第6話~映画館スタッフから見た景色~

皆様は映画というのは好きですか?


最近は洋画・邦画だけでも年間何百作の映画が世に出ています。


最近は配信サービスというのが便利になっていますが、やはり映画館に行って、臨場感溢れる作品を見るのが自分は好きです。


今回はその裏側のスタッフにフィーチャーを当てた作品です。


とある大型映画館のスタッフをしている一人の若い女性がいる。


彼女の仕事は様々あるが、一番楽しみにしている役目がある。


それは、映画が始まる前に注意事項などを述べて、映画館に訪れている大勢のお客さんを前に一言「お楽しみください」と笑顔で発する大仕事である。


普通のスタッフは、緊張しすぎて苦手意識を持つ人が多いが、自分は違う。


何故なら、自分は映画にどんな人が見に来るか、ある意味の人間観察をすることが好きだからである。


変わっているかもしれないが、彼女は子供の時から、人間観察をするのが好きで、よく周りの大人を見ながら、妄想をするのが好きであった。


今回も普段通り、映画館のとあるAスクリーンに入りこむ。今日担当するのは、ジャパニーズホラー映画であり、かなり怖いと話題の映画である。


しかし、既に公開から何か月か経っているため、中もあまり人は多くは無い。


中は、少し小さな造りであり、後ろに何人かいるだけで、前や真ん中は誰もいない。


一番後ろに親子連れで来ているお客さんもいた。それも子供は見た目的にはまだ小さい。この映画は別に年齢指定はないが、それにしてもこの子供に見せる映画としては、ある意味可哀想としか言葉が無かった。


恐らく、無理やり連れてこられたのだろう。そんな顔をしており、心配な気持ちにもなった。


その少し手前には、サラリーマンの男性が座っている。スーツ姿のため、仕事帰りかもしれないが、時間はまだお昼を過ぎたばかりである。


休憩中に来たのか、それにしても休憩中に見る映画ではないと感じながら、少し見ていると、真ん中には、少しロングヘアの女性がスマホをいじりながら、座っている。


もうそろそろ、始まるのにと思いながら、時間通り、自分は注意事項を述べ始めた。


当然、スマホのこともきつく言った。


すると、真ん中の席に座っているスマホをいじっていた女性がこちらを見てくる。かなり真顔でこちらを見てくるため、少し不気味さを覚えながらも、最後に


「ごゆっくりお楽しみください」


と言ってAスクリーンから出た。


先ほどの女性が少しばかり不気味さを覚えたため、次第に鳥肌が立ってきた。でもとりあえず、他の仕事終えてから、しばらくして同僚に先ほどの出来事を話始めた。


すると同僚の口からこんな言葉が出た。


「え?さっき掃除で、終わったぐらいのAスクリーン行ったけど、一番後ろの家族連れ以外、誰もいなかったけど」


じゃあ、あのサラリーマンと女性は一体誰だったのか・・・




~終~

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