第216話 手に入れたダンジョンを整備しましょう

「さて、ダンジョンボスは見事倒されたわけだけど……」

「はい、ママ」

「私はこれからダンジョンを乗っ取るつもりでいる。それからレミィに質問する」

「……はい」

「いえ、こういうのは先に訊いておいたほうがいいのかしらねぇ?」

「後でも先でも、どんな問いかけでも、私は覚悟を決めています!」

「と、お漏らしちゃんに言われてもねー」

「ひゃん!」



 私はパシンッとレミリアードの尻を軽くひっぱたいた。

 良い弾力。良い反発力。良い大きさと形。撫で回したい良い桃尻。

 ちなみに彼女のお漏らしは私の魔法で洗浄済み。半泣きで羞恥に悶える姿、ご馳走様でした。やはり女の子の一番の萌えメソッドは羞恥心だと思う。


 ふむ、そうだねー。


 マリーやアリサのときは洗浄後にオムツをつけてあげたなぁと思い出す。

 意外と癖になるのよね。幼女にオムツ。うふふ。

 私も幼女時は、寝るとき限定でオムツをつけることがある。

 だって私、実年齢がまだ……わかるでしょ?

 しかしレミリアードは18歳だとか。てっきり成人したての15歳辺りと思っていたが、違った。なんにせよ、さすがの私も彼女にオムツをつけようとは思わない。


 オムツは幼女に限る……ゲフンゲフン、大きいでつけるものではない。



「まあ、これからドンドン嗜好も変わるだろうし、わざわざ性癖を歪めるのもね」

「……はい?」

「レミィは吸血鬼1年生ってコト。吸血鬼として赤子も同然。おっぱい欲しい?」

「そんなぁ……いいのですか? 私、ドキドキしちゃいますぅ♪」

「ほーら、これ、絶対にダメなヤツー。乳首を舌先で包んでガチ吸いするヤツー」

「そりゃあそうですよ♪ ママ大好き♪ ぎゅー♪ おっぱい大好き♪」

「いやあ、まあ……しようのない子ねぇ。……吸いなさい」

「やったあ♪」



 ダメな子ほど、親としては可愛いものらしい。それが血脈上の子どもでも。


 以前にも触れたように、人が血を吸われて眷族吸血鬼化すると――

『抑圧していた願望や欲求が表面化』

 する場合がある。彼女の幼児返りもその現象の一つだろう。


 レミリア―ドは、私が露出した胸の乳首を口に含んで吸って悦に浸っている。

 なかなか舌遣いが上手いどうしよう、キモチイイ赤子にしておくには惜しいテクの持ち主であ愛玩物として傍に置いておきたい衝動に駆られるる。


 ……にしても、だった。


 聞くところ、この世界は貞操観念逆転世界ではなかったか。

 男が女らしく、女が男らしい世界。男はナヨっとしていて、逆に女はたくましい。

 確かに男の娘の概念もあるんだけど、大事なのはそこではなくて。


 レミリアードって、この世界では観念逆転で『女が男らしい』のだから……。

 彼女っていわゆる『この世界版の性同一性障害』なのではないか。


 ストレートに言えば貞操観念逆転版のオカマっ子。ヘナチン男になりたい女の子。


 ……。


 うーむ、やめよう。私はこれ以上考えるのをやめる。しつこいけど頭がバグるわ。

 今とか私、抱きつかれてレミリアードに乳首チュッチュ状態だからね。


 頭でもナデナデしてあげようかしら。

 甘える女の子って良いものだし。私の貞操観念観では、ね。

 たとえこの世界の通念では彼女がオカマっ子であっても可愛ければ問題ない。


 ルッキズム? そうだよ? 美とはそもそも、自然摂理に従ったパワーなんだよ?

 力こそ正義。自助努力をせよ。強きものはより強く、賢き者はより賢く、美しき者はより美しく。繰り返される破壊と再生は、永遠の黄金時代をもたらすだろう。



「……ダンジョンコアを制圧しましょう。用意している質問はその後にするわ」

「はい、ママ。……あん。してくれるなんて、嬉しい♪」

「やっぱりそうなるんだ? この世界ではお姫様が王子様を抱っこするのね」



 ひょいと、幼児返りした彼女を横抱きにしてスタスタ歩く。

 いざ、ダンジョンコア前。

 私はパチンと横抱きしつつもフィンガースナップする――制圧完了。


 何をしたかって?


 私の持つダンジョンコアを目の前のダンジョンコアへ転移させたのだった。

 そして、秒で制圧。

 私は、制圧したダンジョンを前に、レミリアードを立たせる。



「ママ?」

「はーい、これから質問タイムー」

「あ、はい」

「今、ダンジョンコアを通して調べたらね?」

「はい」

母親とその姉妹たちは、このダンジョンからもうすぐ脱出せんとしている」

「……はい」


「ダンジョン攻略者には有利な事実。ダンマスにとってはペナルティ。このダンジョンには、エレベーターが設置されている。地上1階から地下10階まで。地下10階を経由しての、地下10階から地下20階まで。地下20階を経由しての、地下20階から地下30階まで。これが最下階の地下50階まで続く。……彼女らは現在、地下20階の経由路を走っている。かなり手慣れた様子で移動が速い。……状況把握した?」


「……はい」

「さて、レミィ。あなたならどうする?」

「はい、ママ。捕えましょう。まずは捕えてから考えます」

「つまり殴ってから考えると」

「あ、はい。そんな感じです。虫の息でも生きていれば問題ありません」


「じゃあ、地下20階から地下10階へのエレベーターを使用不可にしましょう。加えて地下20階から地下19階への階段も使えなくしてしまって……と」



 私はそのようにダンジョンコアを弄ってダンジョン構造に手を加える。



「本当にダンジョンを乗っ取ってしまっているのですね……噂ではコアに触れると大変なことが起きるので決して触れてはいけないと聞いた覚えがあるのですが」


「資格を持たない者がコアに触れると、たいていの場合、呪い死ぬわよ」

「ほわぁ……」

「でも私はダンジョンマスター。すべてのダンジョンは私のために存在するもの」

「ち、ちなみにどのようにして昇降機や階段を使えなくしたのでしょう?」


「エレベーターは出力を切った。昇降口は壁でふさいだ。階段も壁で埋めた」

「なるほど! 確実に閉じ込めてますね!」


「まだ安心しちゃダメ。転移スキルや転移用魔道具、転移スクロール対策に魔術系統無効ゾーンを地下全体に再設定よ。念のためバックルームもすべて施錠」

「徹底的です!」

「そうねー。さてと、それでどうしようかしらね?」


「はい、私、ちょっと行ってきます!」

「あら、もう捕まえに行くの? まだダンジョン整備は途中よ?」

「ママ、何か素敵なアイデアがあるのですか?」


「レミィに一時的かつ限定的とはいえ、ダンジョン操作権限を付与してあげるわ」

「つ、つまり……?」


「ダンマス権限――魔王の権限をあなたに貸してあげるから、好きになさい」

「わ、私がダンジョンを弄って彼女ら憎いあん畜生たちを好きにしてよろしいと?」

「うふふ。そんな汚いセリフが自然と出てくるくらいだもの」


「ありがとうございます! ありがとうございます! ママ、優しくて大好き!」



 どうしてわざわざ私が復讐を助長する真似をしているかって?

 やられっぱなしじゃ、終われないでしょう?

 実の親に、お前は不要だからと人知れず殺されるって余程だからね。


 殺す覚悟があるのは、殺される覚悟がある者だけ。

 わが子を虐待したのなら、親やそれに関わった者は倍返しされても仕方ない。


 復讐に意味はない。だが復讐を遂げたら心がスッキリする。



「ではまず、エリア全体に毒を散布しましょう。それと酸素濃度を濃くしましょう」

「……なるほど、血流に毒を浸透しやすくする、と」

「それから暗闇にします。床に感圧式地雷を埋設します……足を吹き飛ばす程度の」

「……悪魔の兵器とも呼ばれる地雷を迷わず設置、ね」

「赤外線動体反応地雷も設置します。これは跳躍地雷です。殺さない程度の威力で」

「……うわぁ」

「あとはですねー」

「……まあ好きになさい。あなたは願った。私は機会を与えた。それだけよ」

「はい、ママ!」



 イキイキしているレミリアード。漆黒の虹彩に、混沌の炎が燃え上がっている。

 なるほど、これが漆黒の意志というものか。

 私はこれに善悪をつけない。

 それだけのことを彼女の実母と姉妹たちはやらかしているのだから。


 私は想像魔法『EL・DO・RA・DO』で玉座を作り、そこに座して目を閉じた。




【お願い】

 作者のモチベは星の数で決まります。

 可能でしたら是非、星を置いて行ってくださればと。

 どうぞよろしくお願いします。

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