第7話

9月21日によしえが家に遊びに来ていた男の子二人にセッカンを加えて重傷を負わせた事件が原因で、みちよは紀伊半島にある児童養護施設へ強制送還された。


よしえは、『アタシは悪くないもん…』と言うてはぶてて(ひねくれて)いたので、周囲からの反発を受けるようになった。


きよひこの両親は、きよひことよしえを結婚させたこと自体が間違っていたことに気がついたが、時すでに遅しだった。


こんなはずではなかった…


介護と育児の負担を両方減らすために連れ子がいるよしえさんを選んだのに、幸せになれなかった…


親類の子のお祝い事で出費が重んだので、子どもたちにガマンさせた…


なんとかしてあげようと思って、あちらこちらにお願いしてまわったのに…


きよひこは、両親の願いをホゴにした…


むしゃくしゃしたら、真っ先によしえさんと連れ子二人にきつい暴力をふるう…


学校の先生のお仕事をやめてブラブラしよる…


きよひこは、何をやってもダメなのよ…


きよひこを口々にののしるようになった両親の心は、大きく壊れてしまった。


その数日後のことであった。


近所の家の男の子(9歳くらい)が、家の近所でところかまわずにエアガンで撃ちまくって、被害を与えた事件が発生した。


この時、きよひこの家も壁に穴があいた被害を受けた。


それを聞いたよしえは、思い切りブチキレた。


今度、男の子をみつけたらただでは済まないわよ…


(パーン!!パリーン!!)


この時であった。


近所の男の子がエアガンできよひこの家の盆栽を撃っていたところをよしえが目撃した。


ブチキレたよしえは、ダーッと走って行った。


そして、男の子の頭を硬い棒で男の子を殴りつけた。


(ガツーン!!)


「ギャァァァァァァァ!!」


殴られた男の子は、強烈な叫び声をあげて泣いた。


よしえは、ものすごく恐ろしい目付きで男の子を怒鳴りつけた。


「あんたがエアガンで撃ちまくっていたから頭を殴られたのよ!!」

「ギャァァァァァァァ!!ギャァァァァァァァ!!」


よしえは、エプロンのポケットからサバイバルナイフを取り出したあとエアガンを持っていた男の子をズタズタに刺して殺した。


そして、男の子の遺体を家の中に運んだ後に可燃物ゴミの袋に入れてみえない場所へ隠した。


亡くなった男の子は、きよひこの家から700メートル先にある共稼ぎの働き者の夫婦の家のひとり息子だった。


男の子が殺されたのに、男の子の両親は仕事第一主義でムカンシンであった。


父親は、メキシコヘタンシンフニン中…


母親は、愛知県に本社がある一流企業の幹部…


殺された男の子は、かぎっ子で一年中一人ぼっち…


食事も、テキトーに与えられていた…


学校や地域に親しい友人がひとりもいなかった…


かわいそうな子だった…


そして同じ頃、みちるも過激な行動にとるようになった。


家庭崩壊の日が、すぐそこまでせまって来たようだ。

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