リリカという本性

第5話 取り返しのつかない何かと狂愛と

勝利と敗北。

これは何方かと言えば完璧にリリカちゃんは敗北している。

しかしリリカちゃんは奪い返そうとしている。


俺を.....幼馴染のしかも実の姉から、だ。

あまりの狂気っぷりに俺は眉を顰めて、暫く会話しない、と告げた。

そして俺は放課後に一緒に萌香と帰る。

それから約束のクレープ屋に寄った。


「クレープ美味しいね」


「そうだな。確かに美味しい」


「エヘヘ。君と一緒なら何もかもが美味しい」


「そんな事言うな。可愛いんだよ」


「お?言ってくれるねぇ」


そんな会話が成り立っていく。

可愛いんだから本当に萌香は、だ。

俺は赤くなりながら萌香を見る。

小さなハムスターの様な口でちょこちょこと食べる仕草を、だ。

そうしていると.....電話が掛かってきた。


「誰だ?こんな時.....」


そこまで不満げに言ってから俺はナンバーと名前を見る。

リリカちゃんだった。

話さないと言ったのに.....、と思いながら俺は萌香を見る。


萌香。すまないけど電話に出ていいか、と言いながら。

ニコッとしながら萌香は、良いよ、と言ってくれた。

俺は頷きトイレに行く。

それから鍵を掛けてから電話に出る。


「何だ今度は」


『エヘヘ。先輩。声が聞きたくなっちゃいました』


「萌香と一緒なのを知っての事か。どうするつもりだった」


『言ったでしょ。私はお姉ちゃんを超えるって』


「.....どうやって超えるつもりだ」


『私はあくまで私自身では手出しはしませんので』


それはどういう意味だ、と思っていると。

女性の叫び声がした。

俺はビックリしながらドアをゆっくり開ける。

それから見ると.....うちの高校のやつれた様な顔の女子生徒が包丁を持っていた。

なに.....!?


『叫び声がしましたけど.....大丈夫ですか.....?』


「お前.....何をした。知っているだろ。あの女子生徒に何をした!?」


『自愛と教えですね』


「.....自愛と教えだ?それはどういう.....」


『あの娘は私の幼馴染の友人ですよ』


冗談じゃない.....。

何をしているんだコイツは!?

俺は思いながら、包丁を取り出した意味は?、と聞いてみる。

さあ?分かりません、とすっとぼけるリリカちゃん。

そもそも人間って頭の中を洗脳されると何をしでかすかも分かりませんので、と笑顔の様に話してくる。


『お姉ちゃんに危険が及ぶかもですね。アハハ』


「.....お前は.....化け物か何かか」


『私はあくまで何もしてないです。幼馴染も何をしたかは知りませんので』


「.....クソ!」


俺はスマホを切ってからそのまま仕舞う。

店内に飛び出ると女子生徒は奇声を上げながら包丁を振り回していた。

怪我をしている人も居る。

警察が来ていた。


つまりかなりヤバい感じがする。

俺は考えながら店内を見渡すと恐れをなしての感じの萌香が居た。

手当てをしている。

萌香、と近付く。


「.....あの娘どうしたの!?」


「.....それは後で話す。取り敢えずは.....」


と思いながらその奇声女と警察を見ると警棒を使って捕まえていた。

通行人も抑え込みながら、だ。

通り魔だ!、と言いながら。

そして女は捕まってからそのまま現行犯逮捕の様な感じで警察車両に乗った。

その際に俺を見てからニヤッと笑みを浮かべてそのまま乗り込む。


「.....」


「ね.....え。何がどうなっているの?」


「.....」


怖さ故か震えている。

話しても良いのかこれは。

お前の妹はマジに狂っているかもしれないという事を。


こんな事をするとは.....。

リリカちゃ.....じゃないリリカは狂っている。

ヤバいぐらいに、だ。


「取り敢えず店を出よう」


「.....そうだけど.....」


そして俺達は警察に事情聴取を受けてから。

救急隊に安全確認されてから。

そのままその店を後にした。


何がしたかったんだリリカは.....。

アイツこんな真似までして俺を好きと言いたいのか。

こんな狂愛は冗談じゃないんだが。



俺達は信じられない狂気を見てから。

そのまま別れた。

それから帰宅する為に歩いていると。


リリカからポコンとメッセージが来た。

俺は眉を顰めて見てみる。

そこにはこう書かれている。


(大丈夫でした?先輩)


(お前の様な狂人と付き合う気は無いぞ。良い加減にしろ)


(良いんですか?私.....貴方に強姦されたってお姉ちゃんに言いますよ)


(地に落ちているぞお前は。こんな真似は許されない。可哀想だろ!!!!!)


(大丈夫ですよ。少年院に行くかもしれませんが所詮は少年法に守られていますので)


ヤバいなコイツ。

頭がおかしくなってきた。

俺が、だ。


どうなっているんだコイツの脳内は。

思いながら見ていると。

そんな事より先輩。私ですが実は髪を切ろうと思います、と言ってくる。

どうでも良い話なんだが。


(そうか)


(どんな髪型が似合うと思います?)


(知らん。どれでも良い。切るぞ)


(あら先輩。そんな事を言うんですか?残念です)


(どういう意味だ)


(内緒です。自由な髪型にしますね♪)


何も言えず。

俺は無言でそのままスマホを仕舞う。

今日は何だか.....疲れた。


そしてリリカの本性が見れたせいで。

警察に訴えるべきなのかもしれないが.....信じてもらえない気がする。

どうしたら良いのだ.....。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る