星の垂れる日。
生焼け海鵜
第1話
少年と少女は、手を繋いで笑っている。
空には、地球に飲み込まれた月が照っている。
建物は朽ち果て、苔が生えた。
分からない。
少女は、離した手で不発弾に触れる。
空に、地球に飲み込まれた月が光っている。
そんな空の元、微かな月光で煌めくビルの残骸。
少女は駆けていった。
笑顔で振り向いて、それに触れる。
空に、元気のない月が昇っている。
そんな薄暗い、景色でもはっきり目に映るビルだったもの。
「なんだろうね」
そう少女は言う。
笑う。
時間として夜。そこに、月がある。
どれだけの時間が経ったか分からないが、確かに時間が経っている。
駆けた少女を止められる事もなく、事は起こる。
分からない。月が昇っている。
「待って」
そう、少女に言葉を漏らす。
しかし、そんな言葉に耳を貸さない彼女は、走っていく。
また起こる。
日差しが留守にしている時間。
僕は、少女を離さなまいとハグをしている。
少女は、その中で砕ける。
その色は赤く見える。夕日でもなくまたただの夜空だというのに。
「お願いだらやめて」
そう、泣き出しそうな声でつぶやく。
顔に、赤い液体がかかった。
綺麗な星空が見える。
少女は幸せそうな顔でそれに触れる。
満面な笑みで。
流れ星が見えた。無数な流れ星。
「私、幸せだね」
光のない町に、降り注ぐ淡い無数の星。
「君の事は好きだよ」
赤。
点滅した街頭は星のようだった。
「君が壊れる所は見たくないよ」
轟音が響く。
水面はその星空を反射して楽しそうに揺れている。
「ありがとう。私は嬉しいよ」
閃光が走る。
ぼーっとした視界に、星に埋もれた少女が笑っている。
「なんでだよ」
その顔だけが転がっている。
流れ星の落ちる時間だけ、君とハグをする。
「いかないで」
「好きだよ」
風が吹く。
「一緒に居たかった」
星の垂れる日。 生焼け海鵜 @gazou_umiu
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