第7章

第7章

登場人物

バンズ、ルイス、ジック、ピコ、ピク、ラムル、ブロント元長官(名が上がるだけ)、ポートル、フライ(名前だけの登場)、シェルナ(名前だけの登場)


 ケイドラーダのハッチから出てくるバンズ、ルイス、ジック。

ドックのメインルームまで歩きながら、

バンズ「皆んなで組み上げた宇宙船ふね。完璧に仕上げたいですね。」


ルイス「地球の所属恒星系、太陽系って言ってたわね。そこからノアーナに戻って、組み上げるまで時間を掛けた分、しっかり調整しなきゃね。」


 モニターテーブルでは、ピコが既に待機中。ピクは2人の飲み物を用意してテーブル待機中。

2人がピクに寄ると、シートが近付く。

ルイス「あら、ピク。気が効くわね。お願いしようと思ってたところなのにさすがね。」


ピク「ありがとうございますルイス様。」


2人の好みの飲み物が用意されていた。それを口にする2人。

そこへラムルが入って来た。ラムルにもシートが寄ってくる。

 ピクがラムルの分の飲み物を提供している画。


ラムル「ありがとう、ピク。」


ピク「どういたしましてラムル様。ごゆっくりどうぞ。」


ラムル「連絡も入れずにごめんねバンズ。母上、お久しぶり。元気そうでなによりよ。ケイドラーダのテストはどう?」


バンズ「完璧に仕上げたつもりだったけど、問題発生。操作系と推進機関のバランスが悪くて、ジックの納得のいくデータが得られなかったよ。」


ルイス「それをマットに相談して、2日後に宇宙そらに出るわ。マットも同乗してくれる事になったの。」


ラムル「博士の1番弟子にして唯一の設計継承者。任せて間違いないわね。科研の所長に就いて頂いてから、かなりの功績を上げているわ。マットさんに会ったら、シェルナさんによろしくと伝えてください。」


ルイス「ところでラムル。今日ここへ来た要件を聞いてないわよ。すぐ本題から脇道に逸れるのは長官に就いても相変わらずね。」


ラムル「厳しい指摘〜。もー母上ったら。今日は、バンズにお願いを伝えにね。」


バンズ「あ〜それは断わる。アタイには無理。」


 ディゾルプからの回想シーンに移る。


 カーレイ家のリビング、ラムルとポートルが座ってお茶の最中だった。

ラムル「今日はポートルにお願いが有って来てもらったの。」


ポートル「何なに?バーベキューの準備する?」


ラムル「バーベキューはしたいけど、違うの。」


ポートル「うーん……。多分その事には丁重にお断りするわ。ラムル長官。」


まるでラムルの話を知っているかの様に、いたずらに笑うポートルであった。

回想終わり、ディゾルプ。


 画面がドックのメインルームに戻って、

ラムル「もーなによ。ポートルといいバンズといい。私はまだ何も話してないのに……。」


 バンズは無言で、自分の肩を指差してから首を振った。

バンズ「ラムルの考えるところは推測出来るよ。……アタイ、ポートルと同じ。肩章は要らない。今のままでラムルのサポートをするよ。」


ラムル「……2人共……。私の考えは見透かされてるのね。」


バンズ「当然だよ。アタイ達3人、一体何年一緒に過ごして来たと思ってるのさ。今まで通り、ラムルのサポートをしていくよ。身分証や肩章が無くても、姫様の仰せの通り……でしょ?」


 目に涙を浮かべるラムル。

ラムル「バンズ……。ポートルにも似た様な事を言われちゃった。……でも、ありがとう。」


ルイス「そうね。あなたの非番に合わせてまた皆んなで集まってバーベキューしましょ。皆んな喜ぶわよラムル。長官職が大変なのはブロントを見ていて分かるわ。でも時には息抜きも必要よ、ね。」


バンズ「ポートルが聞いたら喜ぶな。ピコ、フライに繋いでくれる?」


ピコ「了解バン……。……。繋がりました、どうぞ。」


バンズ「ポートル聞いてるー?今日はいい話が有ってね。今度のラムルの非番には皆んなで集まってバーベキューだそうだ。」


ポートル「えー急な話だけど嬉しい。いつ?いつなの?私が準備を引き受けるわ。」


ラムル「こんにちはポートル。次の非番が決まったらすぐ知らせるわ。準備お願いね。」


ポートル「ラムルゥ、一緒だったの?うんうん、準備は任せて。」


ラムル「ありがとう。じゃあバーベキューで会いましょポートル。」


バンズ「って訳だから頼むよポートル。」


ルイス「ポートルは相変わらずね。ガルシアには私から連絡しておくわ。楽しみよラムル。」


 ラムルは、バンズとポートルに、正式に長官補佐として立ち回って欲しかったのだが、2人は断った。これも友情と言うことか。


 バンズのドックは変わらぬ佇まい。カーレイ家は、カーラント用にドックとして改修予定。ポートルは、G15壊滅作戦から帰還後、ラムルの計らいで、シューロン=ガル郊外に住まいとマーデクト用のドックが与えられていた。

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