伝説の魔剣、略してデンマ!? 伝説の魔剣だか電マだかわからないけど、キノコ型の振動するヤツで異世界をイきヌきます!!! ~電動マッサージ機は伝説の魔剣の夢を見るのか~
忍べ! 飛べ! 全裸電マ男! セイギのために!
忍べ! 飛べ! 全裸電マ男! セイギのために!
イジュはなんとかなったが、まだ露出狂闇堕ちがいる。
伝馬の現在地からはネリネも露出狂闇堕ちの姿は見えない。しかし、やり合う音は遠くから響いてきている。音の方へと目を向けると、空の端が閃光し、雲が揺れていた。
(まだやりあってる……ネリネ、今行くよ!)
伝馬はイジュをその場に寝かせると、
「イジュ、僕はネリネを助けに行く。だから、ここで大人しく待っててね」
そう言ってイジュの額をそっと撫で、決然と立ち上がった。そして走り出した。
ネリネを救い、闇堕ちを倒すべく、靴だけ履いた全裸少年が行く。片手に電マを携え颯爽と。陽光を一身に受け、燦然と。
加速がつくと、伝馬は地面に電マを、棒高跳びの要領でぶち当てる。
ヴヴヴヴヴイイイィィ~~~~~~ンンンンンン……………!!!!
電マの振動がエネルギーを集中させ、反発を生む。エネルギーと反発が最大限になったタイミングで伝馬は膝を折り、跳躍。
すると、ロケットのように超高速で射出される伝馬。五百メートルはある距離を、わずか三秒ほどで跳ぶことができる。
着地にももちろん電マ。電マで着地の衝撃を吸収することで、安全かつ確実に着地することができる。
電マによる跳躍と着地を繰り返していると、
(あ、あそこだ……!)
伝馬は二人の姿を見つけた。
そこは戦場だった。たった二人、一対一の争いとは思えないほど、激しい戦いが繰り広げられていた。黒雲立ち込める空にはドラゴンとドレイクが
「す、すっごい……!!」
伝馬は足を止め、思わず息を呑んだ。まるでハリウッドの大作映画を見ているような感覚だった。
(これが魔術師同士の戦い……!)
伝馬は衝撃を受け、感動し、胸が熱くなりながらも、しかし同時に驚愕し、とっても怖くなってしまった。
これは映画ではない。映画ならポップコーン食ってコーラを飲んで観賞すればいいが、これは現実なのだ。ネリネを助けるには、伝馬はこの中へと飛び込んでいかなければならなかった。
「はぁ……はぁ……」
伝馬の呼吸が荒い。一度足が止まってしまえば、再び足を踏み出すのが難しくなった。
勇気は車輪だ。動き出せば慣性でどうにでもなるが、動き出す瞬間こそ、一番力を必要とするのだ。
そのとき、竦む伝馬の目にネリネの姿が見えた。火と塵に煙る戦場で、凛々しく戦う彼女の姿が伝馬の目に映った。
(ネリネが戦っている……!)
ネリネの姿を見た瞬間、伝馬は駆け出していた。命を賭して戦う女の子を見て、傍観できるほど伝馬は弱くない。
勇気に衝き動かされ、伝馬は戦場へと歩いていった。歩きつつ、冷静に戦場全体を観察した。
伝馬の目が露出狂闇堕ちの姿を探している。こっそりと静かに戦場に近づきつつ、巻き込まれないよう、また見つからないように遠間回しに眺めること三分、ようやくその姿を発見した。
露出狂闇堕ちは上空にいた。ドレイクの一体にまたがり、ドラゴンたちを指揮し、時折自らもネリネへと魔術による攻撃を加えている。
今のところ形勢は五分に見えるが、露出狂闇堕ち側は数が多い。可憐に凛々しいネリネの横顔にも疲れが見える。持久戦はネリネが不利だ。
(ネリネ、もう少し耐えてくれ……)
伝馬の頭の中に一つのプランがあった。
囮作戦だ。
ネリネが露出狂闇堕ちの注意を引き付けている間に、こっそりと伝馬が敵の背後を突くという、至極単純な戦法だ。
(単純だけど、きっと上手くいく。以前のように取り逃がすこともないはずだ)
露出狂闇堕ちは、今のところ伝馬に気付いていない。作戦は順調だ。
そろ~りそろりと、伝馬は幼少の頃に得意だった、かくれんぼの感覚を思い出しながらそっと歩いた。その様子は全裸に電マだから、まるで今からハレンチに及ぼうとする犯罪者のそれに酷似している。
ネリネが派手に攻撃してくれるおかげで、伝馬は無事に露出狂闇堕ちの飛行経路の下へと潜り込むことができた。
あとは露出狂闇堕ちが、電マの射程内に入るのを待つのみ……。
ところがこれがなかなか大変だ。露出狂闇堕ちの飛行経路ということは、そこはもうれっきとした戦場なのだ。
どかーん。
ぼかーん。
ばかーん。
いやーん。
火の玉が空から降り注ぎ、地上から放たれる。あちこちで爆音が鳴り響き、砕けた土や石が飛び散り、砂と煙がもうもうと立ち上る。
(ひぃ……)
身をすくめる伝馬。半泣きだ。無理もない。いかに伝馬が戦いに慣れてきたとはいえ、数ヶ月前までは一般男子高校生だったのだから。
それでも伝馬は電マを我慢して使わなかった。使えばバレるかもしれないからだ。作戦を成功させるためには、いざというときのギリギリまで使えないのだ。
(は、はやく来てくれ……!)
魔術飛び交う上空に目を凝らす。青い空を縫うように燃え盛る火炎が激しく交差し、飛び交う様はこの世の終わりのようだ。
たっぷり五分はそんな地獄を味わった伝馬だったが、
(おっ……!)
ついに来た。頭上に露出狂闇堕ち。伝馬には気付いていない。完璧なシチュエーション。
「行くぞッ!」
電マのスイッチを入れる。
ヴヴヴヴヴイイイィィ~~~~~~ンンンンンン……………!!!!
電マの唸りと伝馬の跳躍はほとんど同時だった。
上空に突如躍り出る一つの影。
「なッ!?」
と、露出狂闇堕ちが気づいたといにはもう遅い。露出狂闇堕ちが伝馬を認識するのと、その大きく豊満でたわわな胸元に電マが突きこまれるのは、ほとんど同時のことだった。
ヴヴヴヴヴイイイィィ~~~~~~ンンンンンン……………!!!!
「きょわわわわわわやわやわわわわわわぁぁぁぁ~~~んんんん………………!!!」
嬌声の絶叫。激しく波打つ露出狂闇堕ちの胸。
ポヨポヨボヨボヨブヨブヨバヨバヨベヨベヨビヨビヨ。
意思があるかのような凄い揺れ。電マの振動がよく可視化されている。その下でドレイクも恍惚の顔を浮かべていた。露出狂闇堕ちの身体を通して電マによる混沌魔力が、ドラゴンへと伝わったのだ。
露出狂闇堕ちを乗せたドレイクは緩やかに滑空しつつ高度を落としてゆく。
それより先に、伝馬は空中でくるっと一回転からの急降下。着地は電マで衝撃を消し、華麗にキメた。
ドレイクはやや遅れて、伝馬の後ろで胴体着陸。伝馬が振り返ると、そこには弛緩しきった恍惚の微笑を浮かべて昇天する一人と一匹。
上空に群れなしていたドラゴンやドレイクは、露出狂闇堕ちが倒されると突如散開、露出狂闇堕ちの呪縛が解けたのだろう、四方八方へ飛び去って行った。
「やった……終わった……!」
見事、露出狂闇堕ちを仕留めた伝馬、ほっと深く大きく息を吐くと、その場に座り込んだ。
「んッ……!?」
伝馬のプリケツが直に地面に触れた。そこでようやく気づいた、自分が全裸であることに。
黄門様と黄金球と象徴棒に砂が付く最低最悪の感覚に伝馬は飛び上がった。
(うええええェェ……最悪だぁ……。というか、なんで裸!?)
わけのわからん事態に、その顔が一気に曇る。
と、そこへ……、
「テンマ~~~~!!」
駆けつけてくるネリネ。激闘に汚れた顔に、満面の笑みが浮かんでいる。
(や、やばッ!?)
伝馬、慌てて手で股間を隠す。その際、未だ起動したままの電マが、先端にちょこんと触れてしまう。
「うひゃッ」
ちょっと悶絶しつつ、慌ててスイッチを切った。
(何か他に隠すものは……)
あたりを見回すも、何もない。木も草も、先程の戦いで焼け野原になってしまっている。焦げ砕けた木ではどうしようもない。とにかく今は手で隠すしかなかった。
「テンマ! やったわね!」
ネリネ、伝馬にダイブ。
「ちょっ……」
大事な象徴を両手で隠しているため、ダイブに抗う術がない。伝馬はネリネにされるがまま、抱きつかれて倒れ込んだ。
「凄いわテンマ! あなたやっぱり英雄ね!」
全裸なのにお構いなし。ネリネは伝馬をきつく抱きしめ離さない。むしろナマ伝馬を味わうように両手は伝馬の肉体を這い、身体は余すこと無く密着。もうヤリたい放題。
(戦いの後で興奮してるのかな? オリンピック選手とか凄いらしいし)
抱きつかれながらも意外と冷静な伝馬だった。ネリネの過剰な愛情表現に、伝馬は却って冷静になってしまったらしい。
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