(02)

 女子会も時間が経つと、皆思い思いに過ごす。

一人でしっぽり飲む者、同期と写真を撮って騒ぐ者、うとうとしたり、食べたり……


 つばさは子どもの時からの親友、袖崎沙代と二人でおしゃべり。

 彼女もつばさと同じく警察一家の旧家の娘で、つばさと同期。

 今は交通課に勤務している。


「式は何人呼ぶの?」


「親戚、友達以外に職場を諸々入れたら、五十は軽く超えると思う」


「すごいねー」


「ねぇ。もっとこじんまりとしたのでいいんだけど……」


 警察内のコネで知り合った以上、職場の人を呼ばないわけにはいかなかった。


「そっか。式場はもう決めたんだよね。次はドレス?」


「うん。今度見に行く」


「ウエディングドレスと、お色直しするよね?」


「一応ね、二着選ぶ予定」


「そっか。着物も着る?」


「ううん。前撮りでいいかなって」


「だよね。人の結婚式はいっつも着物だもんね、つばさは」


 二十代は祖母から母そして自分へと譲られた振袖を着ていた。

 近頃は、着物好きで着付の師範の資格を持っていた祖母が遺した訪問着を着ている。


 茂山や与晴がたまにふざけて『姐さん』や『姐御』と呼ぶようなったきっかけは、

共通の知り合いの結婚式で着物姿を見た時からだった。


「で、ドレス。どんなのにするの?」


「全然イメージ湧かない。試着して色々考えようかなって」


「まぁ、スタイルいいからなんでも似合うでしょ!」


 沙代はつばさの胸を鷲掴み。


「ちょっと!」


「痩せててこの胸はほんとけしからん!」


「やめてよ!」


 こんな風に子どもの頃から変わらず戯れ合えるのも、気心が知れた相手だからこそ。

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