第153話 間話前編 淫魔侯爵エイロス・ド・ケスべイは悩んでいた

 私の名はエイロス・ド・ケスベイ帝国侯爵。またの名を、淫魔侯爵。


 淫魔と夢魔は一見すると別種族のようで、実は根本は同じなのです。

 好む『淫』へのアプローチがフィジカルなものかメンタルなものかの違いで、本人の性向によって種族への名乗りを好きに変えているだけだったりします。


 われらがスレイミーザ三世陛下。偉大なる女帝。最強の魔帝陛下。

 フルネームでは――

 リリス・アスモデウス・スレイミーザ三世陛下。


 種族として、正しく『淫』を邁進する帝国最強の御方。

 その好みはメンタル傾向にあり、それがゆえ『夢魔』と種族を名乗られている。


 少女の悪夢が大好物で、年端もいかない少女の精神体を愛でつつ彼女らの悪夢をことごとく平らげる。なので少なくともこの帝国の幼女・少女は悪夢を見ない。ついでに他の者たちの悪夢も食べてしまうので帝国臣民は誰もが安眠を約束される。


 夢魔にとって夢の主の精神体を愛でつつ夢を食べるのは生命活動行為なのでした。


 更に加えると。


 メンタル方面でエロいことをするため、別世界では案件モノでも、いわば頭の中で驚きのロリ凌辱をしても罪にならないのと同じゆえ、多い日でも安心なのです。


 いや、私は一体何を呟いた……? 別世界とは……? はて……?


 ともあれ、われらが魔帝陛下は、婦女子でありながら女の子が大好きなのでした。


 ただこれは夢魔・淫魔ともにセックスフリーなので別に特筆することもない。同性でも異性でも、好きなものは好きなのだからしようがない。例え異種族であっても、それはそれで良いのであった。


 かく言う私も『男の娘』が大好物であった。ちんちんのついた女の子である。

 特に未熟なち『18禁検閲』したり逆にこちらが生やして『18禁検閲』したり、あるいは『18禁検閲』とか、色々と愛でるのは淫魔として歓びだった。


 精通直後くらいの歳の可愛い男の娘とか、もう、めちゃくちゃにしてあげたいくらい大好き。私じゃなきゃ絶対にイケない身体にしてあげるんだから……♪


 ああ、考えに埋没して乳首がピンピンに立っている。この敏感さが淫魔の特性。


 申し遅れましたが、私は細かい種族名で分類するならサキュバスとなります。


 私の見た目は――あえて好物の人類種で例えると、大体16~17歳くらいの少女でしょうか。このくらいの歳の姿を取ると、経験上、男ウケがよろしいもので。

 実年齢? それを聞いてどうするのです(怒)。真の姿、ババァじゃないですから!


 おほん。話がズレましたね。


 帝国においては、淫魔侯爵のエイロス・ド・ケスベイ。

 可愛いケスベイ侯爵ちゃんとも、可愛いエイロス侯爵ちゃんとも、お好きに呼ばれるとよろしいですよ――よろしいですのよ(強圧)!?


 さて、さて。

 前置きが長くなりましたが――今、私はノスフェラトゥ家の跡継ぎ、カイン・ノスフェラトゥ令息主催の夜会にお呼ばれしていまして。


 ノスフェラトゥ家は吸血鬼の血脈一族を束ねる強烈な力を持った帝国筆頭公爵家。

 わがケスベイ侯爵家にとっても、ものすごーく重要な一家なのでした。

 だって、公爵家の庇護の内に――要するに傘下に入っているから。

 同じ夜族として親しみがありますし、仲良くなるのは自然な流れなのですね。


 追記すると――

 ノスフェラトゥ公爵家、その傘下の筆頭がわがケスベイ家であります。


 しかし、まあ……。


 カイン公爵家令息は、人間の御年で言えば10歳くらいの姿をしておられて。

 夜会を開くにはちょっと早いかな、とか思ったり。

 いえ、われらがスレイミーザ三世陛下が強力にプッシュしているので、帝国における風聞にはなんら問題はないとは思うのですが……とか考えていたら。


 なるほど。


 こんな発表がありました。そのために『あえて』夜会を開いたのだなと。


 カイン・ノスフェラトゥ令息。デビュタントと同時に、小公爵発表をする。


 令息が公爵家の跡継ぎなのは帝国臣民なら誰もが知っています。たとえ顔を知らなくても。大事なのは、正式に後継ぎ発表をすることにありまして。


 これで令息――カイン小公爵はノスフェラトゥ家次期当主とおおやけに認知される。


 なるほど、なるほどー。


 少し早いようで、しかしこれはこれでめでたい。

 ぜひ彼に愛らしい女の子の服を着せて着衣のまま乱して色々と、いろんな部分をぺろぺろしたい……おっと、美少年を見ると、つい。ああ、でも、乳首がビンビンに。


 身体が火照ってきたので、テラスへ行ってクールダウン。


 誰にもばれないようにオ〇ニーしちゃおうかな。だって私、淫魔だもん。



「おばちゃん顔がだらしないにゃ。にゃあの大切なお兄ちゃんに懸想しちゃダメよ」

「だ、誰がババァですか――って、カミラ公爵家令嬢!?」

「ううん、おばあちゃんとは言ってないよ。お顔は随分疲れて見えるけどー」

「わ、私の姿をよく見てください。ほら、人間でいう16~17歳くらいの少女です」

「じろじろ、じー」

「じ、16歳ですからぁ……やっぱり、あまり、見ないでぇ……」



 子どもらしい容赦のない発言に一瞬ビキッとなりかけたが、すぐにしぼみました。


 ノスフェラトゥ公爵家の長女。カミラ・ノスフェラトゥ。


 ついこの間、一歳の誕生日をお祝いしていました。もちろん私も出席しました。

 見た目は、人類で例えるならば三歳児あたり。愛らしい闇の御子。真祖の吸血鬼の父と元祖の吸血鬼の母より生まれた奇蹟の娘。可愛いのです。無邪気に可愛い。


 言っておきますが、主家の娘だから強く出れない、というわけではないのですよ。


 何か畏怖を感じるのです。淫魔的に。この子はただ者ではないと。淫魔的に。



「手を貸してー」

「あ、はい。これで……よろしいですか?」

「にゃあ」



 私は言われるまま小さな令嬢に手を差し出す。クイッと握られた。子ども特有の湿ったような掌の感覚。これはこれで悪くない。むしろぺろぺろしたいかも。


 と、そのとき。



「にゃるほど、寝不足とストレス、それに伴う精の吸収率の低下が原因っぽいねー」

「な、なぜ……わかるのですか?」

「肌の保水状態と実際に触れた感じ。あと、魔力循環の具合、顔色とかかな?」


「……大人は苦労するのですよ。特に一族の当主は」

「魔力循環を整えてあげよっか?」


「え? いえ、そこまでは」


『嫉妬の権能』


「え? うわ? ……胸でっか!? 表情えっろ! 泣きぼくろスケベ過ぎ! だ、誰なの? 私……手を繋いでいる? で、では……まさか、御令嬢ですか?」

「そうよぉ。今から魔力循環を整えてあげる。ちょっと抱きつくわね」



 突如、三歳児幼女なカミラ嬢が、えっっっっろい大人型のカミラ嬢に変化した。



「あ、ちょ……そ、そんなエロい身体を私に密着させると……」

「ちょっとだけでいいから、静かにねぇ……?」


「あっ、あっ。キモチ良い……!? え、ちょ、いきなりイッちゃいそう……っ」

「静かにしなきゃ、ダメ。淫魔でしょ? これくらい耐えなさいな」


「そんなご無体なっ。ああ……イケないところをこの場でをいじりたいよう……っ」


「だーめ。全部終わってから化粧室に籠ると良いわ。きっと捗るわよぉ?」

「ひいい……っ」



 なんということでしょう(本日一度目)。

 エロの権化たる淫魔、サキュバスの私がイキたいのにイケない状態で我慢とは。


 そもそも魔力循環など他者が簡単にイジれるものではありません。が、大人モードのカミラ嬢はいともたやすく私の魔力循環不調を正してくれるのでした。

 吸血鬼は特に、魔力こそ本体と聞く。つまり、そういうことなのかしら。感覚で表現するなら、熟練の手による全身性感マッサージ。ああ、イキたい……。なのに我慢させられる。上がるボルテージ。滲み湧くイケナイアソコの、情愛潤滑液。



「……はい、これで整ったわ」

「ビクンビクン」

「あら……白目をむいちゃってる。これはダメね。休憩室に連れて行かないと」



 私は数万回の高ボルテージに負けて……あとで聞くには気を失っていたようです。


 性感度3000倍のアレ。対魔忍のソレ。肢体を指でなぞるだけでイク感じの。


 正気に戻ると休憩室に備え付けられたベッドに寝かされていた。裸だった。柄もなく急に恥ずかしくなってきた。淫魔なのに。もう、乙女のように顔を紅潮させて。




【お願い】

 作者のモチベは星の数で決まります。

 可能でしたら是非、星を置いて行ってくださればと。

 どうぞよろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る