第6話 歪んでいく足元の世界

リリカ、という狂愛を信じる女の子。

俺は眉を顰めながら考えていた。

アイツは明らかに狂っている。

全てが狂っている。


「.....」


俺は思いながら横になりながらスマホを見る。

そして今日の事を思い出してみる。

洗脳だった.....のか?


あれは、だ。

つまり.....頭がとち狂う様に設定された.....?

何をしたらあんな感じになるのだ。

俺はゾッとして思いながら考えてしまう。

唇を噛む。


「.....」


そうしていると電話が掛かってきた。

それは.....萌香からだ。

俺はすぐに電話に出る。

それから、大丈夫か、と告げる。

すると目を丸くした様な声で、え?、と萌香は言ってくる。


『え?あ、うん.....大丈夫だよ』


「.....何もされてないか」


『え?誰に?』


「.....あ。いや。こっちの話だ。すまん」


まさかリリカが狂っているとは言えない。

俺は思いながら眉を顰めつつ窓を見ていると。

今日のあの子可哀想だったね、と萌香が言ってくる。

俺は、だな、と返事をする。


『何であんな事になっちゃうんだろう。私って心理学に興味あるから』


「.....だな。確かにな」


『私.....あの子の様子が知りたい。そんな感じがする』


「お前は優し過ぎるからな。その点は良いけど.....洗脳とかされるなよ。上手く使われるとか」


『うん。大丈夫。.....でも私の将来の夢って監察官だから』


「.....そうだな」


俺は話を聞きながら眉を顰める。

それから話を聞いていると。

こんな言葉を萌香は発してくる。

何だかあの子って操られている様な感じだったよね、とも。

俺はビクッとする。


『まあ気のせいだとは思うけど』


「.....そうだと思う。それは気のせいだろ」


『.....まあ暗い話をしても仕方が無いしね。取り敢えずは.....あ。えっとね。今度またスイーツのお店が出来るの。行ってみない?デート代わりに』


「そうだな。それだったら行ってみようか」


『今日のデートがご破産になったからね.....うん』


「そうだなぁ.....」


ご破産なんて言ったらダメだけど。

本当に知りたい。

何であんな事をしたのか、されたのか、と言ってくる萌香。

それがお前の妹が原点であると。

そんな事は口が裂けても言えない。


「取り敢えず暗い話は置いておこう。な?」


『そうだね。うん』


そんな会話をしていると。

ポコンとメッセージが入って来た。

それを見てみると.....そこにはこう書かれていた。

エヘヘ。ブランドものです。似合ってますか、とリリカから。

俺は?を浮かべて見る。


(何でそんなものが買えるんだ?)


(バイトしています)


(それは本当か。お前)


(そうですよ?アハハ)


(怪しいんだが)


まさかと思うが。

いや無いとは思うが。

昔.....事件であったよな?

ママ友の頭の中を洗脳して金を引き摺り出す様な。

そんな事件が.....うん。


「.....」


嫌な予感しかしない。

俺は思いながら.....唇を噛む。

それから汗を流す。


何だか嫌な予感しかしない。

俺は考えながら深くは突っ込まず。

そのまま聞いてみる。


(お前.....悪魔なのか。天使なのか)


(私はどっちに見えます?)


(悪魔としか見えないんだが。お前のやり方は汚すぎる)


(私は至極ですが真っ当なやり方ですよ?先輩)


(嘘を吐くな。お前のやり方は明らかに度を越している)


え?悪いのは相手ですよね?そもそも傷害事件を起こしたのも相手ですから。

と言ってくるリリカ。

それに私は先輩さえ手に入れば何でも良いので、と言いながら。

コイツ.....コイツという奴は!

俺は唇を噛みながら、リリカ。良いか。お前も捕まるぞ、と言ってみる。


(犯罪者の烙印ぐらい承知していますので。それぐらいはまあ覚悟の上ですが私は何もして無いですよ?)


(嘘ばっかりだ)


(私はあくまで何もしてないです。そもそも私は情報を提供しただけですから。相手が勝手に包丁を振り回したんですから)


コイツマジなのか?

慈悲も慈愛もへったくれも無い。

俺は思いながら複雑な顔をしつつ見る。


次元が歪む。

汗が噴き出てきた。

脂汗が.....困った.....。

思いながらメッセージを見る。


(私は何もしてないんですよ?捕まる要素が無いです。ただ先輩が好きなだけで捕まりますか?普通)


(血も涙も無いなお前は。こんな事でお前を愛せる訳無いだろ良い加減にしろ)


(いや。愛しますよ。私を。先輩は私だけしか見なくなります。それが私の計画ですから。バッチグーですよ)


(そんな訳無い。クソが。切るぞ)


俺は言いながらメッセージを切る。

すると、先輩。私はあくまで悪い事をしているとは認識していません。だから先輩の身の安全は保証しますよ。アハハ、と送ってくる。


それからメッセージは途切れた。

俺は天井を見上げる。

脅威が目の前に.....差し掛かっている.....気がした。

マジな怖い恐怖が、だ。

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