反撃攻勢

 仙台から仙台空港跡地へと侵入する。幸いルートは壊されていなかったのであの場所へとすぐに進むことができた。

 仮にルートが駄目になっていて犬ロボットや人型ロボットがいても、今の僕たちの戦力なら余裕で掃討することができた。

 パルスレーザーガトリング砲で掃射し、残った敵を僕の左腕の超高圧電磁サブマシンガンで処理する。

 宇都宮に帰った時、ハイエンドの体にはなれなかったが、ミドルクラスの高級オプションを付けてサブマシンガンを扱えるようにしておいたのだ。

 このサブマシンガン、本当に威力が高く、手持ち武器は予備に携行するかたちとなったくらいだ。

 今僕が持っているのはとっさに反応できるフルオートピストルと、希さんの予備弾薬程度だ。


 さて。

 なぜあの大型セキュリティロボットにこだわっているか。

 それはあのロボットが出てくるような重要施設が近くにあるに違いないからだ。

 現に重装甲ロボットが三機もいて今でも警戒命令を行っていた。

 ただの軍の施設と思っていたがあれだけ大型のロボットを防衛用に投入しているくらいだ、相当な施設なんだろう。

 空港に関連していなくても何らかの情報は手に入るはずだ。


「そろそろあの場所に着くよ、涼くん」

「まずは重装甲ロボットが復活していないか調べないとな」


 この「イーグルⅫ」が手に入った場所を通り過ぎる。

 最後まで僕を守って炎上大破したピックアップトラックが静かにたたずんでいた。ありがとうね。

 借りはコイツで返す。


「涼くん、車の赤外線センサーに数機の重装甲ロボットらしき物体を確認。復活したのかも」

「工場かもな。”あの野郎”も数体いるかもしれない。気をつけて行動しよう。やる時は一気に、ね」


 ピックアップトラックで瓦礫の山を歩く重装甲ロボットを視認。パルスレーザーガトリング砲を斉射する。

 今までの苦労は何だったというくらい簡単に重装甲ロボットは鉄くずになった。


「さすが小さな要塞! これくらいは余裕ね! 核融合機関の交換もして出力上げてあるし!」

「次のグループがいたら僕のサブマシンガンが通用するか試しても良いか?」

「良いわよ、バックアップは任せて!」


 上機嫌な希さんを横に、僕は気を引き締めていた。復活したということはこの近くに工場があるということだ。掌握できれば大金持ちになれるだろうが……。


 瓦礫の山を進んでいくと、また三機の重装甲ロボットと遭遇。今度は僕のサブマシンガンで破壊を試みる。瓦礫の茂みから射程距離まで近づく。


「いけぇ!」


 気合い一発サブマシンガンを起動させる。ものすごい鈍い音とともに猛烈な勢いでサブマシンガンの弾が僕の腕から排出される。

 一体の重装甲ロボットは反撃の機会も与えられずに鉄くずと化した。

 これは凄い、これは使えるぞ。バージョンアップして出力向上したから弾薬が発射される速度が桁違いだ。希さんのおかげで一二ミリ重機関銃より破壊力があるような設定になっている。これはまさに腕に付いている重機関砲。


 最高じゃないか。


 重装甲ロボットが反撃をしようと銃口をこちらに向ける。重装甲ロボットは自慢の重装甲があるからか、設定がおかしくなっていたからか物陰に隠れるカバーという行動をしなかった。


 二機目もサブマシンガンで蜂の巣にする。三機目は攻撃態勢に入った瞬間にパルスレーザーガトリング砲でゴミクズになった。


『凄いわ涼くん! これなら接近戦でもなんとかなりそうね!』

『ああ、あとはあのデカブツを倒せれば』


 テレパシーで会話しつつイーグルⅫに戻る。

 イーグルⅫはかなり快適な作りになっており、キャンピングカーの後ろに巨大な荷台を取り付けた格好だ。シャワーも使える。勿論トイレも。

 人工筋肉から流れ出た汗を流したあと助手席へと戻る。


「少しドンパチしたけど周辺はどうなっている?」

「特に変化はないわ。アイツは巡回しているのかもしれない」


 瓦礫の山を攻略しながら進むこと数時間。ついにたどり着いた、軍の施設に。

 それを守るかのようにたっている大型ロボットともに。


「遭遇戦!? 一旦後退するわ、いくら何でもパルスレーザーガトリング砲じゃこの子でも穴が開いちゃう!!」


 必死で後退する希ちゃんを尻目に、僕はクラス三五を取り出して助手席を飛び出し、瓦礫の山へ突っ込む。


『涼くん!?』

『距離を取ったらパルスレーザーガトリング砲でパワーダウンさせて行動不能にしてくれ。一気に仕留める』

『乱暴なんだから! 乱暴な男の子は嫌われるのよ!」


 後退しながらパルスレーザーガトリング砲を掃射するイーグルⅫ。さすがに電力が足りないのか、動いているからなのか、当たっている数は少ない。


 それでも僕から気を引き離すことには成功したようで、イーグルⅫにへと大型ロボットは近づいていく。

 全然僕を見ていない。今だ。

 銃の反動に備えるために完全に伏せた体勢で、巨大な銃クラス三五を構える。しっかり狙う距離ではない、撃てば当たる。いくぞ!


 数発のどでかい銃声が鳴り響き、大型ロボットに銃弾が吸い込まれていく。

 銃弾は電磁障壁を「貫通」し、直接本体へとダメージを与える。狙った場所は背中の出っ張り。おそらく動力がある所だろう。

 大型ロボットはこちらへ振り向き直し、両腕のガトリング砲を放とうとする。

 そこに降り注ぐイーグルⅫからのパルスレーザーガトリング砲。貫通こそしないが電磁防壁に負荷を与え、一気に電磁防壁を引き剥がす。


「これで終わりだ、バイバイ」


 フラッグシップモデルの目でスキャンして一番熱を持っている箇所を特定する。やはり背中の出っ張りだ。

 クラス三五をたたき込む。

 バシュン、という音とともにプラズマが吹き出し、大型ロボットは稼働しなくなった。


『やった!』

『自爆があるかもしれないから、慎重に接近しよう』


 結果的に自爆装置はあったけど、整備用のニューロデッキから直接ニューロハックをして自爆コマンドを解除、これで完全に動かなくなった。


「いやあ、やったね」

「仇は取ったわよ、先代のピックアップトラック……。ちょっと構造解析するから手伝って貰える? 売り払う前に、どこに射撃を集中すれば良いのか調べておきたいのよ」


 そういうことで、軍の施設らしきところを目の前にして、解体ショーが始まったのであった。

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