第10話~取調室~

現代の日本、特に都心になると、とても不安なこともある。


それは治安の悪さだ。


最近、年々と犯罪件数は上昇しており、居心地が悪くなっているのも事実である。


今回は、犯罪をテーマにしたお話である。


主人公は、この男性警部補。キャリアも長く、署内ではとても人気や信頼も高い人物である。


そんな警部補は、毎日とても忙しい日々を送っている。なぜかというと、毎日ひっきりなしに来る犯罪者たちだ。


最近は平和な国と言われているが、警察内部からにとってはかなり緊張感のある国になったと言う幹部もいる。


昨日も窃盗傷害事件の取り調べを終えたばかりのため、少し休憩をしたいと思っても、そうとはいかない。


一人の警察官に連れられ、一人の若者が入ってきた。どうやら高校生みたいであり、この係にきたということは、傷害事件関係だろうと思っていると、警察官が自分に耳当てでこういった。


「殺人関係の重要参考人です」


一体どういうことだと思い、少し問い返してみると、一週間前に起きたサラリーマンがナイフで殺害された事件で、現場近くで怪しげにうろついているところを、事情聴取され、今ここにいるということだ。


この警察官がつれてきたということは、かなりクロに近いということだ。こうなったら自分の出番だなと思い、すぐに取調室に若者を連れてきた。


一切喋れないこの若者。別にこれは日常茶飯事なため、特に驚くことはないが、少し気になることはあった。


それは、後ろの首筋にある血痕の跡だ。これは確実に何かあると思い、とりあえず座らせて少し世間話を始めた。


唐突に聞くと、壁を作られてしまうためである。そうなると、かなり自白させるまで時間がかかる。


それは避けたいため、この方法しかない。当然答えは返ってこないが。


しばらくしてから、首筋の話を切り出すことにした。


「お前、返り血浴びただろ」


濁したり、遠回しで聞くよりかは、自分はストレートで聞きたい派のため、そう問いただした。


なぜ、それがわかったかというと、よく見ると髪の毛にも血痕が付いている。おそらく、ナイフを刺した後、後ろ向きでナイフを抜いた時に、このように首筋に返り血を浴びたと推理した。


それを話すと、少し若者がおびえてるように感じた。これはビンゴだと思い、こう一言投げかけることにした。


「償え。そして、生まれ変われ」


自分がよく犯罪者に投げる言葉である。


人生なんでも過ちや失敗がある。しかし、それを軽蔑するのではなく、生まれ変われるという事実を知らせてあげた方が、良いのではないかと思い、自分はいつもこの言葉を送っている。


それを聞いた若者は、重い口を開き、話し始めた。


「実は、喧嘩したときに、友達の鼻血を浴びちゃって」


「え?」


いや、殺人事件とは違うんかいと思いながらも、とりあえず話を聞くことにした。


話の結果、こいつはシロだった。




~終~

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