——?」


 その時、どしん、どしんと足音が聞こえたので、慌ててなめくじくんを背中に隠した。


「夜中に大声出してどうしたんだ? 近所迷惑になるから少し控えなさい」

「お父さん。いやあ、私の勘違いだったみたい。ごめんなさい」

「……なにか悩み事があるなら、相談に乗るぞ」

「違う違う、お化けを見たと思ったら、お米だったんだ」

「(お化けがお米……?)そうか、おやすみ」

「おやすみなさい」


 その後、家主の娘は必死に探したが、朝になってもなめくじくんを見つけることが出来なかった。

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