建国編

第5話 勝利の後

ふと眩しさを感じて目を開けた。




「んっ」




森の中にいたはずだと一瞬首を傾げ、すぐにゴーレムに運んでもらったことを思い出して納得する。


体に目を落とすと寝間着だった。どうやらゴーレムが着替えさせてくれていたらしい。右腕の痛みは嘘のように消えていて、体はいままで感じたことの無いほどに好調だった。


よいしょっ、と寝台から出る。


寝間着から着替えようと脇に置かれていた服を見たけれど、竜との戦いでボロボロになってしまっていた。




「宝物庫に換えになる服ってあったかなー?」




少し眉尻を下げながら困ったなぁ、とため息をついた。


武具などは山程あったけれど、服というのは少なかったと覚えていたからだ。




「一応、着物っぽいのがあったはず」




どこだったっけ、と記憶をたどりながら宝物庫へ向かう。


宝物庫に入ると、大量の魔法武具や魔導具、宝冠、金貨が出迎えた。


まあ、いくら価値のあるものだって言っても他に人がいない以上、綺麗なオブジェというものでしか無いわけだけど。




「えーと、こっちだったかな?」




壁際にあった、やたらと豪華な箱を開けて見ると、緋色の袴と矢絣模様の着物を見つけた。


鑑定の魔導具を使ってみると、結構凄まじい一品だった




ーーーーーーーーーーーーーーーー


戦姫の袴


・自己修復


・魔法防御(極大)


・呪い無効


・サイズ自動調節




戦姫の振袖


・自己修復


・物理防御(大)


・筋力上昇(大)


・サイズ自動調節




戦姫の帯


・自己修復


・魔法威力増加(大)


・体力増加(大)


ーーーーーーーーーーーーーーーー




「おー」




早速着付けてみると少し大きかったのがピッタリのサイズになった。


華美ではないけど最高の物のみが持つ品のようなものがあった。




「他はこれかな?」




もう一つの箱には小物などが入っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


戦姫の髪飾り


・自己修復


・自動治癒


・解毒


・鑑定妨害




戦姫の履物


・自己修復


・敏捷上昇(大)


・サイズ自動調節




戦姫の腕輪


・自己修復


・魔法記録


・異空収納


・サイズ自動調節


ーーーーーーーーーーーーーーーーー




どれもこれも一つで城が立ちそうな価値を持つであろう代物だったが、私は知らなかった。




「さて、これから何しましょうか」




城ですることなんて限られているし、街づくりも完成してしまっている。


少し考えて




「あ、そういえば竜の死体はどうなったんだろう」




と、ふと忘れ去っていたことを思い出し城の中の倉庫のひとつに置いていた竜を見に行ったーーーーーのだけれど。




「······わあ」




そこにあったのは竜の死体·········ではなく、解体され素材となった竜の残骸(?)だった。




「·····ゴーレムさん無慈悲か」




きれいに血、骨、内臓、竜鱗、角、魔石に仕分けられていて死闘を演じた敵手は見る影もなかった。


くるりと踵を返し何も見なかったことにして部屋を出た。


ちょうどすぐそばを城内を警備しているゴーレムが通り過ぎていく。


その姿をなんとなくぼんやりと見ていると、はた、といい考えがひらめいた。




「そうだ!」




この城には人が私しかいないから異世界モノでよくあるメイドさんがいない。


常々一人ぼっちで寂しいなー、と思っていたところだしちょうどいい。


人がいないならつくればいい!


なーに、人と同じ姿かたちと言語能力、思考能力をもたせればゴーレムだって人と変わるまい!!




「よーし!そうと決まれば早速始めないと!!」




とりあえず、どんなものにするのかだいたい決め、必要な材料を根こそぎ集めると、作業台のある部屋に閉じ籠もり、作り始めた。

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