第14話~副総理の処遇~

この世には、総理大臣や内閣官房長官と言った重要なポストの裏に、もう一つ重要なポストがある。


それは「副総理」だ。


これは正式な官僚名ではないが、総理をサポートする上で重要であり、もし総理が病気などで欠けてしまった際に、すぐに代理総理を就任できるように、設置されたポストである。


この副総理に就任をすれば、ほぼ八十%の確率で次期総理になれるということだ。それくらい総理の階段に一番近いポストであるため、なりたい政治家は大勢いるというわけだ。


今回はそんな「副総理」をテーマにした話である。


総理執務室には、総理と内閣官房長官の二人が重い雰囲気の中、話をしていいた。


内容は、どうやら来月内閣改造を行うため、閣僚人事を決めようというものであり、外務大臣・防衛大臣などの国務大臣はほとんど決まっているが、ただ一つ、決まらないポストがあった。


それは「副総理兼法務大臣」を務めているとある男性である。


この男を次の改造内閣で副総理として入閣させたほうがいいのかを、中心的に話を進めていたが、これまた難航していた。


何故なら、この男はかなりのくせ者であり、法務省での記者会見中に記者と大喧嘩したり、予算委員会内での失言は多々あるため、支持率も内閣発足当時に比べて、だいぶ減った。


それもこれも、すべて彼のせいである。


だが、彼を完全に責められない。なぜなら、去年発案した「死刑方法関連法案」に関しては、新たに死刑方法を増量しており、今年の春に衆参両院を通過し、施行された。


そのことにより、例年に比べれば、犯罪件数が激減をして、支持率もかなり上がったことがある。


それに「裁判員新法案」を可決、施行したため、この内閣でもかなりの腕前を見せており、性格はかなり悪いが、仕事に関してはかなり役に立つ人物である。


そのことがあるため、安易に決めない方がいいのだ。


すると官房長官がこんなことを言った。


「だったら、副総理をなくして、法務大臣として専念させましょうよ」


それも良い案だなと思ったが、そうなると彼は当然、総理を目指しているわけだし、このまま副総理を降ろしたら、確実に反発が来るに違いない、そう思い、少し躊躇していると


「でも、総理の口から必要な存在だと示せば、きっと納得してくれるはずです」


確かにそうかもしれない。副総理を降ろしたとしても、法務大臣としてかなりの実力を発揮しているため、その部分に関してはかなり必要な存在だと言えば、納得をしてくれるはずだと思い、早速彼に会いに行くことにした。


その光景を見た官房長官は安堵した。


これで通例通り、臨時総理順位は自分が一位になるため、これで総理の道が近づいてきたということで、内心笑っていた。




~終~

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