第4話


 昼休み、源一郎は当然のように一人で弁当を食べていた。新しい学年が始まって1ヶ月。入学当初からその独特な人間性は学校中に知れ渡っていたのだが、改めて同じクラスとなり、そして2年D組の面々の印象は殆ど一致した。「あ、こいつヤベーやつだ」しかしそんな状況でも源一郎は全く気にも留めない。彼はよく理解していた、支配者とは常に孤独であると。しかしそんな印象を持たれつつも、敬遠されている訳ではない。


「ごめーん、ゲンくん、英語の宿題の答え教えて〜」


 このように、六〇〇年生きているのでとても頭がよく、そのお陰で勉強の面でとても頼られている。


「英語…あぁ、第一級地上支配言語か」


 「第一級…支配言語…?」と周りの女子生徒は疑問を浮かべるが、口には出さないでいた。「あ、私も写さしてほしーかも」「答え合ってるか確かめさして!」他の者からも同じような要望が出た。


「民衆の期待に応えるのも我が務め。我が書き記したオリジナルの魔本、刮目するがよい!」


 彼は鞄からA4の大学ノートを取り出した。


「うわ、ノート綺麗! しかも英語が筆記体」

「HRで書記やってた時もそうだったけど、高橋くん字綺麗だよね」

「さすが学級委員長だわ」


 魔王の息子は、学級委員長である。

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