閑話(体毛処理の話がメインの為、一応閲覧注意)
夢の服を着るためにやはり体毛は処理しておくべきだと思っていた。だから服のチェックをして、風呂場へ向かい、剃刀を手にした。髭はもちろん、自分はスネは一切生えてなく、膝と太ももにだけ生えるという少し珍しい(?)体質だった為、その部分を剃った。脇に関しては迷ったものの、普段の肌Тシャツの上に制服を着ることと、剃って数日するとチクチクすることを考えやめた。
家に誰も居ない、車も駐車場に無いことも確認して今回のチャレンジに挑んでいた訳だが、ひとつそれはそれは焦ったことがあった。
諸々を風呂場で剃っている時にチャイムが鳴ったのだ。1度目はただの勧誘等だろうと居留守を使った。しかし、シャワーの音が聞こえていたのだろうか、もう一度鳴った。「こんな時に……」そう思いつつも居留守を決め込むことにして、続けた。
が、3度目が鳴りある疑惑が生まれる。そう、家族の帰宅である。いくら車が無いことを確認したところで帰宅となれば関係ない。「帰ってくるには早すぎる」と思いつつも、〔忘れ物の帰還〕&〔シャワー音でエンジン音が聞こえなかった〕という最悪の2コンボを想像し、途中であるものの足早に諸々の片付けに入る。
そうこうしているうちに4度目の機械音が家に響き渡る。「これはいよいよまずいのか」そう思い覚悟を決め始める。ブログなどで見ていたら実家での女装と言っても何年か隠している人が大半だったのに。なんて行き場のない愚痴にもならない思いを心に響かせる。最低限の片付けが終わり、意を決して玄関を開ける。
「あっ、すみません。○○会社の者ですが、あそこの道路工事のお知らせに回っていまして〜」
何回「はい」と言ったのだろう。安堵で相手の発する言葉に相槌を打つので精一杯だった。不思議と焦らされた恨みも一切湧かないものだった。湧いたところで先方に非は全く無いのだが。
ともかく、こんなちょっとした事件があった上であの着用が叶った、ということをここに記しておく。
きっとあれが本当に帰宅であったのならば……いや、少なくとも今は考えないでおこう。
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