第8話 一筋の光と歩み出す時

俺の初恋相手は.....最初はリリカだ。

つまり今の、萌香、では無い。

だけど萌香に好かれて一心同体になったのである。


俺はその際にリリカを諦めた。

だがその事に.....リリカは傷付いたらしい。

しかし今では知った事ではないが。


その中でリリカは.....悪の道に染まりそうだ。

だから俺は助ける事にした。

だけど.....どう助けたら良いのか分からない。

初恋相手に.....どう、だ。


『何故黙っていたんですか』


「.....そう思った時点でお前は全てにおいて悪に染まった。.....だから俺は何も言えなかったんだ。.....お前に恋心を抱いた時に.....お前は悪に染まりきった」


『わ、私が悪いですよね』


「お前が全て歪ませた。.....だけどお前が悪いとは思う。.....でも俺はお前に希望を抱きたい」


『.....どういう希望ですか』


「お前を普通の女の子に戻すんだ」


そう言いながら俺は昼休みに屋上から外を見る。

そこにはランニングをしている生徒が居る。

俺はそれを見ながら.....スマホを見る。

屋上の鍵は勝手に借りたが.....。


『もう戻れませんよ。私は』


「そう思っている時点でお前は負けだ。だがな。世の中そんな簡単に諦めて良いもんじゃない」


『.....私は.....』


「戻れる。お前なら。.....だから俺はお前に期待している」


『.....何故そこまで』


「簡単だ。お前に初恋をしていたからな」


晴天の空を見る。

まさに晴れ渡る空を、だ。

そして、お前が変わろうと思えば変われる。だけどお前が拒否れば何も変わらない。そこら辺は任せる。期待はしているけどな、と。

俺はそう言ったがリリカからはこんな返事が来た。


『.....戻れません。私は.....もう幼馴染を利用しましたから』


「それはどういう意味だ」


『私は戻れない道を歩み始めたって事ですよ。何にせよ』


「そんな事は無い」


俺は言いながら唇を凹ませてから。

そのまま空を見上げる。

それから見ていると.....ドアが開いた。


え?、と思いながら背後を見るとそこに女の子が立っている。

右目を髪の毛で隠している美少女。

こちらを和かに見ている.....が。

俺は?を浮かべて見ていると、その子は私の幼馴染です、とリリカが言ってきた。

するとその女の子は果物ナイフをとりだ.....え!?


『私はもう戻れません』


「待て待て!お前.....まさか幼馴染本人も洗脳したのか!?」


『御免なさい』


「.....!」


御免なさい、で切れた。

俺はゾッとしてそのままスマホを仕舞う。

それから、君が誰か分からないが.....頼む。

そういうのは仕舞ってくれ、と言うが。

女の子は、全部リリカちゃんの為です、と言ってくる。


「言う事を聴かない子にはお仕置き.....!!!!!」


「.....!」


それから女の子は刺す体制になってから。

そのまま俺に突進してきた.....が。

昨日降った雨水で滑った。

そして地面にドサッと倒れ込む。

俺はチャンスだと思ってそのまま羽交締めにする。


「マジにこんな事は止めろ。俺だったら通報しないから!!!!!」


「だって.....止めるとあの子は.....あの子は.....!」


「待て待て!落ち着け。アイツは.....もうお前に何もしないから!」


「.....本当ですか?」


号泣の様に涙を流しながら俺に向いてくる女の子。

俺は羽交締めにしたまま、ああ、と返事をする。

多分そんな根性はもうアイツには無い、とも。

すると女の子は果物ナイフを落とした。

それから涙を流し始める。


「怖いんです。全てを.....精神も何もかもを支配されていて.....」


「リリカはそういう本性を持っているから.....でももう俺がそれを許さない。だからお前も自由になれ」


「.....有難う御座います。有難う.....」


それから女の子は果物ナイフを地面に置いてから。

そのまま頭を深々と下げてから去って行った。

謝りながら、だ。

俺は見送ってから、これで良かった、と思う。

そして笑みを浮かべた。


リリカに電話をする。

するとリリカが直ぐに出た。

はい、と言いながら。


「お前は何をしているんだ本当に。マジに死にかけたぞ」


『御免なさい』


「.....謝って済むならこの場に警察要らないけどな。ったくお前は」


『.....逃げたんですか』


「違う。相手を逃した」


『.....そうですか』


全くコイツは。

俺は考えながら果物ナイフを配管の間に投げ捨てる。

そして配管に座ってから、もうお前も自由になれ、と言う。

すると鼻を鳴らす音がして号泣し始めた。

私は戻れないですから、と言いながら。


「戻れる。お前なら。なんたって萌香の妹なんだからな」


『.....私.....御免なさい.....』


「落ち着け。取り敢えずは泣き止め。それまで居てやるから」


まだ先は長いだろう。

そしてリリカが反省するのも長いだろうけど。

取り敢えずは.....リリカがまともに戻ってくれれば。


そこからがスタートだと思う。

俺は考えながら配管に腰掛けたまま空を見上げた。

それから少しだけ見上げたままで。

そうしてから昼休みが終わってから教室に戻った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る