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学校へ走ってそのまま理科室に向かう。
先生たちが朝礼中のいまがチャンスだ。
理科室廊下側の下、前から三番目の引き戸を揺らす。カチリと音がして鍵が外れる。戸を引いて、なかへ潜りこむ。
「フウ、どう?」
て、廊下で見張っているハルカに、
「いない、」
「やっぱり、ね」
黒板のよこ、ガラス戸の標本棚にはしっかり南京錠がかかっている。いつも通り、開けた形跡だってない。
それなのに、
何十年と児童を見守ってきた人骨標本 ベティちゃんの姿は、そこにない。
「と、ゆうことはっ、」
「教室だ」
教室にまわり、ヤンの姿がまだないのを確認する。
ヤンはいつも朝一番にきてる。
いつもならもうきてる。
預かりものだけまりちゃんに渡し、ランドセルを放りだして教室をとびだす。少しでも軽い方がいい。
「どうしたの、朝の会はじまるよ!」
廊下で担任 梅ちゃんとすれ違うけどごめんなさい!
うしろから「きょう、休みます」て、ハルカの声と「き、き、緊急事態です!」て、シュウの忙しない言い訳が追いかけてきた。
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