第37話 計画
冒険者ギルドへ到着すると、ギルが一人、重そうな扉を開けて中へ入っていった。梨紗とレイは入り口で待機した。
梨紗が暇を持て
驚いた梨紗は慌ててレイの後ろに隠れた。
砂埃が舞う中、大剣を帯びた女性はオレンジ色の髪をなびかせて冒険者ギルドから現れた。
「敵はどこだ?」
「敵ではないです。」
その好戦的な様子に、開けっ放しの扉から歩いてきたギルは心なしか疲れた表情であった。
状況を見ると、どうやらこの女性(ギルドメンバー)と一緒に竹林の視察に向かうことになったようだ。
梨紗は個性的な同行者に、『大丈夫だろうか……?』と少しの不安を覚えるも、たぶん大丈夫と思い直した。
梨紗達は、中型の飛竜を借りたオレンジ髪の女性と共に竹林まで飛んで行くことになった。
☆★☆
上空から竹林の様子を眺めると、入り口の方は整備された竹が等間隔に並んでいた。しかし、奥に行くにつれ複雑な竹や草木などが増えて影になり、中の様子を窺うことはできなかった。
さらに詳しく観察するために低空飛行をしていると、やはり所々に野生生物がいるようだった。
どの生き物も、少なくとも人間の子供ほどの大きさだった。
壮絶な縄張り争いをしていたり、必死に餌を探している様子が見られることから、どこか緊迫感が感じられた。
そうやって観察していると、草木の茂みが増えてきた辺りで、一瞬、キラリと光ったライトグリーンが梨紗達の視界に入った。
違和感を覚えたギル達は一度入り口まで戻ると、手がかりであるライトグリーンが見えたところへ向かった。
足音を立てないよう慎重に歩き、時々地面に伏せて物音が遠ざかるのを待ちながら進んでいると、ようやく目的の茂み付近にたどり着いた。
長剣を持ったギルが余分な草を薙いでいると、陰で身を伏せ、葉っぱの間から何かを窺っている
「何をしている?」
オレンジ髪の女性が大剣を
「げっ、冒険者ギルドメンバーのアスカさんと……昨日の猫をつれたお客さんじゃないですか。ん? お客さん?」
宿屋“オール”の従業員は冷や汗をかいている様子だったが、突然すっと立ち上がって服に付いたほこりを払い、キリッとした表情で誤魔化しにかかった。
「えーっと……道に迷いました!」
ギルが困惑していると、オレンジ髪の女性、アスカが呆れた様子で大剣を下げた。
「ライン、またお前か。地面に張り付くなら他所でやってくれ。ここは今危ない。」
アスカに注意された宿屋“オール”の従業員、ラインは少しむくれつつも、大人しくアスカに付いて入り口へ向かった。
ほっと息をついたギルが何気なく振り返ったその時、梨紗の存在はレイのそばから跡形もなく消えていた。
そのことに気づいたギルは、徐々に血の気が引くのを自覚した。
「リョク、……?」
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