第2話もしも、こんなメイド喫茶があったら

チリリン

「お帰りなさいませご主人様」

「うむ」

男はかわいいメイドが案内した席に腰かけた。


チリン。

男はテーブルのハンドベルを鳴らし、メイドを呼んだ。

「お呼びでしょうか?だ、旦那様」

「おいっ、てめえババアだろ?何で、こんな店ににいるんだ?そんなコスチュームよく出来るな!」

「めっそうもございません。まだ、62の小娘ですばい」

「ですばい。じゃねえよ。しょうがないな~、チーズケーキと紅茶」


「お待たせしやした、旦那!」

「は?てめえ、男だろ?」

「私の名は、前原健介。43歳のフリーターでございます。お見知り置きを」

「腕は毛深けーし、脛毛はひでーし。なんで、このメイド喫茶にいるの?」

「旦那、そんな人生があってもいいの……」

「よくねえよ!前原君、ここはハプニングバーかい?ババアはいるし、女装癖の男はいるし」

「では、チーズケーキと紅茶が美味しくなる、おまじないを一緒に」

「やだよ!」

「では、私が1人で。……シーコ、シーコ、ドプュッ!」

「うわ~、最悪。オレ、帰るわ。紅茶だけでいい。チーズケーキ、キャンセル」

男はこの店の常連客になった。

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