第80話 おとなはそのまま、こどもはBボタン
タイトルがビック東海のゴルゴ13かよっ、というツッコミはいつでも受付中。
幽体の私はワイズロード大公邸へとふわふわと向かう。
周囲一帯。おそらくは公国をすべて覆うくらいの規模で色欲の気が渦巻いている。チラッと人の住んでいる辺りを覗いてみると、案の定な状態となっている。
要するにスーパーエロエロ&痺れるような気配が蔓延しているわけで。
あえて例えるなら、大人の御休憩ホテルの一室でムーディーな音楽と淡いピンクのライト、そしてキングサイズベッド。風呂場がジャグジーになっていたり。
さあ、一発いてこますで! と、色々とヤル気満々なカップルが放つあの雰囲気。
……ナニをいてこますのかは子どもだからわからない。わからないのである。
「みゅう。桃色パワーがスッゴイの」
前世の記憶。誰だったか忘れたが、無駄に熱く語ってきた内容をふと思い出す。
『世界はエロで回っている』
生きとし生きし者の三大欲求は
それで、問題の大公邸……。
私は想像魔法『空の雫』のマップを頼りにしつつルナマリア嬢の部屋へ侵入する。
『みにゃあ……』
おっと、18禁世界ではありませぬか。まさかの……アナL……ううむ。
凄いものを見た、とだけ。
いや、待って待って。少しだけ触れておきたいかも。
下手に黙っていたら、とんでもないタイミングでポロリと言い零しそう。
攻め。ルナマリア嬢。on 魔力で拵えたらしい局部突起物。珍宝銀銀丸。
受け。アモル侯爵。in アックスホール。近い言葉でお茶に濁してご勘弁。
お兄ちゃん、そこ、違う穴! アッー!!! ふぁっ休さん!!!
なんでそっちの穴なのか。その理由は当人たち以外わからない。
とまれ、行為はどうでもいいとして、私はルナマリア嬢を想像魔法で鑑定する。
そりゃあもうエッロい表情ですわ。口は半開き。目つきは蕩けそうになっている。
女の子の上気しまくったエロエロ顔って、良いよね。うふふ。
さて、さて。
状態。大罪、色欲憑依中。幸せ歓び溢れる。アモル様、アッアッ……。
レベル。色欲憑依限定。対象との相性が良く、なんと約1億3000万。
ついでにアモル侯爵の方も見ておく?
状態。アッー。女の子に攻められるの幸せっ。ルナマリア嬢、アッアッ……。
レベル。約1万。
『……にゃあ。二人が幸せなら、それはそれで良し。南無阿弥陀仏〜』
なんとも言えない気持ちで背を向ける。今回の大罪は、情念を激しく燃焼させる作用が強い割に攻撃性は低い。嬢の腰の動きの攻撃力はモノスゴイいけどね。
まあ三大欲求だし、人の自然(?)な営みだしと適当に理由をつけて納得させる。
『でもこれって、どう対処すればいいんだろうかにゃー?』
本来なら私が相手になるはずだった。もちろん物理的にという意味で。
敵対しても、たとえレベルが1億差があっても、手段を選ばないなら勝てる。
今回なら特に、両手に電マでも装備すれば圧勝できそう。
しかし、どうやら異変を感じてルナマリア嬢の元へ駆けつけたアモル侯爵が私の代わりに相手になってくれていた。今回の大罪戦は異色のものなので助かったかも。
セクロスバトルだしね。交接部位はなぜかアナLだけど……。
『にゃー。みゅー。にゃー』
特に意味もなく唸ってみる。子どもだから、わからないのである。たぶん。
私も部屋に戻って、想像魔法でFCを作って
あの頃のニチブツはアレなクスリでもガンギマリしたかようなキ〇ガイアッパー系のゲームミュージックが特徴的で大好きだった。例えばマグマックスとか。
『いいや。アモルん侯爵に一任しちゃう』
私は自室に戻った。
そして、気持ちを切り替える。
私、現在進行形で幽体離脱しているのよね。これ、どうやれば戻れるだろう。
ビミョーに怖いけど、棺の中にいる(はずの)私の本体に重なってみようか。
などと考えていると。実は、惨劇はすぐ傍にまで来ていたのだった。
『にゃふっ。セ、セラーナたち。一体全体どうなってるの!?』
「「「「「「お嬢様ぁ、お嬢様ぁ。はあはあ、ぺろぺろぉ……ッ」」」」」」
なんとセラーナたちメイド隊が私の眠る棺に抱きついて唸っていた。その姿、まるで砂糖に群がるアリの集団のよう。もしくは立て籠もる施設に群がるゾンビ。
『ダメよ、それだけはダメッ。主人を想って心の中でオカズにするのは止めない。でもリアルはダメにゃっ。あああ……抱きついた棺の角に自らの股間を当ててコスコスするのやめるにゃ! カミラの大事な棺に何するにゃあ! もー、おばかー!』
もう、何やっているんだか。というか私の寝床が大ピンチではないか。
もしかして、詰んでない? 私の精神的なライフはもうゼロよ!?
『LOVE LETTER FROM A DEAD END』
咄嗟に想像魔法を新たに生成する。しかし発動はさせない。
とんでもなく嫌な予感がしたためだ。こう、色々と開放されてしまいそうな。
『アダムの林檎』
次に生成したのはこの想像魔法。前世C系の神話では蛇にそそのかされて、神がひた隠しにしていた真実を教える結果になったとされる禁断の果物である。
おそらく、これは『賢者タイム』の魔法ではないだろうか。
どんな乱れた精神でも事後は平静に戻るというような。アレは男限定だけど。
試しに使ってみようと思い、使ってみる。
「「「「「「ハァハァ。うっ、イクっ、ハァハァ……あれ? あれれ?」」」」」」
「セラーナたちのおばかー!」
「「「「「「きゃああっ!? な、何事!? ……お、お嬢様!?」」」」」」
ばこぉんっ、と棺の蓋を跳ね上げて私は飛び出る。吹っ飛ぶメイドたち。
「カミラの大事な棺にコスコスしちゃダメ!」
「「「「「「は、はい……しかしながら、気持ち良過ぎて……っ」」」」」」
「もー!」
「「「「「「申し訳ありません……」」」」」」
「棺をベッドから降ろして、みんな裸でベッドへ集合にゃ」
「「「「「「え?」」」」」」
「カミラも裸んぼになる。正気に戻っている間に、嗅ぎ貯めするて良いの」
「「「「「「お、お嬢様ぁ……」」」」」」
「大事な棺をコスコスされるよりはマシにゃ。さあ、存分に吸うにゃ!」
私はベッドで大の字になる。女主人として、下の者はきちんと管理すべきである。
……その身を削ってでも。まあ、私もモミモミペロペロするけどね。
その後、私たちはベッドで吸ったり嗅いだりぺろぺろモミモミした。
女の子同士の一次接触は良くあることだし、ちょっとアドバンスな百合百合しても別に気持ち悪くないでしょ? 美しさで言えば男より女の子の方が上だからねー。
念のためにもう一度『アダムの林檎』をセラーナたちメイド隊にかけておく。
そして、私はマリーの部屋へと向かう。
なんなら私が慰めてあげてもいいと思いつつ。
一応ノックする。コンコンコンっと。
反応はない。もしかして、疲れて寝たかも?
「……ァ……カミ……」
吸血鬼として聴力をフルに使う。微かに聞こえてくる。
これは、まだ自家発電真っ只中みたいね。私を想って毎秒100ワットの発電中。
「むー」
にしても慰めてあげても良いとは思っていた。が、いざ自家発電現場に突入となるとさすがに気が引ける。だってそうでしょ。見られるの恥ずかしいでしょ?
親しき中にも礼儀ありなのかなあと一瞬躊躇する。
一瞬だけだった。
はい、突撃。
霧化して扉の下の隙間からふぁーっと侵入。そしてアンアンしている彼女の真横でご対面。クロスアウッ。パジャマ蒸着ッ。私はマリーにぴょんと抱きついた。
「えっ……? えっ……? カ、カミラ……? どうして……?」
色欲の力で正気を失いつつも、その割にはわりとまともな反応が返ってくる。
「にゃー。楽しそうなので、カミラも一緒するー! むぎゅーって抱っこ!」
「えっえっえっ。で、でも。これって、その。えぇ……」
「マリーもカミラを抱きしめてにゃ! お互いの肌の感覚が気持ちイイにゃ」
「う、うん……っ」
おとなはそのまま、こどもはBボタン。
まあ、諸事情でBボタン一択だけど。
とても良かった、とだけ。
もちろん幼女同士の拙い
……マリーの魂が欲しく堪らないのは秘密。眷属化すれば、永劫に私のものに。
その夜は桃色吐息が公国中に広がり、またその年の妊娠率が爆高になったという。
『祝。大罪色欲は大満足の結果に終わり、カミラ・ノスフェラトゥの元へ帰属することへの承諾がなされました。これより先、あなたには敵側魅惑系無効、自らの魅惑系スキル効率極高が付与されます。また、眷属の忠誠心がより深く浸透し、これに付随して階級がワンランク向上いたします。例、平民級→従士級。子爵級→伯爵級』
私の眷属はミーナ一人だけなんだけど、既にあの子って王級だったりするし。
一体どうなるのやら。怖いような、楽しみなような……。
最後に、眷属のランク一覧を。下位と上位と例外の三種がありまする。
男爵級→子爵級→伯爵級→侯爵級→公爵級。
王級→???級→???級。
【お願い】
作者のモチベは星の数で決まります。
可能でしたら是非、星を置いて行ってくださればと。
どうぞよろしくお願いします。
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