幼少期には考えもしなかった自己嫌悪感が、年齢を重ねるごとにそれを「恥」であると認識してしまう。実際はスーパーでお菓子を買ってもらえなかった子どもが駄々をこねるが如く、自らの主義主張が通らなかったことに怒りや憎しみを覚えるも、そこは大人だからと言い訳をして我慢は蓄積される。
『何も知らない子どもだったらどんなに楽だっただろうか・・・』
老若男女、年齢を重ねるごとに後悔ばかりが上積みされていく。「あーすればよかった、こーすればよかった」と誰に八つ当たりできるでもなく自分を責めて心の声を耳で聞く。それが「恥」ではないかと私は解釈しました。
しかしそれは同時に当たり前に生きていられるから聞こえる声であって、予期せぬ災害や病気などで生きたくても生きられなかった人々・・・この年齢の恥を経験できずに生涯を閉じなければならない人達の目線で考えてみた時、
「どんな恥でも生きて経験したかった」
と口にするかもしれません。私には現在当たり前に命があり、女性としての人生を経験した事がありませんのでわかったようなセリフは出てきませんが、それでも綺麗事ばかりの世の中で本作のような人間の醜悪な部分に触れる勇気ある作品に出会えたことを幸せに思います。
とても素敵な作品をありがとうございました。