第210話 幼女王国 ロリしかいない国

 300あるアストロスフィア世界=一つ一つが独立した宇宙の制圧は一段落した。


 そこそこ間が空いちゃったけれど――

 女王アベルがしっかり管理しているはずなので大丈夫かな?


 何がって?


 アストロスフィアの奇蹟の力と私の想像魔法で創造した愛すべきゴーレムたち。

 その惑星――地球に似た水の惑星、エメスの管理状況についてだね。


 とはいえ他神族の惑星襲撃事件の一端で、以後、生産されるゴーレムがことごとくロリスタイルになっているのは私は既に知っているのだった。

 

 侵略してきた神々を殲滅するとき、彼らに姿を見られちゃったのがね……。


 凄まじいのは既に生産されたゴーレムたちも、改造(この世界的には一種の整形扱い)してちっこくてずんどうな幼女タイプのゴーレムになっていることだった。


 由々しき事態である。こんなの造物主としては頭を抱えるわ。


 いや、でも。彼らのムーブメント、これってもしかして……。

 乗るしかない、このビッグウェーブに。

 みたいな感じなのかしらね? 一過性の流行りだと良いのだけど。


 ……なーんて、無理よね。


 以前も言ったように子は親の、人は神の、民衆は王侯貴族の真似をしたがるもの。


 私と彼らゴーレムの関係だと――


 被造物ゴーレムたち造物主わたしの、せめて姿だけでも真似たいと願うそういう気持ち。

 それは本能的なもの。遺伝子レベルで組み込まれている行動規範。

 しかたないといえばそうなんだけど、イマイチモヤモヤするのもまた否めない。


 でも、あるいはもしかしたら……。


 私は単身、ドキドキしながら惑星エメスの天空神殿へと降っていく。


 どうか、流行が落ち着いていますように。ロリゴーレムも悪くはないけどね……。


 ……うわぁ。


 先に結論を語れば、ダメでした。悪化していました。むしろドン引きしました。


 あまりにアレ過ぎたので、動揺を鎮めるためにもいくばくか時間ときを戻します。


 とまれ、私は如何にも天界っぽい雰囲気の天空神殿へと降り立ったところから。


 ちょっと300あるアストロスフィア世界の、そのまた数万の知的生命体惑星の管理神を制圧するために自分が管理する世界のそのまた惑星から席を外していたが、この神殿自体は特に変わり目もなく、相変わらずの驚く白さを保っていてホッとする。


 ところで、皆さんは天界のイメージはどんなものを連想しますか?

 私? 私はね、テンプレな天界を是としているからねー。


 まず空の上に住居が構えられていること。いわんや、某ラピュタ城である。

 白い無垢な建造物群が建っていること。造った神殿なんてツヤツヤの白さだよ。


 余談になるけど古代ギリシア神殿は白の建造物のようで、実は、当初は赤や黄色の原色塗料が塗られていたそうだよ。それが経年で剥がれたとかなんとか。


 続き。天使たちがいること。男性でもあり女性でもある、美形の神の使いである。

 神さまはハゲ老人でちょっと頼りない雰囲気と思いきや、神さまだけに有能で。


 あー、そうだ。天使たちだ。そうそう、私の天使ちゃんたち。

 雑務一般をこなすための、いわゆる使たち。それが使



「……ますたー?」

「ますたーだ!!」

「ますたー、ますたー!」

「わたしたちのますたーがかえってきたよ!」

「ホント? そのウソホント?」

「ホントホント!」

「わぁい!」

「ますたー! ますたー! あそんであそんでっ!」



 天空神殿に降り立ってしばらくもしない内に、私は天使たちに囲まれてしまった。

 大歓迎モードである。

 黄色い声と表現するしかないような、乙女の歓声を聞くのだった。


 見た目が女の子で、しかしおちんちんが『ツイ☆テル』男の娘な天使たち。


 うわーっと一斉に囲まれて、歓迎されすぎてもみくちゃ寸前になる。

 まるで、そう。

 事情があってしばらく会えなかった飼い主の登場で、喜びテンションが天元突破したゴールデンレトリバー集団みたいな感じ。嬉ションもしそうな勢いで。


 並の美少女程度では存在が霞んでしまうほど可愛い男の娘天使たちが、私にわんこムーブしてくる。尻尾がついていたら振り切れるほどまとわりついてくる。


 興奮し過ぎて大体の子たちの股間が硬くなっている。

 といってもお子さまおちんちんなのでおっきしても可愛いんだけどね。


 いずれにせよ――


 普通の男女だったら確実に性癖が破壊されること間違いなし。

 だってことごとく天使たちは美少女――ではなく、愛らしい美少年ばかりだもの。


 だが残念ながら私は見た目が3歳児のちっちゃい女の子。性癖はこれまたちっちゃい女の子が大好きであった。ゆえに男の娘による性癖破壊は私には無効だった。


 私にとって男の娘はラブではなくライクなのだ。

 ヤることだって、些少、色んな意味でイタズラする程度である。

 ちょっと股間の白いエキスを抜(18禁規制発言につき検閲削除されました)。


 ちなみに以前も言及したように、彼女ら……じゃなかった。彼らは下着をつけずに白のローブを着ているものだから下から覗けばおちんちんが丸見えである。


 だからどうした、なのだけどね……。


 おちんちんランド開演の折、エレクトリカルパレードもかくやの大騒ぎの中。

 1人のおちんちん女の子――男の娘が前に進み出てきた。


 アリエルだ。この世界の、始まりの天使。

 唯一、まともに名前をつけてやった、天使たちの中では最強の。

 アリエル直下の一応名づけた四大天使たちなんて『イチゴウ』『ニゴウ』『サンゴウ』『ヨンゴウ』だものね。扱いのレベルが違うことに注目してほしい。



「マスター。うう……ぼくのマスタぁ……御降臨を一日千秋の想いでお待ちしていました……っ。ホントに、ずっと、ずっと待ってました……っ」

「あらら。アリエル、久しぶりにゃー」


「しばらくお姿が見れなくて、ぼく、さみしくて、ずっと……」

「シコシコしてた?」


「してません!」

「みゅっ? そなの? 意外かも?」



 まあね、この子、心は女の子だからね。えっちな女の子でもあるけどね。

 性の多様性なんだねー(普通に間違った使い方)。



「あとでよーく可愛がってあげるにゅ。ただその前に報告を聞こうかにゃ?」

「はい、マスター。ああ……くんくん……マスターの香り、安心します……っ」

「おっとと、お前が一番甘えんぼだねー。まるでわんわんだね」

「くぅん……くぅん……」

「よしよし。……それで、報告は?」

「地上は、その……混沌に満ち溢れています」

「あ、うん。全部察したにゃ……」



 やっぱりかー。そうかー。やっぱりそうなるかー。

 確認するのが怖い。もう絶対アレでしょ。ゴーレムすべてロリ尽くし。


 でも確認しないわけにはいかない。だって私が最高責任者だから。


 神殿内に入り、ぞろぞろと男の娘な天使たちを引き連れて。

 よくよく考えたら逆ハーレムなんだよね。見た目女の子の男の娘たちだし。

 まあそれだけの話なんだけれども。ちっちゃい私に逆ハーレムとかわけわからん。


 とまれ、ソファーに腰かけて、パタパタと天使たちがモニターを準備するのを待つ。お茶が出てくる。お菓子も出てくる。そして天使たちにガッツリ囲まれる。


 逆ハーレム状態。


 用意が整ったので、スイッチオン。


 絶句。


 ゴーレムたちはすべてロリになっていた。


 それだけではない。それはもう知っている情報。ロリゴーレムは承知している。

 違うのだ……違うのだ!

 ど、どう言えばいいか……さすがに狼狽えるわ。

 ほとんどポルナレフ状態。

 あえて言おう。ありのまま今起こった事を話すぜ、と。


 私は彼女ら(?)ロリゴーレムたちをモニター越しに観察する。



「人工皮膚と人工毛髪でも開発したの……?」



 要するに。


 見た目が3〜10歳児な幼女ばかりが街を闊歩しているのだった。

 わかりにくい?

 ぱっと見ではゴーレムには見えず、ヒューマン族的な幼女たちがいるの。

 私が普段着ている深紅のドレスっぽい服装がゴーレムたちのトレンドらしい。

 それもたくさん。むしろ全員。総ロリゴーレム。見た目はみんな幼女なゴーレム。


 もはや幼女王国とでも表現すべき。


 雄型も雌型もなく。


 全部ロリ。狂いなくロリ。正しく狂ってる。狂気しかないわ。狂気の祭典。


 どれくらい狂ってるかって、前世に動画で見たスーパーのレジ接客コンテストくらい狂ってる。わかりにくい? ググって動画を見ると死ぬほど納得すると思うよ。


 しつこいようだけど、住民のすべてが3歳幼女から10歳女児あたりのロリ。


 アリエルが混沌に満ち溢れていると表現したのが納得以外の感想が出ない。


 混沌の顕現体である私ですらSAN値が直葬されそうなのですが……。


 あっ。


 一人だけ大人っぽい女性がいる。といっても年嵩は18歳くらいかな?

 しかも微妙に大人モードの私に似ている。赤髪で赤眼の、私に似た雰囲気の女性。

 明確に違う点は胸の大きさくらいかな。彼女は大変スレンダーだった。


 はて、アレは誰だろう?



「あの一人だけ大人っぽい女の人……うみゅ、ゴーレムは誰なのにゃ?」


「アレは女王アベルの外出用デバイスですね。あの子ったらことさらマスターの大人モードに憧れを覚えたらしく、真っ先に人工皮膚と植毛技術を開発し、そのうちに生体皮膚と生体毛髪まで昇華、ゴーレム素体にコーティングを始めたのです……」


「まさかのアベル。攻殻機動隊の義体生体錬成みたいなのを開発したと」

「攻殻機動隊が何かはわかりませんが、マスターのおっしゃる通りだと思います」



 あー、もう。たしかに独自の進化は遂げているっぽいけどさ。

 思っていたのと違うのよね……。

 違う、そうじゃない。

 私は某氏のあのポーズをすちゃっと取る。周りの天使たちもそれを見て真似る。


 あー、うん。まあね……。


 悩んでいても仕方ないのでアベルに念話で話しかけてみようかな。

 考えようによっては一生懸命改善を考えては実行していると取れなくもないし。



『アベル……アベル……にゃあの可愛い子』


「あっ、神さま! お久しぶりです!」


『しばらくぶりだけど、ずいぶん頑張ったみたいにゃー?』


「はい! ワタクシ、すっごく頑張っちゃいました!」


『その努力。その研鑽。創造主(造物主)として認めないわけにはいかないにゅ』


「ありがとうございます!」


『にゃあ……何か必要なもの、あったりする?』


「それは、願いごとと捉えても、よろしいでしょうか」


『まあ……うん……頑張っている子にはご褒美をあげないとね』


「で、では今一度、今度は間近で、御本尊にまみえたく……っ」


『そうきたかー』


「ダメでしょうか……?」


『うーん、ちょっとだけだよ。他の子たちには見せないからね』


「ありがとうございます! ありがとうございます!」



 念話通信終了。



「マスター、これは大丈夫なのでしょうか……?」

「ここまで来たら半端な対応は逆効果。トコトン突き詰めさせてやるしか」

「た、確かにそうかもしれません……」


「見た目が幼女のゴーレム。よく出来ているにゃ。ただ、あと一歩、足りないのよ」

「ごめんなさい。ぼくにはマスターのおっしゃる、至らぬ点が判りません」


「不気味の谷って知ってる?」

「いえ、初耳です」


「不気味の谷とは、人々は自分たちヒトのような姿かたち、性質などを持ったそこそこリアルで疑似的な『ヒト』には好感を抱きやすいんだけど、でも、あまりに写実的で『ヒト』に近づけすぎると逆に不気味さを感じるようになる現象を指すの」


「つまりその不気味に感じる辺りを『谷底』の『谷』と?」

「その通り。賢い子は大好きにゃ」


「くぅん♪」


「アベルの作るロリっ子はよく出来た現行モデルだよ。でも、ふとした瞬間に違和感を受ける。たとえば表情の作り方。たとえば話し方。たとえば歩き方など……ね」


「マスターの洞察力は素晴らしいです」


「たぶんアベルも、あの子は特に頭が良いからね。その辺りの違和感にはもちろん気づいての申し立てだと思うのにゃ。より完璧な造物主レプリカを作りたいと」


「ふむふむ」


「頃合いを見計らってここに喚ぶかなー」


「神殿に? よろしいのですか?」


「アベルは本来的な意味での巫女だからねー。巫女とは、神の近くではべるのが仕事。で、まあ……アベル1人を特別扱いするのにも理由があって、黎明期の支配者として必要だからにゃのよね」


「なるほどー」


「というわけで、適当に日時をあらためて喚ぶにゃし。あの子のまつりごとを補佐する優秀な部下も育っているだろうし、良い感じに政治利用するでしょ」


「はい、マスター」



 話は終わった。

 さて、それはそうとして。


 私はアリエルの身体をするりとまさぐった。この子はこの子でご褒美待ちなのだ。ダンマスとして――支配者として配下に褒美を下賜するのは当然であった。



「にゃふふ。それじゃあアリエルを可愛がっちゃおうかなー」

「実は、今か今かと待っていました。マスター。優しくいぢめてください……っ」

「ホント、お前はいい子だにゃあ。ヨシヨシしてあげるー」

「あんっ、ぼく、お褒めのお言葉だけで嬉し過ぎて妊娠しそうです……っ」



 おっと、ここからナニをするかはお察しくださいとしか言えませぬ。

 淫魔特性ギンギンなのだった。

 ヤるからには私もとことん可愛がるから。ウホッ、いい男の娘。


 でもマリーがいないとやっぱり物足りないかも。早く一緒に遊べたらいいのにね。




【お願い】

 作者のモチベは星の数で決まります。

 可能でしたら是非、星を置いて行ってくださればと。

 どうぞよろしくお願いします。

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