第3話
最上階のバーは薄暗く、心地よいピアノの生演奏が、入り口まで漏れ聞こえている。
星の欠片をちりばめた街が、大きな窓ガラスの向こうに輝いている。
私は涙の後を軽くパフで抑え、出来る限り背筋を伸ばす。
若いころ、こういった場所に、何度も連れてきてもらった。あの時の私のような女と、私を上機嫌にしていたあの時のような男が、窓ガラスに面したテーブルでにこやかに話している。
金の葡萄バッチが左胸に輝く、黒いスーツの男性が私を店内に誘った。
閑散としているわけでもなく、かといって混んでいるわけでもない、適度な音量の客の話声が、心をほぐす。濃いダークブラウンの木目が艶やかなカウンター席に座った。
カウンターの向こうでショートカットの上品な女性が、シェイカーを振っている。白いシャツが良く似合う、凛々しい彼女がバーテンダーのようだ。その後ろには、様々な洋酒が並べられ、埃一つ無いその瓶に、シェードランプの、わずかな灯りが反射していた。
バーテンダーは細長いグラスに、シェイカーの中身をあける。銀色の口から、淡い水色が注ぎ込まれた。それを銀のトレイに載せると、黒いスーツの男性が奥のテーブルに運んで行った。
バーテンダーは手早くシェイカーを洗い、今月のカクテルは4月の誕生石であるダイヤモンドをイメージした『アダマント』であることを、教えてくれた。それは、今日が誕生日の私にぴったりなので、私はおすすめのアダマントをお願いした。
「それ、他ではクリスタル・アイっていうんですよ」
カウンターの一番端にいる男が、琥珀の液体が入ったグラスを傾けて、そう言った。
「クリスタル・アイよりも、アダマントの方がいい。そう思いません?」
窓の外で輝く、夜に浮かんだ街の輝きを背にして、彼は私に聞いた。
豊な毛髪、もみあげが薄く、艶のある前髪が少しだけ額に垂れている。顎には余分な脂肪が無く引き締まって、琥珀の液体を飲む度に、彼の首の突起が上下した。
私はどう返事をしたら良いものかを、考えていた。
「僕にも『アダマント』を」
私の答えよりも早く、彼はバーテンダーにそう告げた。そして私をちらりと見る。
半月のような柔らかな目と整った太い眉毛、鼻梁は低いが小鼻が小さく、上品な厚い唇と相まって、理知的な印象だ。濃いグレーの細身のスーツに、淡いブルーのYシャツ。袖には銀色のカフスボタン。このシックな装いが、低い声に良く似合っている。
ガラス越しにきらめく春の夜の夜景から、彼だけが切り取られている。
「あの、何飲んでいらっしゃるんですか?」
やっと、言葉が出た。
「ウィスキーですよ。『響』。まあ、いつものやつです」
彼は人差し指を立て、私の前に『響』のボトルを出すようバーテンダーに指示した。
『30』というロゴが描かれたそれは、かつて私の機嫌を取っていた男に飲ませてもらったことがある。私の財布が痛むことは無いから、味が解らなくても、とにかく飲んだ。
「すごい、高級なやつですね」
『アダマント』を作るシェイカーの、切れの良い音が響いている。
「そうなのかな。僕はいつもこれしか飲まないから」
バーテンダーが、彼に礼を述べた。二人のやりとりを見て、彼がここの常連だということがわかった。
静かなジャズを奏でるピアノの生演奏に、疎らな拍手が重なった。深緑色のドレスを着た女性が演奏席から立ち、一礼をしてスタッフルームへと引き上げてゆく。
バーテンダーが円錐を逆さにした深めのグラスを私の目の前に差し出し、ライチを入れた。銀色のシェイカーの口先から、透明な液体を注ぎ入れる。カクテルグラスの中のライチが揺れて、結晶みたいだった。
私はグラスを手に取り、目の前にかざしてみる。
『アダマント』がレンズのようになって、夜のきらめきと高級ホテルのラウンジバーが、グラスの中で凝縮していた。少しだけ、位置を変えると、その中にここの常連である彼が入ってきた。
グラスの光は、灰色の私の心を照らすようだった。さっきまでの沈み込んだ気持ちが、
徐々に明るくなってゆく。
母でも妻でもない歳をとった女、女としての価値の無い女であるという現実が、グラス
の中に吸い取られる。今この瞬間だけは、グロテスクな刺々しさをさらすようなことはきっとない、と思うことができた。
ここに来て良かったと、円錐を逆さにしたグラスの中の凝縮したきらめきを見て、思う。
若い頃の私が知ったら悪夢としかいいようのない今が、少しだけ慰められた。
凛々しいバーテンダーは、カウンターの隅の彼に、私と同じ『アダマント』を用意した。
彼は私と同じように目の前に掲げ、わずかにグラスを傾け、
「乾杯」
と、つぶやくように、私に言った。
名も知らぬ彼に、誕生日を祝ってもらっているようで、気恥ずかしくなる。
通りの真ん中で涙に塗れていた唇に、冷たいグラスが心地よい。
甘いライチと爽やかな柑橘系の香りが舌の上で絡まる。絶妙な酸味と甘みのバランスのあとから、強烈なアルコールの刺激が咽頭を刺した。それが大人の飲み物であることをしっかりと表し、喉元から感じる快感となっていた。すっきりとした後味、口中にはライチの香りと甘みが残る。この飲口を考えると、アルコール度数は高いに違いないだろう。でも、この後味ならば、何杯でも飲めそうだった。アダマントの結晶が、カクテルグラスの中で少し、揺れた。
「美味しいですね」
思わず、彼に感想を伝えてしまう。
「そうでしょう。この爽やかさ、透明感。後味はまるでダイヤモンドの輝きみたいだ。ついつい飲み過ぎてしまいますよ」
彼はそう言って、私に微笑みかけた。耳が熱くなったのは、アダマントのせいかもしれない。
彼はバーテンダーに、チェイサーを用意するように伝えている。
私の前に、細長いグラスの水が、静かに置かれた。
私は、彼に礼を述べ、彼が用意してくれた水を口に含んだ。チェイサーの冷えた水は、私の胸を熱くした。銀色の船型の器に盛られたミックスナッツが、私と彼のテーブルに
運ばれた。
「ナッツを食べてからアダマントを飲むと、また違う印象ですよ」
彼は、ナッツを口に放り込んで、円錐を逆さにした深いグラスを唇に傾ける。
ぽってりとした肉厚な唇が、アダマントを味わっている。
私も、同じようにしてみる。
ナッツの香ばしさがライチの甘みと重なって、清々しく口中に広がった。さっきまでの爽やかさとは違う、まろやかな苦みがライチの香味を増した。まるで違うカクテルのようになって、驚いた。
「もう一杯もらいますか?」
それを聞いたバーテンダーが、手早くリキュール類をシェイカーに入れ、背筋を伸ばしてアダマントを作りはじめる。
「よく来られるんですか?」
胸の奥の熱を抑えて、できるだけ静かな、優しい声で尋ねる。
「ええ。でも最近は仕事が忙しくて、あまりですが」
首を少傾けて、私の問いに答える彼は、紛れもなく「本能が認める男」だった。
「お仕事、何されてるんですか?」
「まあ、一応、金融関係です」
最近はお忙しいですよね、とバーテンダーが彼に言った。
「ここには毎日でも来たいんですけど。この夜景も素晴らしいし、酒も美味いし、ね」
バーテンダーは、ありがとうございます、と丁寧に答えた。
「あなたは? えっと、お名前伺ってもいいのかな?」
アダマントの酔いが、全身を巡る。
「包(つつ)井(い)容子(ようこ)です」
「僕は井上(いのうえ)修(しゅう)二(じ)です。よろしく」
新しいグラスに、アダマントが光っている。
彼──修二さんの前にも、二杯目のアダマントが置かれた。私の誕生石と同じ名前のカクテル。
「容子さんは、ここには来られるんですか?」
名前で呼ばれて、少しだけ脈が早まる。
「あまり……飲みに出歩かないので」
「ええ? 何故?」
何故と言われると、その理由はただ面倒くさいからなのだが、そんなことは口にできなかった。
「あんまりお酒、強くないし、それに」
「それに?」
「家で、料理するのが好きなので」
嘘だった。いつもスーパーの割引済の総菜だった。アダマントを二口飲む。
「ご家族のために? 偉いなあ」
「いえ、家族いませんので……独身なんです」
修二さんは、目を丸くし、小声で、「見る目無い男ばっかりだな」とバーテンダーに囁いた。
「こんなこと聞いていいのか、わからないけど」
修二さんは、アダマントをグッと飲んで、
「バツですか? 結婚生活に飽き飽きしたキャリアウーマンとか?」
どの言葉も当たっていないことが、いたたまれない。
「いえ……そんなキャリアウーマンでもないですし」
「へえ、そうなんだ。お子さんは?」
「子供なんていませんよ、結婚してませんから」
修二さんは、ナッツを前歯でカリリと噛んだ。私は残りのアダマントを飲み干す。
「もっと近くでお話ししてもいいかな?」
二杯目のアダマントは一杯目よりもアルコールがきつく感じる。
スーパーの割引済みの総菜ではなく、こんなに素敵なカクテルを口にしている。飲みに寄った事自体が本当に久しぶりで、なおかつ今、私がいるのは高級ホテルの最上階のラウンジバーなのだ。そして素敵な男性が、私と話すために席を移ろうとしている。
つまらない街に、星が降り注いでいる。
私にある刺々しさや、道の真ん中での涙が、アダマントに溶かして飲み込むことができるように思えた。ダイヤモンドのカクテルは、包容力が足りない私を包容してくれているかのようだった。個性の追求と女の幸せの齟齬に気付かず年を取った、なんの取り柄もない頑ななだけの、平凡な私であることを受け入れてくれそうな、アダマントの夜だ。
不快感にささくれ立つ日常なのに、誕生日の今日、突然輝きだしたような気がした。
最高級な雰囲気の店、ひそやかに話す客たち、凛々しい女性のバーテンダー、そして、私に興味を示す、男性──。
上半身が真っ赤になっているのがわかる。
修二さんはするりと席を移動し、私のすぐ隣に座りなおした。
「改めまして」
修二さんは、右手を差し出した。私は両手で、その手を包み込んだ。
「よろしくお願いします」
思わずたどたどしい挨拶をしてしまう。でもそれがかえって可愛らしく映ったのか、修二さんは微笑んでいた
「料理、お得意なんですか?」
え? と、ドキリとする。
「いや、さっき、家で料理するのが好きっておしゃってたから」
ああ、そうだった、と思った。賞味期限をとうに過ぎた冷蔵庫の卵6個パックを思い出した。
「うーん、卵焼きとか……肉じゃがとか、かな」
修二さんが用意してくれたチェイサーを、思わず口に含む。
「卵焼き?」
まずいことを言ったかな、と、私は後に続く言葉を探した。が、どれも所詮情報でしかないので、一番現実味のありそうな話を選ぶ。
「サバ節とカツオ節を三対七で混ぜて出汁をとって、卵の液に酒と醤油と、えっと……あと砂糖を混ぜて、あ、混ぜるのは白身を切るように混ぜて、それから最後に出汁を入れて、油たっぷり使って、焦がさないように焼いて、手前から巻くんです焦がさないように。えっとこれは、蕎麦屋の御主人に教えてもらったレシピで」
へえ、と、修二さんは小さくつぶやき、バーテンダーが移動させた『響』をウィスキーグラスに注いだ。
「飲みます?」
いいんですか? と問う前に、修二さんは微笑を浮かべてウィスキーグラスをバーテンダーに頼んでいる。
私は急いでアダマントを飲み干した。ライチを食べたかったが、修二さんは残していたので、手を付けなかった。
底にキューブ型の彫込みのあるウィスキーグラスは、女性の身体つきを連想させるような、くびれのある形をしていた。それはこの店と、修二さんに良く似合った。
私は既に、頭の芯が痺れていた。
「おいしそうですね、その卵焼き」
「『響』は美味しいから、また飲みたいなって」
修二さんの怪訝な表情で、私の返答が頓珍漢なものであることを知る。
「あ、私の卵焼きの話ですよね、ヤダ、私ったら」
修二さんは愉快そうに笑って、
「酔うにはまだ早いですよ」
と言った。
「卵焼きの話はもう終わったのかなって。『響』ずっと飲んでなかったから、飲みたいなあって思ってたんです、だから卵焼きの話なんてとっくに終わったと思って。ヤダ、ほんと」
少し呂律が回っていない。でもそれくらいの方が、受けが良いかもしれない。
「そうですか、では」
『響』の透明のボトルに刻まれた幾筋もの流れるようなラインに、夜の光が集っている。そのボトルを眺めているだけで、揺れるウィスキーの芳香は伝わってくる。
修二さんはウィスキーグラスに球体の氷を入れ、クリスタルの丸い、重厚な蓋を開け、
『響』の琥珀を注ぎ入れる。
「ナッツにも合いますよ。もしよかったら、他のものも、召し上がりますか?」
そう言われて、私の胃の中には、アダマントとナッツしか入っていない事に気付いた。
私が返事をするよりも早く、バーテンダーに注文をしている。その内容が何なのか、私には分からなかった。
グラス三分の一に揺れる琥珀に、水差しの中の水を入れてくれた。
氷の透明な音が、カランと耳に心地良い。口に含む。上等な木製の香ばしさとバニラに似た濃厚な香りが途端に立ち上り、とろみのある奥深い甘さが喉を包み込む。
「おいしいですね」
「容子さんの卵焼きよりも?」
「ヤダ、もう」
とても楽しい夜が始まった、と思った。
あの時の、中年の女――。
髪をうしろで縛り、肘を張ってずんずんと歩くあの女。グロテスクな刺々しさで道を塞ぐ人々を睨みつけ、舌打ちをしている、あの中年の女。
ここにいる私は、もう違う。常に在る不快など微塵も無いし、「今だけ」という考えも頭に浮かんでこない。私の隣にいる修二さんは、久々に現れた「本能が認める男」だ。そんな人が私に興味を持ち、話しかけてくれている。嬉しくて涙が出そうだった。
グラスに口を付ける頻度が増し、あっという間に空になった。
最高の誕生日だと思った。私はもう、あの中年の女のようにはならないし、ささくれ立った毎日を送らなくても良いように思える。
修二さんのことを、「本能が認める男」などと思うのは止そう。だって、その言い方は私の頑なさの発露だし、第一私の名前に含まれる「包容」にふさわしくないのだから。そう、私は若く可愛い小娘なんかではなく、包容力を持った大人の女なのだ。
琥珀が私を穏やかにする。心が軽く、温かくなる。
後悔の波に襲われ、溺れていた私は、空気を肺一杯に送るためにゆっくりと深呼吸をした。修二さんが鼻先に手を当て、顔をそらしているのが気になった。
修二さんは笑顔で私の方に顔を向き直し、また『響』を注ぎ入れてくれた。そして私のピッチに合わせて、グラスを開けた。
バーテンダーが置いた、ガラスの長方形の皿には、色とりどりのオードブルが美しく盛り付けられていた。
「イチジクとモッツァレラチーズの生ハム巻き、根菜のテリーヌ蜂蜜ヴィネガー風味、琉球豚バラ肉のワイン煮、燻製トマトのラタトゥイユ、チーズとオリーブの盛り合わせでございます」
落ち着いた声でオードブルを説明する。どれも美味しそうだ。
「遠慮せず、どうぞ」
修二さんは私にフォークを手渡す。どの料理も上質な油が使われて、身体が清涼になるような味わいだった。
「本当においしい。ああ、良い夜だわ」
「僕こそ。いつも独りで飲んでいるから、寂しくてね。今日はとても楽しいです」
「独り?」
「ええ」
とろみのあるウィスキーの芳醇な香りが、鼻腔に広がる。
修二さんはふと、グラスを傾かせ、その中に目線を落とし、
「ええ」
ともう一度、つぶやいた。
「え? どうしてですか?」
「僕なんか誰も相手にしてくれないからですよ」
修二さんはそう言うと寂しそうに微笑んで、ウィスキーグラスを空にした。
「容子さんはどんなところでいつもは飲むんですか?」
ああ、と言って、修二さんは形の整った厚い唇に、人差し指を当てた。
「そういえば、あまり飲まないって、さっき言ってましたね」
「えっと……お酒、弱くて」
「意外だなあ。とても強そうなのに」
あ、失礼しました、と、修二さんは口を結んだ。
「何て言うか、とても出来そうな女性だなと思って。所作に隙が無いというか、いろんなものを見据える瞳をしているというか。だから、なんていうか、男並みに酒にも強いんじゃないかなって」
僕の勝手な想像なんですが、と、『響』をグラスに注いだ。
「よくそう言われるんですけど……弱いんですよ、いろいろと」
私のグラスにも『響』が注ぎ入れられた。
私は水滴で濡れるグラスを指でなぞった。
「修二さんがいうみたいな感じで見られることも多いんですけど、全然違うんです」
修二さんは、目を細めてウィスキーを飲んでいた。
「寂しがり屋だし傷つきやすいし、ホント、イヤになっちゃうくらい」
修二さんは私の方を向くことなく、飲み進めている。
「モテるんじゃないですか?」
修二さんは、視線を変えず、アーモンドをつまんだ。鼓動が高まる。
「容子さん、モテるんじゃないかな、と思って」
ちょっと酔っちゃったかな、と修二さんは顎を撫でた。引き締まったフェイスラインと、それを支える太い首。大きな手に長い指が、色っぽかった。
「そんな……モテませんよ、今は」
「じゃ、昔はモテたってことですか?」
うーんと、私はできるだけ可愛らしく唇を尖らせてみる。
「サプライズはよくされたかも」
「どんな?」
私は昔、私を上機嫌にしていた男たちがしてくれた事を思い出していた。
「プレゼントとかもそうだけど、ヘリコプターに乗せられて夜景とか、ディズニーホテルのスウィートとか、ゲレンデの花火とか、あとは……温泉貸し切り、海外旅行もしょっちゅうだったな」
私の機嫌を伺い、手を変え品を変え、私を誘い出していた男たちは、そのほとんどが領収証を受け取っていた。
「すごいですね」
「でもなんだか、侘しくって」
「と、言うと?」
「うーん、よくわかんないけど」
私は意図的に髪をかき上げる仕草をした。それは若い頃の癖だった。
「修二さんこそ、モテたんじゃ、っていうか、モテるんじゃないんですか?」
修二さんは黙ったまま、空になったグラスを見つめていた。
私はその沈黙に、気まずいものを感じて、何かしゃべらなければと気が焦った。
「今はサプライズなんて、そんなこと全然ないですよ。ほんと、昔のことです」
ああ、と修二さんはうなずいた。
「修二さんこそ、モテるんじゃないんですか?」
修二さんは表情を変えず、琥珀の液体をグラスに入れた。
「私としては、サプライズしてくれた男のひとたちに感謝してるんですけど、何て言うか、それだけかみたいな感じで。だって、今じゃホント、寂しいモンなんです。私は全然変わらないのに、あからさまですよね。ああ、やっぱそうか、みたいな」
「そんな派手なことは、若い娘(こ)相手にする暇つぶしでしかないから」
酔いで痺れた頭が、スッと冷たくなる。修二さんは、丸い氷を人差し指でいじっていた。
「ええ……まあ、そういうことですよね」
私はフォークで、オードブルを細かく切り、口に入れた。
「失礼ですが、容子さんはおいくつなんですか?」
豚バラ肉のワイン煮が、喉に引っ掛かった。それをウィスキーで流す。
「いくつに見えます?」
うーん、と修二さんは目を閉じて考えていた。
「三十代……後半くらいかな。36……37才位ですか?」
頭の冷たさが消え、頬がバラ色になるのを感じた。ボトルが並べられたミラー棚の細い隙間が、私を映し出している。
「またまた、お上手」
「え? 36才くらいでしょ? 僕と同い歳くらいなんじゃないですか?」
「……もうちょっと上、かな」
深緑色のドレスを着た女性が再登場して、グランドピアノの前で一礼をし、色っぽい曲調のジャズを、静かに奏で始めた。
心が躍る。
「今日、私、誕生日なんです」
「ええ、そうなんですか! おめでとうございます」
修二さんは、グラスを私のグラスに合わせ、
「そんな特別な日にご一緒できるなんて」
まるで運命だ、と続けた。
「少しだけ年上の美しいお姉さまに、乾杯」
修二さんはグっと飲み干し、グラスにまたウィスキーを入れる。私にもそうした。
そして、私たちは見つめ合って、『響』を飲んだ。
身体の中心が潤っていく。
「井上さん……あ、修二さんってお呼びしてもいいですか?」
意識して上目でたずねてみる。出来るだけ可愛く映りたい。
「ええ、もちろん」
「では、あの、修二さんは、どうしていつも独りで飲んでるんですか?」
修二さんの瞳の奥に、語りかけるように聞いてみた。
「どうしてって……一緒に飲んでくれる人がいないからですよ」
「奥様、一緒に飲んでくれないんですか」
「僕、結婚していないので」
修二さんは左手を広げ、指輪の枷が無いことを示した。
「もういい歳なのに恥ずかしいです」
浮きたつ心を押し殺して、出来るだけ落ち着いた声を心がける。
「へえ、以外。とっくに誰かのモノだと思っていました」
独身なんです、と修二さんは気恥しそうに微笑んだ。半月の目が、柔らかに細くなり、目尻に穏やかな皺が刻まれる。
「独身ってだけで、なんでこんなに恥ずかしいんでしょうね。この歳で独身っていうと、『お前には問題があるんだろう』って人の目が言うんですよね」
プライオリティーの頂点が所詮人の目であった歯科医の嫁の元親友を、一瞬思い出す。
彼女や母や、月並みな幸せを手に入れている女たちにはわかっていた、他人の目線。
私も修二さんと同じように、こういった人たちから蔑むように見られているのだ。
私は息を吸いながら、グラスの中身を飲み干す。下唇を噛んでしまっている。
修二さんは口の端で笑い、額を人差し指で掻いた。
「僕くらいの歳で独身だと、女に興味ないのかなとか、おかしな勘繰りされたり、ね」
修二さんはあえて、誰も選ばないのではないか、と思う。
こんなに見栄えが良くて、金融関係の仕事をしていて、ホテルのラウンジバーで『響』を飲んで。独りでいることを選び取っているのではないか、と感じる。
独身でいる切なさを語るクールな横顔を見ていると、私を捨ててきた男たちの姿が浮かんでくる。修二さんがそういった男の一人だとしたら、イライラが頭をもたげ、グロテスクな刺々しさをさらすことになりかねない。
だから、なんとなく聞き流す。楽しい夜のために。
静かなジャズメドレーが、私の誕生日に彩りを添えている。
「女性が独身だと、なんていうか……そういう生き方を選んだのかなって思いますよ。だからさっき言ったように、結婚生活に飽き飽きしたキャリアウーマンなのかな、ってね、容子さんの場合は特に」
名前を呼ばれるたびに、頭の芯が熱くなった。そういう生き方を選んでいるのは、修二さんの方だろう、と思う。この容姿で、この物腰で、誰かの一番になれないなんて、考えられない。
そう、素晴らしい夜だ。そんな男が、私に興味を示してくれる。アルコールが私の身体を、頭を、満たす。
「私、いつも『戸籍美人』って言ってるんですよ」
「え?」
「結婚の話になった時、いつも『私は戸籍美人です』って言ってるんです」
修二さんは一瞬目を丸くして、その後、静かな声で笑った。
「そりゃいいや。上手い言い方ですね」
戸籍美人ね、とバーテンダーにも同じ笑い方をするように促しているが、彼女は視線を逸らした。
ジャズの曲調がモダンな、アップテンポのメロディーに変わった。
「容子さんは『戸籍』をつけなくても、充分」
美人ですよ──。
修二さんのその言葉が血流にのって、心臓の奥に響く。
「そんな……そんなことないです。私なんて全然」
「どうして? 素敵なサプライズを沢山されてきたんでしょ? この店に入ってきた時、一瞬で目を奪われましたよ」
洋酒瓶が並べられたミラー棚の隙間に映る私は、ゆらゆらと揺れていた。
薄暗いシェードランプの下、目の下がたるみ、肩回りはぼってりとした肉がついて、男たちが頑張って私の気を引かなければならなかった頃とは、まるで違う体型であることがわかる。ミラー棚の中年の女は所在無げに揺れて、女としての価値が0になっている悲痛に震えているようにも見える。
紺色のフレアースカートの裾を引っ張り、姿勢を正してみる。ミラー棚の細長い隙間に映るこの中年の女は、決して美人ではなかった。
私が私を見ているのを、修二さんはグラスに口を付けながら、目を細めて見ていた。
前髪を直したり、髪を耳に掛けたりして、修二さんの思う私に少しでも近づこうと、努力してみた。
「僕はねえ」
修二さんは言葉を飲み込むように、話し始めた。
「僕は、人生のいろいろをわかっている女性こそが、美しいと思うんですよ」
バーテンダーが、空になった修二さんのグラスに、『響』を注ぐ。
私はミラー棚の隙間に映る自分の姿をかき消したくて、グラスの中をまた飲み干した。
味がしない。紺色のフレアースカートが、少しだけ濡れて、雨粒のような模様になった。
修二さんはバーテンダーからおしぼりを受け取り、私に渡す。
「若いことは美しいけど、美しさは若さじゃない。僕はこの歳になって、それを痛感したんです」
この歳、というほど修二さんは歳老いてはいない。三十代後半ならば男盛りの始まりではないか、と思った。それでも修二さんは必要以上に、年齢を重ねたふうに話す。
「哀愁、というのかな。失敗を知っていて、後悔もしている、そんな哀愁をまとったような、少し影のある女性が、素敵だと思うんですよ」
私は哀愁など、まとっていない。失敗をしているつもりもない。ただ、上手くいっていない今になってしまったことを、後悔はしている。失敗と言い切ってしまったら、もう成す術がない。女の価値が無いのに、妻でも母でもないのに生きていかなければならないのだから、失敗なんて言ってほしくない。
こんな私になったのは、歳をとったからなのだ。ただそれだけで、殺伐とした毎日を生きなければならない。なんの取り柄もなく、ただ歳を重ねて45才になった私は、哀愁も無いし、素敵な女性であるはずないのだ。
私は自分の事をわかっている。
不快感が増えないことだけに気を配り、常に余裕がなく、だから他人を拒絶して、心の狭さが、容姿に現れている。修二さんのように、あえて独りを選び取った男とは違うのだ。
何の取り柄も無い男でも、個性の追求やこだわりが、年老いてもそのまま価値を失わず、仕事や社会的地位に結びつくこともあるだろう。でも私は違った。修二さんのような男とは違うのだ。
三十代後半であろう修二さんはずっと、「この歳になると」とか「この歳ですから」を繰り返し口にする。そうすることで、いっぱしの人生経験があるということを明示したいのだろうが、それにしても「この歳になって」と言えるのは私の方だと思った。
修二さんは充分な若さがある。それに、歳をとるということの意味が、女と男では、違うことを修二さんは理解していない。それは「もうこの歳なんで」と言う、軽やかな自虐の口調でもわかる。時の経過は男女平等ではない。若くない男と若くない女では、ふりかかる運命の残酷さが違う。
「いろいろな経験をした女性の方が魅力的だと思うんですよ」
若く可愛くなくなった女、それなのに妻でも母でもない女への世間の冷たさは、月並みな幸せで妥協できなかった女への復讐だ。十人並みから外れ、外れたところで特別な何かがなければ、それまでの生き方も無意味だったと断定されかねない。実際に今の私は、今までの私が「無意味だった」と思い始めている。他人の視線が自分の価値と違わぬものになっているのは、歯科医の嫁と変わりはしないのだ。私が信じた個性は、所詮その程度のものだった。
修二さんは「この歳で未婚であるということ」を、自分を明るく貶めながら話し、ミラー棚に映る中年の女を肯定し続けている。若さを失った女の哀れさを、自分も同じように背負い、理解している、と伝えている。
視界がゆらゆらと揺れる。口の端が歪んでいる。
若くも可愛くもないのに、美しいだなんてこと、あり得るのだろうか?
漫然と歳だけを重ね、何も産み出してこなかったこの女の、どこを美しいなどと言うのだろう。
修二さんは額に垂れた前髪を人差し指で上げながら、半月のような柔らかい目をさらに細めて、私を見つめた。
本能が認める男──私は必至でゆがむ口元を微笑みに変える。
ウィスキーグラスから言葉が零れ落ちるように、修二さんは話す。
「こちら側の気持ちになってくれるっていうことが、若い娘には無理な気がして。人生経験のある女性なら、そこのところよく分かってくれるでしょうから」
ドラ息子バカ社長の薄っぺらさと、目の前の「本能が認める男」が重なる。私はグラスの中身をまた一気に飲み干した。この素敵な夜に忍び寄る、イライラ感を強いアルコールと共に蒸発させたかった。
悪夢のような現実に気が付き、道の真ん中で涙を流した私が辿り着いた、誕生日なのだ。
いつもの「今だけ」という思いを、微塵も浮き上がらせたくはない。久しぶりに現れた、本能が認める男との時間を、楽しみたかった。修二さんは、私を上機嫌にしようと、こんなロクでもない話を続けているのだから、薄っぺらさなど、どうでもいいではないか。
他人の言動をいちいち気障りに思ういつもの癖が、顔を出している。私はそれを必死に打ち消そうとする。ミラー棚から視線を外し、ぐっと俯いてみた。
改めて、こんな自分になった事を悲しもう。
修二さんの物言いが悪いわけではない、私が頑ななだけだ。
少しだけ、目の前が霞んだ。修二さんが水を飲むように勧めてくれている。
顔を上げて、水を口に含む。
「何て言うか、容子さんを見ていると、僕の」
思っている女性なのかなって、と、修二さんが耳元で囁いた。
私は修二さんの顔を見る。修二さんと夜景が、弛んでいる。
こんな素敵な男性が、潤んだ瞳で私を見ているのだ。なんて素晴らしい誕生日なのだろう。あの中年の女の舌打ちも、コンクリートに沈み込むような灰色の絶望感も、きっと、私を変えるための誕生日プレゼントだったに違いない。かつてない、サプライズプレゼントではないか。きっと私は、生まれ変われる。心が軽くなって、毎日楽しく明るく過ごすことが出来る。ひょいっとすると、誰かの一番になれるかもしれない。個性の追求は間違っていなかったことを、証明できるかもしれない。
アルコールで膨らんだ頭の中で、何度も繰り返し、思う。そして浮遊感の中で決意する。今後は誰彼構うことなく、優しく接しよう。睨んだり、舌打ちをするなんて言語道断。余裕をもって、過ごそう。
「私、元々、私はそういう人間だったんですよ」
え? と、修二さんが聞き返す。
「私、もっと素直で穏やかで、可愛い女だったんです」
「今もそうですよ」
修二さんとの距離が、近い。
私はぼんやりと考える。
年齢を重ねる毎に周囲の人々が態度を変えていったこと。私ごときが、個性を追求し、選び取る人生を求めた浅はかさに対する、罰だ。
若さを失った女への懲らしめだ。
それでもかつての私は、若く可愛い女だったではないか。何故、誰の一番にもなれないのだ。そんな私を嘲り避ける、あの態度は何なのだ。目線を他人に預けることをしないで、欲するものを求め続けることの戒めなのだろうか。特別な何かが無い女が、若さを失うことが、こんなにも致命傷になるなんて。狭量な考え方になるのは、防衛本能のなせる技だ。「今だけ」という心持になることだって、そりゃ仕方ないではないか。だって、若い私の「今だけ」を味わい、その後の私と共に、生きてくれなかったのだから。そこそこで手を打てば良かったのか。馬鹿な、子宮の欲求を欺くことなんて、出来る訳がない。
私は私でありたい。私が悪いわけではない。私が年老い続けるのは、男たちに若さを使い尽くされたからに違いない。そんな私を蔑むような冷笑が聞こえる。
私の機嫌を取っていた男たちがいなくなったこと、上手くいかなくなった原因が若さをなくしたからだということ、あのテレビの女子アナの瑞々しさ、人生のプライオリティーの選択、不快感を私に与える周囲の人間たち、あの中年の女──ぐるぐると同じ考えが頭の中を巡る。
ああ、歳をとるというのは、何て残酷なのだろう。また泣けてくる。
私がこんな思いに捕らわれるのは、年老いてきたからだと、またこの考えに終始してしまう。
チヤホヤされている若い女が憎い。結婚し子供を産む可能性のある女が憎い。家庭を持つ女が憎い。若くなくなったのは私のせいではない。そう、私は何も悪くない。
しかし、今日、45才の誕生日のこの日から、若さに対する嫉妬など、捨ててしまおう。
誰だって老いてゆく。女にとって加齢は命とりかもしれない。
でも、美しさは若さではないのだから、そう言ってくれる男がいるのだから、こだわりや頑なさや個性など、すっかり捨ててしまおう──吐き気がする。
「いろいろ上手いこと言ったって結局は若い女が一番良いんでしょう?」
「まあ、そうですけど」
グラスの丸い氷が溶けて、小さくなっている。
「疲れてしまうんですよ、若い娘(こ)と随分付き合ったんですけど」
私はほとんど水になったグラスの中身を飲んだ。何故かうまく口に入らない。
「何でもやってあげなきゃいけないというか。喜ばせてあげなければ、と思うんですよ。彼女たちはいろいろと、無意識に要求してくる。僕もそれに応えなきゃと思うと、僕が僕らしくいられないって感じがして」
若さを与えているのだから、努力するのは当然だろう。女にとって最も価値のあるものを男に差し出しているのだから、そして男たちはそれを楽しむのだから、それ相当の、いや、それ以上のものを捧げるのは当たり前ではないか。若さを味わうだけ味わって、自分らしさまでをも受け入れろだなんて、随分と身勝手だ。
「若い女は自分を中心に世界が回っていると思っているんですよ。何も知らないから仕方ないかな、とも思うんだけど。なんでこんなに気を使わなくてはいけないのだろう、と思えてきて」
若い女と付き合うことの労力について、しみじみと愚痴をこぼし続けたが、若い身体が極上であるという経験は、容易く忘れられるものではないはずだ。私の若い身体にすがり付いた、領収証の男たちだって、そうだったのだ。ナッツをかじる修二さんを見ていると、私はこういう男に捨てられてきたのだ、と思った。
愛について考える。
いや、考えるのは止そう。私にとってもう意味は無い。私の愛を利用した男たちだ。愛していると言ったところで、古くなればおしまいだった。私は愛されることで、その後の人生を一緒にいたかったのに。若い頃の私は、ひたすらに彼らのおもちゃだったのだ。
人生のプライオリティーをはっきりと自覚し、うまく立ち回れば良かった。
誕生日なんだからもっと飲んでください、と修二さんは空のグラスに自ら『響』を注いだ。その手がふらついているように見える。いつの間にか、新しい氷が用意されており、修二さんはそれをグラスに入れた。琥珀の液体が、グラスの周りに飛んだ。私は、言われるがまま、ウィスキーのロックを飲みほした。
「いいですねえ。だからいいんですよ」
修二さんは、私を見つめながら、顎を上げてグラスを空けた。
「酸いも甘いもかみ分けているような女でないと」
修二さんの顔が、遠のいたり近づいたりしている。
「僕はねえ自分をぶつけたいんですよ」
ため息交じりでつぶやく。
「ぶつけたい?」
「僕らしくありたいんですよ」
「らしさって、何よ?」
「ありのままの自分です。本能のままの僕をぶつけたい」
血液が身体を駆けめぐる音というのは、何て耳障りなのだろう。
「本能のままって、なに?」
修二さんは答えなかった。
アダマントと『響』、ミックスナッツ、色とりどりのオードブル、深緑色のドレスを着たピアニスト、小さな話し声の客たち、薄暗いラウンジバー、星屑の街、それらすべてが私の血液に混ざって、身体中を走る。
「どうです、二人きりで静かに飲みませんか?」
修二さんのその言葉と、静かな拍手が、私の耳元で響いた。
「僕、ここで飲むときは部屋を取っているんですよ」
静けさを求めてね、と修二さんは、グラスの底を眺めながら寂し気に微笑む。
「誰かを誘うなんてこと、したこと無いけど容子さんとなら」
もし良かったらですが、と言って、カウンターに乗せた私の手に、自分の手を重ねた。随分酔っているように見えるが、わざとそうしているのかもしれない。
私も酔っている。そんなことは分かっている。身体の芯が熱く、揺れる。
耳の周りを走る血液の音が、とにかく鬱陶しい。
頭の奥で中年の女が「今だけ」と言っている。私はそれを意識的に無視する。
修二さんを見る。ドラ息子バカ社長が、ロクでもない話を続けていた。
慌てて目をこする。目を瞬かせて、もう一度修二さんを見る。確かに「本能が認める男」がそこにいた。
大きな窓ガラスの向こうに、きらめく夜が広がっている。
前を見据えたままウィスキーを飲む修二さんの、私の手を握る力が強くなる。
ドラ息子バカ社長と重なったことや、頭をもたげた不快感は、私の頑なさが見せたもの
だ。今までの私はそうだったけれど、今日からの私は違う、あの中年の女とは、違うのだ。
アルコールが満ちた脳へ、修二さんが完璧な「本能が認める男」だということを刷り込ませる。
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