第9話

そして、その次の日の夜10時頃のことであった。


きよひこは、栄の伝馬町通りで通りかかったチンピラの男数人に焚き付けて行ったあと大ゲンカに発展した。


そのあげくに、男数人をナイフで刺して殺した。


「オドレ待て!!」


きよひこは、その場から走って逃げた。


チンピラの男たちは、逃げたきよひこを追いかけた。


さて、その頃であった。


きよひこの家の両親とキョウダイが暮らしている住居の居間で深刻な事件が発生した。


きよひこの両親は、よしえの実家の両親をまじえて話し合いをした方がいいかどうかとなやんでいた。


そこへ、マタニティ服姿のカキョウ系フィリピン人女性が家に突然やって来た。


女性は、きよひこの愛人の女でフィリピンパブのホステスであった。


彼女は、悲しげな表情できよひこの両親に言うた。


「すみません…大貝きよひこさんのおたくはこちらでございますか?」


きよひこの両親は、家の居間に突然見知らぬ女が突然上がり込んで来たので、怒り心頭になった。


「ちょっと、あんたはどちら様ですか!?」

「すみません…」

「帰ってください!!」

「イヤ、帰らない!!」

「帰ってください!!」

「帰ります…その前に…ひと目でいいからきよひこに会わせてください!!」

「すぐに帰りなさい!!」

「おねがいします…きよひこにさよならが言いたいのです…明日の飛行機でマニラに帰るのです…その前に…きよひこに会わせてください!!」


彼女は、きよひこの両親にきよひこに会いたいから会わせてとコンガンした。


しかし、きよひこの両親が『帰れ!!』と言うたのでトラブルになった。


ブチ切れたきよひこの父親は、彼女の顔を平手打ちで叩いた。


(バシッ!!バシッ!!バシッ!!)


「いたい!!いたい!!いたい!!」


きよひこの父親は、よりし烈な怒りを込めて彼女の顔を叩きながら怒った。


「オドレよくもうちの大事な息子をおもちゃにしたな!!」

「いたい!!やめて!!」

「ふざけるな!!」


(がツーン!!)


きよひこの父親は、彼女の顔をグーで思い切り殴りつけて倒した。


(ドサッ!!)


きよひこの父親に殴られた彼女は、その場に倒れた。


「やめて!!おなかに赤ちゃんがいるのよ!!」


きよひこの父親は、よりし烈な怒りを込めて右足で彼女をけとばした。


「やめて!!赤ちゃんが死んじゃうよ!!」


彼女は『やめて!!』ときよひこの父親に言うた。


しかし、きよひこの父親はよりし烈な怒りに震えていたので彼女の声は耳に届いていなかった。


「オドレ死ね!!」

「やめてー!!赤ちゃん殺さないで!!」


彼女は、きよひこの父親から受けた暴力が原因で全身に大ケガを負った。


彼女は、ボロボロに傷ついた状態で家から出ていった。


彼女は、胎内にきよひこの赤ちゃんを宿していて妊娠5ヶ月であった。


彼女は、きよひこの母親からも暴力を受けたので、より深刻な重傷を負った。


ことの次第を聞いたよしえは、ドカーンとブチ切れた。


よりし烈な怒りに震えていたよしえは、台所ヘ向かった。


よしえは、チタン加工の出刃包丁を右手でぎゅうと握りしめながらワナワナと震えていた。


そこへ、きよひこが悲しげな表情で帰宅した。


よりし烈な怒りに震えているよしえは、出刃包丁を持ってきよひこのもとへやって来た。


「よしえ…ヒィィィィィィィィィィィ…」


きよひこは、よしえに対して命乞いをした。


「ああああああああああ…よしえ、た、た、頼む…命だけは助けてくれぇ!!」


必死になって命乞いをしているきよひこに対して、よしえは出刃包丁を持ってワナワナと怒りに震えていた。


「よしえ…殺さないでくれぇ〜…殺さないでくれぇ〜」


ふざけるな!!


何が『殺さないでくれぇ〜』よ!!


うちにきつい暴力をふるったから、命でつぐなってもらうわよ…


この時、よしえはもう片方の手に破壊力が強い金づちを持っていた。


よしえは、金づちできよひこの頭を殴りつけた。


(ガツーン!!)


「ああああああああ!!頭が…頭が…」


きよひこは、よしえが持っていた金づちで頭を攻撃されたあと、その場にうずくまった。


そして、よしえはきよひこを出刃包丁でめったざしにして殺した。


その後、よしえはきよひこの両親とともにきよひこの遺体を弥富市の埠頭の近くの緑地公園ヘ運んだ。


よしえときよひこの両親は、きよひこの遺体を人が立ち入らない草むらにできている蟻塚(ありづか)の上に置いた。


そして、ゆっくりとした足取りで逃げて帰った。


それから5時間後のことであった。


(ワンワンワンワンワン…ワンワンワンワンワン…)


この時、付近を散歩していた柴犬がものすごい声で吠えていた。


飼い主の女性は、何ごとかと思って接近した。


すると…


「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」


女性は、よりし烈な叫び声をあげた。


この時、草むらの中にガイコツが横たわっていた。


ガイコツの周囲には、猛毒のヒアリが少なくとも5000匹いた。


ヒアリの大群がきよひこの遺体を食べ尽くしたようだ。


それから数時間後のことであった。


愛知県警の緊急車両10台がけたたましいサイレンを鳴らして公園内に入って来た。


事件現場は、緊迫した空気に包まれた。


現場検証の結果、ガイコツの周辺に容疑者に結び付く証拠が全くなかった。


愛知県警は、引き続き捜査を続けると言うたがナンコウする恐れが出た。

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