第3話~おはよう~
「おはよう」
この一言でどれだけの人が、爽やかな朝を迎えることが出来るか。言うと言わないでは、これまた違う。
今日の物語は、そんなひと時を描いた話である。
僕は、今日も爽やかな朝の光に、夢という暗い闇の中から目を覚ます。
昨日はほとんど部屋で、高校受験の勉強をしていたため、少し疲れもあったのか、ほとんど酷い夢しか記憶になかった。
そのため、無事に目を覚ませたことを、神様に感謝をしつつ、体を起こすことにした。
僕の家族は、両親と妹の四人暮らしであり、妹は今年中学に進学をする。今は兄妹揃って、忙しい日々を送っている。
パジャマ姿のまま、リビングに向かうと、そこには母親が料理をしながら、元気よく自分に
「おはよう」
と言ってきた。
今日の母はとても機嫌がいいみたいだ、何故なら、いつもはテンションを抑えた感じで言ってくるが、今日は完全にテンションを上げてる状態で言ってきた。
これには理由がある。
それは今日は友達と一緒に、大好きなバンドグループのライブに行けるからだ。
長年母はそのグループの追っかけをしており、今日は初めて彼らを目にするため、興奮以外は言葉で言い表せない。
でも人は誰でも、嬉しいことがある。特に当日の朝になると、待ち遠しくなるため、喜びの感情が最高レベルになる。
この光景を目にしたときには、僕曰く「喜びのおはよう」と決めている。
次に父親が、少し不機嫌そうに
「おはよう」
と言って入ってきた。
これも理由は知っている。実は会社の上司に少しだけ厄介な奴がおり、自分にばかり責任を押し付ける、世間的には理不尽と言われてもおかしくない人物がいる。
昨日もその巻き添えを喰らったみたいなのだ。これは少しばかりそっとしておこう。
人は誰だって、不機嫌の時は喋りたくない。
この光景を目にしたときには、僕曰く「怒りのおはよう」と決めている。
次に妹が、少し目に涙を浮かべながら、
「おはよう」
と言って入ってきた。
何故だが、これも俺は理由を知っている。
どうやら親友の友達と喧嘩をしたみたいなのだ。長年仲が良く、一緒に出掛けるほどの仲である。
しかし、たまたま昨日は好きな人を巡って、小さな言い合いをしてしまったらしい。
別にそれは誰だってあることだし、妹はとても繊細であるため、涙もろい性格である。
それも当然兄として分かることだし、別に泣くなとは言わない。しかし、僕が一つだけ言えるとするならば
「気持ちを家を出る前には切り替えておけよ」
喧嘩・言い合い・嫉妬、それは人間誰しもが経験することだし、それは否定しないが、一番やってはいけないことは、引きずることだ。
それは、相手に対しても失礼なことだし、それに当然自分にも良いことはない。
それだけは後できつく言っておこう。
この光景を目にしたときには、僕的には「哀しみのおはよう」と決めている。
ここまできて「喜怒哀楽」の「喜び」「怒り」「哀しみ」が見事揃っている。
では自分は当然、これを思いながら「おはよう」と言おう。
「人生、常に楽しみましょう」
最後にあなたはどんなおはようで、一日を送りますか?
~終~
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