それは想像以上の着心地の良さであった
【あなたが落札者です!】
あの文字を確認してから数日後。私の手には黒い冬服のセーラー服があった。正直言って私も男で、これまでエ○動画をいくつも見てきた。その中にもこういう服が出てくるのもあったわけで……
しかし、こうして手に取ってみても「やっと着れる」とかいう嬉しい気持ちの他は何も感じなかった。この感覚にはなんとなく安心と喜びがあった。あまり考えないようにしていたが、やはり「ただ制服を着て興奮したいだけの変態ではないか」という疑いがあったのだ。もちろんそういう人を全て非難する訳では無いが、少なくとも自分はそうではなく単純に可愛い服を着たいだけの人間でいたい気持ちだったのだ。
オークション品であるから当然中古なので、どこか穴が空いていたりしないか何分か眺めたが想像よりもよっぽど綺麗で良かった。「さぁ、いざ」と改めて手にして止まってしまった。イマイチこの服の着方が分からない。これについては本当に不覚であった。サイズしか見ておらずろくに調べていなかった。厳密にはなんとなくこうだろう、というのはあるのだが違っていて脱ごうとした時に破れないか不安になったのだ。
すぐに調べ、ついでにスカーフの結び方も覚えた。今度こそ身につけられる。
それはふんわりとしていて、冬服だからか少し重みがありつつも包まれている感覚だった。今まで服を着て感じたことのない感覚。まるで羽毛に包まれているような優しさで、夢がひとつ叶ったにしてはとても心が穏やかだった。
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