第8話 宿屋のみんな
宿屋で働いている人は、実は四人いる。
配膳と受付をしているカールとステラ。掃除と洗濯をしているシーナ。店主兼料理人をしているガイである。
カールは金髪にぱっちり二重な茶色い目で、そっけなく見えて意外と情に厚い。
ステラはおさげの赤髪に琥珀色の目は少しつり目気味で、いつも明るく、宿屋の雰囲気を良くしてくれる。
シーナはふわふわした長い桃色の髪に藍色の奥二重である。優しく、少し腹黒いところがある。
ガイは短い茶髪に鳶色のたれ目で、みんなの兄貴分である。普段は穏やかだが、料理の事になると暑苦しくなる。
それが、梨紗から見た印象なのだった。
☆★☆
梨紗が二度寝をしている頃、ガイは大量のネズミを袋に詰めていた。
お客さんに見えないように宿屋の裏口に袋を置いていると、水を汲みに来たカールがそんなガイを不思議に思い、話しかけた。
「兄貴、これなんですか?」
「害獣だな。」
ガイはそう答えると、袋の口を開いた。
カールは袋の中身を見てぎょっとした。
「うわっネズミじゃないっスか! こんなにたくさんどうしたんですか?」
「トラ公が駆除してくれたんだ。すごいだろ、さすがうちの猫様だ。」
ガイは誇らしげに言った。
「トラ公すごいっスね。……でも、宿屋にここまでネズミがいるとは想像してなかったです」
「やっぱりそう思うよな……」
カールは梨紗を褒めるも、ネズミの数が多いことがとても気になっていた。
ガイもカールと同様に、チベットスナギツネの表情になるのだった。
その後、ステラとシーナにもネズミのことを話すと、二人とも驚いた後、
「トラちゃん、お手柄じゃん!」
「店長、もうご褒美あげました?」
と言って、梨紗の活躍を喜んでいたのだった。たくましい。
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