第19話 屋敷探検

 この屋敷について詳しい話を聞いてるステラをよそに、梨紗は伯爵邸を探索しようと、廊下を飛び出していった。


(どこに行こうかな……あ、あそこにしよう!)


 梨紗は目をキラキラさせながら、屋敷の柱に爪を立てた。


ばりばりばりばりばりっ


 両手、両足の爪を出して柱に引っ掛けると、全身の筋肉と猫特有の身軽さを利用して天井付近まで登り、柱と柱を繋いでいるスペースに飛び乗った。


(良い景色だ……!)


 数分後、梨紗は自力で柱の上から降りれないことに気づいた。


☆★☆


(や、やっと終わった……)


 ステラはすべての屋敷の説明を受けて頭がパンクしそうな中、梨紗を探すために廊下を歩いていた。


「トラちゃん、終わったよー!」


 何気なく歩いていると、目の前にある柱に、はっきりと爪痕が残されていることに気付いた。


「……!!」


 ステラは冷や汗をかきながら、柱の上に続く爪痕を目で追った。


「ひえっ」


 柱の上でほこりまみれになった梨紗を発見すると、ステラはひっくり返って目を回した。


「にゃ!?(ステラー!?)」


 毛を逆立てた梨紗は慌ててステラの元に行こうとしたが、高いところから降りれないため、ひたすら大声で人を呼び続けた。


「にゃーーー(誰かーーたすけてーー!)」

 

☆★☆


 その後、梨紗とステラは無事に救出されたが、梨紗はほこりまみれになっていたのでお風呂で洗われることになった。


 侍女はぬるま湯が入った桶に梨紗を入れようと持ち上げると、梨紗は手足をつっぱり、断固としてお湯に浸かるのを防いだ。


 しかし、それで諦める侍女ではなかった。


 笑顔でその桶を掴むと、梨沙の背中からお湯をかけた。


「にゃー(ぎゃー)」


 梨紗は濡れねずみになりながら必死に逃げようとするも、いつの間にか侍女にシャンプーで洗われ、気付けば洗い終わってタオルで拭かれているところだった。プロである。


 そんなこんなで綺麗に洗われた梨紗は、リビングのカーテン裏で毛繕いをすると、カーテンくるまり眠ってしまうのだった。

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