第2話 



 今日は嫌な夢を見た。


「………」


 ベットの毛布の中からは女の甘い声が響く。


「深雪…」


 呼びたくもない名前を呼びながら、今日もまた、女と体を重ねていた。


 女とヤルとき、気を付ける事はただ一つ。


 名前を間違えない事。


「彼女、帰って来ちゃうよ?」


 深雪は、いたずら混じりに言う。


 俺には彼女がいる。深雪は、都合の良い俺の浮気相手だ。


 俺は、彼女の言葉を無視し、行為を続けた。深雪もまた、顔を快楽に歪ませながら、俺との行為を楽しんでいた。


 バンッッ!


 不意に、大きな音が鳴り響く。何かを叩く音?いやこれは、誰かが思い切り戸を開けた音だ。


「ちょっと…!何してんの!?」


 さっきの顔とは裏腹に、深雪は顔が真っ青になった。


「………!?」


 くそ。もうちょっとだったのに


 俺は睨むようにドアから入ってきた彼女、ゆかりを見た。


「ゆう…ちょっと。何よこれ!」


「うるせぇな。早く出てけよ」


 最低だな。


 彼女の家で浮気しといて、しかも出てけとか開き直る始末。


 女なんて体だけだ。いつからか、そう思うようになっていた。


 ゆかりは泣きながら裸の俺たちに鞄を投げつけた。



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