【mgb-cs-rm302-   -】

 「またか....」傭兵がひどくバツの悪そうな顔で言った。M4A1の銃口でその物体をひっくり返した。日焼けした顔には無数のしわがあり、そのしわが深さを増し険しくなる...他にも数体の死体が転がっていて、煙が上がり中継地は壊滅していた。


 幾つかの物資も燃やされ、紙媒体のなにかが燻って舞い上がっている。汗腺から汗が出続け傭兵はポリエチレン製のボトルを潰して水を飲んだ。


 どうした?後方から声がして、「見た顔だ」と返す。そして軍用対話型無線機で状況報告を行った。「悪趣味が過ぎるぜ」傭兵は自身のカーボン製のネック・ガードに手を置いた。次世代型ボディ・アーマーには手りゅう弾やカートリッジがポーチに収納されている。


 「恐らくスクイーズだ」傭兵がそう言うと、仲間が救世主をこき下ろした。どうやら神への冒涜は人間同士の殺し合いでは収まらなかったらしい。今度は拡大解釈されて、自分たちの世界への侵食が開始されたのだ。


 2人で周囲を警戒し、安全を確保すると近くで野営することにした。レーションのパサつきを現地で購入した日持ちするソースと一緒に食べる。その後今日の最終的な報告に関係する内容をお互いに出し合い、すり合わせをし談笑した。


 早く家に帰って、家族と映画を観てビールとピザを食べてカミさんとヤッて寝るんだと笑った。写真を見せられ、カミさんにお前が死んだ報告をして少ししたら葬儀でデートに誘う予定だと言うと「お前みたいな友達がクソ野郎でよかった」とまた笑った。

 

 就寝前に傭兵が「HQに通達」と言うので、仕方なく命令通りに引き金を弾く。その後スクイーズは捕食した。顔が変わると、仲間と思っていた人間は先ほど転がっていた物体と同じ顔になっていた。自身が持っている無線機で通信を入れる。


 「状況更新、御光の導きがあらんことを」


 


 

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