(06)
つばさは学生時代からあまり恋愛に興味がなかった。
したがって、向こうから寄って来た同級生や同期と『付き合った』ことはあるが、
それは人から見れば『付き合った』とはいえないレベルだった。
学業や仕事に邁進するうち、いつしか三十路に突入。
二人の妹が先に結婚し、子どもができた。
自分は自分。仕事が楽しい。
そうやってつばさは仕事最優先で過ごしていた。
母親は何も言わずにつばさを見守っていた。
対して父の政志。婿殿故か岩井家大事の気持ちが強く、勝手に焦った。
警察内のコネを最大限に駆使し、お見合いをセッティングした。
あまり気乗りしなかったつばさだったが、見合いというものを一度は経験してもいいかもしれないと思い出向いた。
そしてその場に現れた宮田和義に、生まれて初めての一目惚れをした。
彼はつばさの三つ上の三十五歳。国立大出のキャリア組。階級は警視正。
三兄弟の三男坊。真面目で優しく包容力のある性格。
背は高く、顔は優しい柔らかいタイプのイケメン。
完璧だった。
見合いの後二度ほど会い、交際に発展した。
これがつばさの初めての本格的なお付き合いとなった。
デートを重ねて1年経った去年の秋、レストランでプロポーズされた。
今年の秋に入籍と挙式し、彼が婿入りして岩井和義になる予定だ。
今年に入ってからのデートは毎回結婚式の準備に充てられている。
「おやすみなさい、和義さん」
つばさは指輪を外して丁寧にしまうと、和義との未来を考えながら、眠りについた。
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