第2話

『よし、今日は家主に見つからないように、こっそり冒険しよう!』


 なめくじくんは、家主が来ないタイミングを見計らって台所から床に降り立った。


よいしょ、よいしょ……


『向こうにあるリビングに行ってみよう!』


 ゆっくりと進み、もう少しでリビングに到着、というところで、なめくじくんの上に大きな影が落ちた。


『なんだろう?』


 なめくじくんが見上げると、そこにはタヌキのような巨大な猫がいた。目が興味深げに見開かれている。


『……逃げよう!』


 危機感を覚えたなめくじくんは必死に逃げようとするも、巨大な猫に回り込まれてしまった。逃げられない!


くんくん……


 巨大な猫はなめくじくんに鼻先を近づけると、くわっと大きな口を開けた。ま、まさか、なめくじくんを食べようと……!?


『家主〜! たすけてー』


 なめくじくんがそこはかとなく小さくなった時、どしんどしん、と足音がやって来た。家主のようだ。


 家主は廊下のど真ん中を陣取っているこちらに気づくと、猫がなめくじを食べようとしている状況を察して困った顔をした。


「こらぽん太、食べたらお腹壊すよ」


 家主はよっこらせと猫を抱えて別の部屋に移すと、持ってきた割り箸でひょいとなめくじくんを掴む。


『家主、助かったよ……!』


 そんなこんなで、いつものように窓から外に放り出されるのだった。

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