夜中のファミレス
午後十一時五十分。
間もなく日付が変わる時刻。
この時間帯の、客も疎らなファミレスの雰囲気が僕は好きだった。
店内の静寂につられるように、声を抑え気味に騒ぐ若者たち。
コーヒーを飲みながら、黙々とノートパソコンで作業するスーツ姿の男性。
誰かと待ち合わせをしているのか、手持ち無沙汰に携帯を眺める若い女性。
それぞれが思い思いに、残された今日を過ごしている。
たとえどんな背景を持った人物であろうと、そこにいる誰もが等しく一日を終えようとしているのだ。
その光景は普遍的でありながらも、特殊なことであるように僕は思う。
全く別の個である客たちが、ファミレスという空間を介して一つの集合体になっている。
それはどこか、本質的な意味での平等であるかのように思え、安らぎを見出せる類のものだった。
その妙な安心感に包まれている、夜中のファミレスが僕は好きだった。
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