第3話 Search
翌日、そうめんを食べ終えたぼくは学校の図書室に向かった。冒険に出る前に、インターネットエクスプローラについて調べなければならないからだ。
今朝父さんからきいた話だと、インターネットエクスプローラは省略してIEって呼ばれることが多かったらしい。IEはかつては人気だったけど、色々あった結果、令和という時代の初めに、ついになくなったらしい。
IEについてぼくは何も知らない。だから無駄なく調べようと思ったら、まずは分かっていることから調べていくのが良い方法だろう。そう思って、まずは令和の初めごろの新聞記事を調べてみることにした。当時は大きなニュースになったらしいから、年末の振り返り特集に載っていそうだ。
【月刊 毎日朝昼夕小中学生新聞】
令和十年十二月十五日。
・景気減退、なおも
・出生率の低下
・災害多数
・年金受給開始が百歳からに
その他多数。
この年じゃなかった。
令和九年十二月十七日。
・景気減退も長期的には回復見込み
・労働力不足、各社は引き続き注視
・円安続く
この年でもない。
そしてさかのぼること数年……。
令和四年十二月十四日。
・コロナ終息、経済回復に期待
・公衆衛生維持税の導入決定
などなど色んなニュースが並ぶ中、下の方にその文字が並んでいるのを見つけた。
「・IEサポート終了。各社影響」
これだ! この年だ!
令和四年という年に、IEがなくなったんだ。各社影響って書いているから、良くないこともあったみたいだ。よし、この年の記事を一月ごとに見てみよう。ぼくは次に令和四年の記事を引っ張り出してきた。月を追うごとに情報が濃くなっていった。ぼくは、記憶のない令和四年の世界にのめり込んでいった。
令和四年六月十六日、マイクロソフト社はIEのサポートを終了した。約二十年にわたってインターネットの発展を支えてきたIEだったが、ウイルスに対する脆弱性などが問題視されていて、段々と利用者が減っていったのだそうだ。そしてこの日以降、それまでIEを利用してきた人々は他のブラウザ(ここはよく分からない)を利用しなければならなくなった。特に会社内で使うシステムはこの日までに作りかえを急いで終わらせるなど、いろいろなところで影響が出たらしい。
六月十六日までにシステムの作りかえがうまくできなかった企業では、もっと大変だったらしい。できなかった企業の例として、とある銀行が記事になっていた。その名前は、
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