第95話 トリュファイナの爛れた生活?
前回からの続き。ただし時はほんの少し前後いたしまする。
タイトルから予想される通り、少々センシティブな描写があるのでご注意を。
無事、アリサは聖女因子をモノにした。と同時にジョブ変更もなされた。
処女を失わず(処女性は失われたかもしれないが)、滞りなく儀式を終えていた。
……の、だけど。
その、アレなのよね。ちょっと彼女には刺激が強かったようで。
桃色吐息を繰り返すアリサは、私に抱きついて離れない。
彼女のピンクの髪の毛が私の鼻をくすぐる。小さな身体。見た目は十歳辺り、実年齢十五歳。ロリ少女。よく見たら両眼の虹彩がはぁとマークに。まさに淫ピ状態。
はふぅ、と甘ったるい嘆息が。これがまた気持ちを高ぶらせるエロい香りがする。
――神の密やかな声。
(ここだけの話。前話は主人公が
真相。
「お姉さま……もう……私を眷属咬みしてくださいぃ……♡」
「あなた、咬まれるのは怖いって言ってたでしょ。やめておきなさい」
「だって……私、もうお嫁に行けない。こんなめくるめく体験、妻になるしか……」
「いや、まあ……作中みたいなえげつない儀式以外には、もはやこれしか思いつかなかったから……。怖くなくて痛くもなかったでしょ? それでいいじゃない」
「これきりで終わるのなんて、嫌ですぅ」
「どうしたものかしらねぇ」
「あっ、お姉さまっ……お子様化して逃げないで……っ」
「嫌にゃー。ぴこぴこぴこー。にゃ!? つかまっちゃった!?」
「むしろそっちのほうが興奮するので幼女化お姉さまバッチコイなのですぅ!」
「ふみゃーっ!?」
私は三歳幼女に姿を変えて――
ピコピコサンダルの空中歩行効果でするりとアリサから逃れようとして失敗した。
抱きしめられてめっちゃ幼女吸いされまくったよ……。
でも、紆余曲折はあれど。
アリサのジョブは回復士――白魔道師の下位ジョブから特殊ジョブの聖女へ。
おめでとう……おめでとう……コングラッチュレーション……っ。(某帝愛黒服風)
聖女とは白魔道師(ヒーラー)上位互換、戦場指揮官(統率、能力向上有効範囲拡大)上位互換、祭司長(バッファー)上位互換というチートクラスとなる。
ちなみに魔女は――。
黒魔導師(魔術師)上位互換、精霊術師(サモナー)上位互換、ガンナー(射撃)上位互換、闇祭司(デバッファー)上位互換のチートクラスである。
もし仮にトリュファイナがゲーム主人公なら聖女と魔女の因子から『聖なる魔女』などと、清純系AV女優みたいな矛盾したキャラが生まれていたかもしれない。
私についてなんて、どうでもいいけれどね。
「にゃあ。あとは聖女となったアリサと、吸血鬼一年生のフォーリタインの訓練を始めたいのだけど……まあ、続きは明日なのよ。今日はもう十分にゃ」
「はーい、お姉さまー」
「はい、御主人様」
朝から色々と活動して現在はもう17時過ぎ。濃密な一日だった気がする。
秘密の部屋から出て当主部屋へ行く。順番は死神のサンズ(実はずっといてくれている)、私、アリサ、フォーリタイン、そして侯爵。召喚した護衛騎士が二体。
私は侯爵に目配せし、呼び鈴を鳴らさせる。
すると、シュタッと忍者の如く参上するメイドたちが2人。そして例のポーズ。
「「ヰーッ!(お待たせしましたッ!! 御用の
……うん。しつこいようだけどなんだろうね、コレ。
わりとみんな、現状を楽しんでない? ……そうでもない?
それともレッサーバンパイアって、元々からこういうのもなのかしら。
あと、この子たちは一体どこに待機していたかは考えてはいけないのでスルーで。
「食堂に夕飯を用意してー」
「「ヰーッ!(ハイヨロコンデーッ!)」」
「散。急ぐにゃー」
「「ヰーッ!(ハイヨロコンデーッ!)」」
シュバッ、と漫画やアニメの忍者みたいに消えるメイドたち。
というかなんでやるき茶屋っぽい返事なのよ。
さすがに準備の手間もあるだろうし、ゆっくりと食堂へ向かう。
ピコピコ、ピコピコ。幼児サンダルの音が廊下に響く。
途中、手を繋いでほしそうにアリサがモジモジと私のドレスの端を摘んで来たのでそのようにしてあげる。ぱっと花が咲くように笑顔になるアリサ。
主人公補正なのかめっちゃ可愛いわ。これはキュンとくる。なるほど、なるほど。
ぶんぶん手を振りつつ歩く。ぶんぶん。
「御主人様……」
「にゃあ。不埒なことにならないなら手を繋いであげるにゃ」
「無理です。嬉しすぎて絶対にエレクトします。そして男のミルクが出ます」
「幼女相手にお前のおちんちんは一体どうなってるのにゃ……」
「何でしたら後ろでも」
「いつかガバガバになっても知らんにゃ」
何の話かは深く考えないように。ほら、死神のサンズがドン引きしてる。
とりあえずフォーリタインとも手を繋ぐ。わかっているので股間部は絶対に見ないようにする。知らない方が幸せとはよく言ったものよね……。
まあ、外見からは今の私は二人に両手を繋がれたリトルグレイ状態だけど。あとピコピコ音。まさか二人ともが私にえっちい欲望でムラムラしているとは思うまい。
ピコピコ、ピコピコ。ピコピコピコ~。
食堂に着くとちゃんと夕食の準備が調えられていた。細長いテーブル。
へえ、皿の上にテーブルナプキンね。
私は一番奥の当主の座席に座る。実質上のエニグマ家の支配者なので。
アリサは自分の座席位置に逡巡を覚えているようだったので、本来なら真向かいに座わらせるところを私の右隣に呼び寄せる。そのまた右側に死神のサンズが座る。
左隣はフォーリタイン。侯爵は事務仕事でこの食事には参加していない。
そうこうするうちに
四角い白の皿にはエビフライっぽいモノのレモンソース掛けと、見た目は(あくまで見た目は)生ハムメロン、カブと柑橘類のマリネが行儀よく添えられている。
「ふむふむー」
「お姉さま?」
私は童貞血液とぶどう酒を割った食前酒をくぴりと口につける。
「どうやらここでの食事は、16世紀のイタリア料理に感化されたフランス料理っぽいにゃ。最初から大皿ではなく小皿で次々でる方式は19世紀以降と見る。あと、突き出しは日本文化を取り入れたもの。20世紀のヌーベルキュイジーヌかにゃ?」
「
「にゃるほどー」
ともあれ、食べる。
……まぁまぁ美味しい。私は再び血液のぶどう酒割りをくぴりと飲む。
公爵家のフォーリタインは慣れたもので、対して元子爵令嬢とはいえ10年来の平民生活の影響もあってかアリサは突き出しの時点で四苦八苦の様子だった。
助け舟を出してあげないといけないかな。
「身内で食べるのだからマナーなんて最低限守ればいいにゃ」
「は、はい。お姉さま」
突き出しで食前酒を嗜んで(実はこの血食こそメインなのだけど)、前菜に移る。
前菜はキノコのテリーヌ。
次のスープは黄金色のコンソメスープ。
ソルベは柑橘類主体の、練乳掛けシャーベット。
そして
うん、味は子牛だね。普通、骨周り肉は独特の臭味があるけどこれにはないし。
デザートはザッハトルテに酷似するけどなんか違うチョコケーキ。でも悪くない。
〆は
うん、そこそこ美味しかった。
我が家の食事のほうがずっと格上だし、そもそもパパ氏やママ氏、お兄ちゃんがいないのでどれだけ美味しいものでも『そこそこ』になっちゃうけど。
ああ……寂しいなぁ。パパ、ママ、カインお兄ちゃん。そしてマリー。
心から愛する、大切な人たちを想う。
こんなフザケた冒険とか、世界を焼き尽くして根本から無に還したいところだよ。
やらないけどね。今のところは。
それは最終手段だから。レベル4015万の自分なら決して不可能ではない。
……はあ。ホームシックになりそう。
食後、私は無言で席を立とうとする。
すると私の気持ちの沈み具合をアリサは敏感に感じ取ってきた。
「お姉さま、大丈夫ですか……?」
「うん。ちょっと今生の世界の両親と友人を思い出しただけにゃ……」
「あの、その。元いた世界について聞きたい、と言ったら怒りますか?」
「ううん、ちっとも怒らないよ」
「では、少しでいいのでお聞かせください……」
「……にゃあは世界二大大陸の片割れ、リーン大陸の大部分を支配するスレイミーザ帝国から異世界転移でここに来たの。にゃあは――カミラはそんな大帝国の三大公爵家、ノスフェラトゥの末妹。優しいパパとママとお兄ちゃんに会いたいの……」
「そう見ると、随分と幼い感じが」
「ニーチェにゃ。精神など肉体の玩具に過ぎないのよ。精神程度や性格は、宿る肉体に簡単に左右されるもの。でもそれに関係なく、幼い子どもには親が必要なのよ」
「わかります。私も今生の父様も母様も弟のアルくんも愛していますから」
「アリサ」
「はい」
「あなたとてもいい子。なのでこの世界を焼いて強引に終わらせるなんてしない」
「えっ、あっはい……えっ、世界焼却エンドの可能性もあるの?」
「むしゃくしゃしたら、にゃあが焼く。星ごとウェルダンにゃ」
「えぇ……」
「でも、それもね。非情になれないところがにゃあの弱点かもしれない」
「……」
「アリサがストッパーにゃ。アリサが生存する限り大丈夫」
「わたしが生きてさえいれば」
「にゃあ。それでも付いてきてくれる?」
「私はお姉さまあっての聖女。お姉さまの未来の伴侶。もちろん付いていきます!」
「同性結婚はしないにゃー」
「えぇー、女の子同士で結婚しましょうよー。それで毎日ベッドで愛し合うんです」
「……全方向えっち包囲網はじちょーするように。みゅっ。でも、ありがとうね」
「いえ、お姉さま命LOVEですので当然ですハァハァ♪」
「「というわけで……」」
「うん? というわけでって、何にゃ?」
「「えっちしましょう!!」」
「ふみゅっ!? フォーリタインまで!?」
「食欲を満たせば性欲です。多少の迷いは気持ちよくなれば」
「暖かい部屋、美味しいご飯、そしてえっち。事後に泥のように眠れば」
「「きっとスッキリしますよ!!」」
「えっ、ちょ!? 二人ともハモりすぎ!」
「どうか今度は大人モードになってください! 胸の谷間で甘えたいです!」
「わたしとしては今のままでも、むしろバッチコイです!」
「ええーっ!?」
「「イキましょう! イクときは一緒!」」
いや、なんでやねん。どうなってるねん。いきなり3
素晴らしい阿吽の呼吸で私は二人に抱き寄せられて寝室へ。
その後については、大体の想像の通りとなり……ませんでした。
とっさに想像魔法を使って強制的に眠らせたから。
新たな魔法名は『TEENAGE DREAM』。朝までノンストップ。よく眠れます。
私を想っての行動なので大目に見るけど、この身体、私のモノじゃないのよ?
はあ……ふう。とりあえず危なかったわ。人の身体を傷モノにするところだった。
【お願い】
作者のモチベは星の数で決まります。
可能でしたら是非、星を置いて行ってくださればと。
どうぞよろしくお願いします。
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