第15話 家族会議
あれから二週間がたった。
あれから何回も家に帰れないかな〜とさりげなくアピールしたけれど、お祖父様に全部却下された。
曰く、また失踪したらどうするんだ、らしい。
心配させすぎたせいで無茶苦茶過保護になってる。お母さんもお父さんもそれに同意してた。
心配かけたのは悪かったけどさ、いくらなんでも行き過ぎだと思う。
それに、そろそろ向こうに行かないとどうなっているかがわからない。一応わたしは統治者だし、命を預かる以上責任がある。
ということでその旨をお祖父様とお父さん、お母さんに伝えたのだけれど
「ダメだ」
「なんで!?」
真っ向から否定された。
いや、また怪我したりとかを心配してるんだろうけど、そんなこと言ってたらこっちの外も歩けない。命の危険といえばこっちにも通り魔とかがいるのだし。
「見ず知らずの者のためにお前が傷付く必要はないだろう」
「傷付くって······」
別にわたしだって進んで傷つこうとしているわけじゃない。というかそんなやつがいてたまるか。
それに
「見ず知らずというわけじゃない。わたしが彼らを受け入れたのだし、責任がある」
「責任なんて····あなたが危険を冒すくらいならしなくていいでしょう?」
「そうだ。別に無理しなくても·····」
別にみんながわたしを心配していってくれているというのはわかる。それでも向こうには少しの間だけでも一緒に過ごした人たちだ。
「それに、わたしのことを慕ってくれている子もいるから」
「·······」
三人が口をつぐんだ。
「·····わかった。そこまで意思が硬いなら仕方ない」
「お父さま!?」
「お義父さん!?」
はあ、と二人の声を聞きながらお祖父様がため息を吐いた。
「仕方ないだろう。詩織は一度決めたら意見を曲げることは殆ど無い。説得も難しいだろう。かと言って止めても黙っていきかねない」
「·····それは、確かに」
「お父さまの血を引いていますからね」
わたしのことをなんだと思ってるのかな?まあ確かに強硬に反対されたら黙っていくことも考えていたけど。なんですぐにそれに思い至るのか。
「行くのはまあ、仕方ないが3つ条件がある」
「········何ですか」
流石に許容範囲外のものは受け入れられないし······お祖父様のことだから無茶なことは言わないと思うけど。
「一つは一週間に一回は顔を出すこと。ちゃんとやれているか確認したいしな」
これはまあ、想定内。当然の条件だ。
「2つ目はなにか困ったら私達に相談すること」
これは·····素直にありがたいな。向こうじゃ立場的におちおち弱気を見せられないし、聞いてくれる人がいるだけでも助かるし。
「3つ目は、絶対に生きて帰ってきなさい。これは前の2つを超える絶対条件だ」
じっと見つめてくる憂いと真剣さを宿したお祖父様の目に素直にうなずく。
「わかった。その条件は守るよ。もともと死ぬ気はないから!」
「うむ。それではこれでいいな、二人とも」
「ええ」
「はい」
お父さんはともかく、お母さんは若干の不満を見せながら一応同意した。
「それじゃあわたしは三日後に行くから」
「「「え?」」」
「え?」
四人で顔を見合わせる。
? と一瞬言っている意味がわからない、と疑問符を浮かべる。
「「「な、なん(ですって〜)だって~!!??」」」
「うひゃっ!?」
絶叫が屋敷中に炸裂した。
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