血に塗れた世界に差し込む光

第9話 先輩、一緒に死にましょう

歪んでいたリリカが初めて反省の言葉を口にした。

俺はまだまだ元通りになるまでは時間が掛かると思ってはいる。

だけど、と思いながら公園に来た。

あのキスをされた公園だ。

そこでリリカと待ち合わせていた。


「.....よお」


「.....はい」


「多少は反省したか。リリカ」


「私は.....」


リリカはそこまで言い掛けてから涙を浮かべる。

何方にせよお姉ちゃんに取られたから。

だからもうこうするしか無いんです、と俺に果物ナイフを突きつけてくる。

俺はその事に少しだけビックリしたが。

今更.....こんな事でそんなに驚きもしない。


「私.....どうしたら良いんですか。先輩。分からないから一緒に死んで下さい」


「.....リリカ」


「.....何ですか」


「まだお前の姉には話せないけど。変わろうぜ。良い加減」


「.....無理です」


「.....いや。無理ってお前な.....」


そう言いながらいきなり何かを取り出す。

それはトンボだった。

俺は?を浮かべて見ていると。


水酸化ナトリウムを取り出した。

それから注ぎ込みトンボを殺してみせる。

俺は見開いて.....俺を見てくるリリカを見る。

リリカの目はマジな死神の目をしていた。


「.....先輩。私とこんな感じで溶け合って地獄に落ちてくれますか」


「俺は言ったよな。こういう事をまだするなら.....」


「.....良いですよ。別に。私は決めました。やはり姉から奪い返すには.....貴方を支配するしかないと」


「.....え?」


そして俺の記憶は飛んだ。

正確に言えば雷の様な痛みを受けて、だ。

俺は、!?、と思いながら.....そのまま気を失っていたが。


次に目覚めると.....何処かの廃工場に運ばれていた。

目の前にリリカが立っている。

よく見れば手足を手錠で縛られている俺。

俺はリリカを睨む。


「.....リリカ.....お前!」


「私は散々考えましたけど。でも.....私はもう後戻りは出来ないと考えました。だから私は貴方自身を監禁します」


「止めろって!お前.....これはもう犯罪だぞ」


「.....良いんです。今まで悪に染まってなかったのは貴方の為です。だから.....この場所で貴方に全てを分からせます」


言いながらリリカは何かを見せる。

よく見ればそれは銅線の様な物だが。

火花が散っている.....!?

何をする気だ!

俺は思いながら汗を流す。


「.....リリカ。マジに元に戻ろうぜ。お前.....!」


「こうなったら堕ちる所まで堕ちますよ。私は.....貴方となら何処までも堕ちますからね.....♡」


「クソッタレが!!!!!」


俺は思いながら暴れる。

しかし手錠はマジな警察の使っている手錠の様だ。

逃げれない。

俺は思いながらリリカを睨む。

そして火花を俺に段々と近付けてきたリリカ。


「一緒に死にましょう」


「.....誰か.....マジに.....!」


そんな事を呟いていると。

有り得ない事が起こる。

それは.....萌香と。

果物ナイフを持っていたあの女の子が現れたのだ。

そして光景を目にして.....持っていたスマホを落とした萌香。


「.....何.....を.....しているの。リリカ.....」


「.....萌香。逃げろ。コイツはもう人じゃない。色々とヤバい!」


「お、お姉ちゃん。ただの遊びだよ!アハハ!」


コードを投げ捨てながらリリカは必死に否定する。

しかしばちばちと火花を散る様子のコードを見ながら。

萌香はザッザッザと音を立てて近付いた。

それから、バシィ!!!!!、とマジな平手打ちをかます。

そして、アンタ何してるの!!!!!マジに!!!!!、と絶叫する。


「人でなしなの!?最低過ぎる!」


「.....」


「萌香.....」


「.....私の妹は.....そんな事はしない。.....貴方は誰?」


「.....おね.....えちゃん.....」


それから、手錠の鍵は何処!、と言いながら出血している頬を持つリリカの胸ぐらを掴む萌香。

そして、言いなさい!!!!!、と絶叫する。


リリカは素直に取り出す。

そうしてから萌香はそれを奪い取ってから。

俺の錠の鍵を外した。

それから、立てる?、と聞いてくる萌香。


「俺は大丈夫だが.....リリカが.....」


「あんな奴は妹じゃない」


「.....お姉ちゃん.....」


「アンタは私の妹じゃない。.....何で?何でそんな事になるの?」


「.....お、お姉ちゃんが全部奪っていったからじゃない!!!!!」


は、はぁ!?、と唖然とする萌香に。

リリカはヨロヨロとコードをまた手で持つ。

アンタさえ.....居なかったら.....全部!、と言いながら電線剥き出しのコードを火花を散らしたままリリカは号泣して大声を出して体当たりをした。

萌香.....では無く俺に、だ。

当然だが俺は剥き出しのコードで感電した。


「.....え.....せん.....ぱい?」


「.....ぐ.....」


そしてそのまま俺は。

地面に倒れた。

電圧が強過ぎたのかその後の記憶は無い。

ただ一つだけ言えるのは。

萌香を守れた、という事だった。


次に目覚めると。

病院の病室に.....俺は居た。

横に萌香が居る中で、だ。

萌香は涙を浮かべて俺を見ていた。

それは.....別の意味も篭ってそうだが.....。

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