第4話
「はぁ……」
翌日、田川君と及川さんが別れたという噂が広まった。
それだけなら、こんな溜め息は吐かない。
その原因が、私と田川君が及川さんに隠れて付き合っていたから……という、謎な噂が追加されていたのだ。
田川君は我関せずで、相変わらず飄々としている。
「田川君、ごめんね」
「何が?」
「何が?って……。私と恋人って話になっていて……」
落ち込んで呟くと
「あぁ……別に。言いたい奴は、言わせておけば良いし……。逆に石塚まで巻き込んでごめんな」
と言われてしまい、「田川君、良い人」って思ってしまったよ。
でも、人の噂は75日とは良く言ったもので、いつしかそんな噂も自然と消えて行った。
私は図書委員をしていて、部活は文芸部。
完全なる本の虫な訳だけど、だから運動が超苦手。
マラソン大会が近付くと、憂鬱になる。
「マラソン大会、今年も俺が勝つ!」
石橋君が楽しそうに田川君に言うと
「勝ち負け関係無くないか?」
って呆れた顔をしている。
田川君が隣の席なので、なんだかんだと石橋君が休み時間事に来ては楽しそうに話をしている。
「繭花ちゃんもマラソン大会、楽しみだよね?」
突然話を振られて
「えっ!私?マラソン大会苦手なんだ」
と苦笑いを浮かべて答えると
「ふぅ~ん。じゃあさ、一緒に練習しない?」
って言われた。
(練習?マラソン大会の?)
走るのが嫌いなのに、何故に練習?と思っていると
「良いね!健太、私も入れて!」
と、夕美ちゃんがノリノリになっている。
「じゃあさ、コース的に……」
石橋君が簡単な地図を書いて、みんなの家を通ってマラソン大会の距離1500mになるマラソンコースを作り出した。
(女子は1500m、男子は2000mになっているので、短い距離の私達に合わせてくれたらしい)
しかも、朝と夜。
4人でLIME交換していると、違うクラスの小野君も参加になり5人でマラソンコースを走る事に。
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