スカベンジャー行為と探索と

 仙台空港は軍の航空基地と民間空港が一体となった空港で、二度の世界戦争において東北を核ミサイルから守り通し、その後三度起こった日本企業「忠菱」対アメリカ企業「ミリタリーソリューションサービス」の企業紛争で仙台市ごと壊滅的被害を受けて滅びたという。今の仙台市から北に五〇キロほどの地点にあるとのことだ。

 都市部では生き残ったセキュリティロボットが今でも徘徊し見境なく生物を攻撃し、工業地帯では狂ったロボット生産工場がそれを生産しているらしい。軍の基地であった仙台空港ではなにが徘徊しているのやら。


「その中で各種跡地を探索しないと行けないのか。今回もエッジを渡るわね。まあ、戦前の機械金属が手に入るということで前向きに考えましょう」

「そうだね、前向きに考えよう。でも、戦前のセキュリティロボットにサブマシンガンじゃ貫通力が足りないと思う。希ちゃんもアサルトライフルに持ち替えた方が良いと思うな。僕は高圧パルスアサルトライフルの強撃弾を使うことにする。希ちゃんはアサルトカービンの貫通弾で良いかな、体格的に強いの持てないだろうし」

「体格……小さい……殺す……」

「いやいや、戦闘で体格はどうしても重要項目になるんだから無理言わないでよ」


 興奮気味な希ちゃんをなだめつつ、仙台市でお買い物。

 スペシャルアラミド繊維で作られた防弾服も着込んだけど、今回は皮下装甲までも破られるとみてナノマシン回復薬を多めに持った。茂木の修理工場に出てきた”あの”セキュリティロボットクラスも徘徊していると思うからね。


 準備も整ったので仙台市跡地へ行く。エンジンが良くないので速度も出ないし、仙台市跡地から今の仙台市を守るために道が存在しないので荒野を走ることになり、仙台市中心部から五〇キロ先の跡地に行くのに半日もかかってしまった。


「今日は夜になったし動けないね。車中泊をしよう」

「男と女、二人が同じ来るまで寝ればエッチな間違いが、と言いたいけど今回は本当に寝ないとね。いやらしいことをして体力がない状態で探索を開始するのはリスクがありすぎるわ」


 希ちゃんのたわごとを無視してさっさと助手席の背もたれを倒して眠り始める。今回はすぐに重機関銃にリンクできるようにするために奥の部屋は使わない。すぐ近くではロボットが徘徊しているのだから。


 ”何事もなく”一夜は明け、仙台跡地に入る。ここから仙台空港跡地までは壊れた家屋やむき出しになった鉄骨などで迷路のようになっている。地道に瓦礫をどけ通れるルートを見つけ開拓して進んでいくしかない。

 時折ピックアップトラックから降りて、スカベンジしたり道を塞いでる物を超高速エタニディウス速射砲で破壊する。ロボットはまだ出ない。

 だんだんと中心部に行くにつれてがれきの密度が上がる。中心部の方が栄えていたわけだもんな。

 核ではなく爆撃で破壊されたので、物が吹き飛ばされたというよりかは、物が倒れて中身が下敷きになっている感じだった。


 探索途中見つけたホームセンターは焼け落ちたという感じで、中は無事な物が多かった。チェーンソーやパイプカッターなどを入手。希ちゃんのハンドツールより大型で、大雑把に分断するには都合が良い。

 景気よく進んでいると昔のサイバネティック店の残骸を発見。探索してみることにした。


「あ、これ外骨格だ。調整すれば私に使えるかも」


 希ちゃんが見つけたのは頑丈な金属で作られている、背負うタイプの骨格で、外骨格が重さを肩代わりするほか、力などもアシストしてくれる物だった。

 大体五〇年前にここは壊滅したわけだけど、この五〇年の進歩でこの手の品は消滅してるな。人工骨格強化の進歩が著しい。


「電力制御かしらね。そこら辺に核融合電池落ちてないかな? 空っぽでも良いんだけど。中身は自動車用の電池から移し替えれば良いし」


 どうかなーと思ってフラッグシップモデルの目でスキャン。うーん、ない。でもこれから先、建築現場だった場所や運送会社など、重い物を運ぶ場所で見つかるかもしれない。

 期待を持って今日のところはほくほく顔で帰還するのだった。

 金属スクラップやプラスチックなど、換金できる資源がものすごい量取れたのだ。ロボットを恐れて誰も入らないから貴重な品が凄い残ってる。爆撃で死んだ人の白骨死体も、ね。


「かんぱーい! スクラップを拾いつつゆっくり前進すればいつの日か仙台空港にたどり着けるわね」

「そうだね。ロボットにも今のところ遭遇していないし。運が良いだけかもしれないけど」

「このまま運良く行きましょう。ルート開拓は順調なんだから」


 翌日は外骨格の調整。古くからやっているサイバネ工場へ行き、サイズ調整をしてもらう。この手のものはクリニックというか、機械を扱う工場でやる物なんだそうだ。


「うん、バッチリ! 動きも軽快だし速力も向上。何より力が向上したのが大きい。普通のバッテリー駆動だけど、これなら私も反動が大きい銃を扱えるわね!」

「超高圧パルスアサルトカービンにしよっか。僕より銃の威力は有るんじゃ無い?」

「火力で涼くんを超えるなんて燃えるわねー!」


 工場の帰り際に購入。資金はスクラップが高く売れたので十分にある。

 明日は二度目の探索だ。仙台に馴染みながら、少しずつ進めていこう。

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