第76話 ライブステージ設営&プリン・ア・ラ・モード
想像魔法『El・DO・RA・DO』の万能性に呆れる。
ホント、エネルギーの収支事情とかどうなっているのやら。
私はまずライブステージをデンと構えた。
土台の設営が済んだら次。
前世様式の照明装置、アンプなど音源制御装置一式、ヘッドマイク、スピーカー、楽器類、レーザーやスモークなど演出装置、電源とその制御機をセッティング。
別途に想像魔法『STAINLESS (K)NIGHT』で楽器演奏ゴーレム群を造る、あとは、そうね……少女風のゴーレムバックダンサーでも用意しようかな。
歌は主にアニソンをチョイス。ノリが良く明るい系の歌詞はアニソンに多いし。
曲構成をプログラミング――亜神気奇跡で強引に作ってゴーレムにインストール。
さて、さて。今回の私は特に忙しいよ?
ショーの鑑賞にはおせんにキャラメル。もとい、プリン・ア・ラ・モードを。
私はフリフリの白エプロンを装着し、亜神気の奇跡召喚で前世世界から材料と調理具をかき集める。そうして、これまた亜神気奇跡で速攻で蒸しプリンを作る。
トッピングのフルーツを切り分ける。メロン、モモ、マンゴー、イチゴ、バナナ、ミカン、キウイ、シロップ漬けチェリー。マカロンは出来合いを。クリームは生クリームとマロンクリームの二種類を。チョコソースも忘れてはいけない。
クリスタルの平皿――パフェグラスとも言うソレの中心にプリンを据え、フルーツ類とマカロン、花束で言うところのカスミソウの立ち位置で二種のクリームを。
ああ、そうそう。
プリンの上には生クリーム&シロップ漬けチェリーをちょこんと。これがプリン・ア・ラ・モードの鉄板トッピングなのよね。可愛いし、豪華さを演出できる。
飲み物は紅茶、コーヒー、ルイボス。温かいのも冷たいのも。ついでに、この世界にはまだないはずのクリームソーダなどもコッソリ配備。もろちんメロン風味で。
後ろで見ている学院女生徒たちには、ノーマル蒸しプリンに生クリーム&チェリーと紅茶を。全員分のプリン・ア・ラ・モードは作らない。特別感が薄れるからね。
しばらく大人しいなぁと思っていたアモル侯爵は、ほぼ百合姉妹化している眷属兼公爵令嬢のルナマリアちゃんの元で仲良くいちゃついていた。
なるほど彼女は魔神マオウ・ザ・ハクションの傍で固まっていた女生徒たちの一団に混ざっていたらしい。と言うより中心的人物として女生徒たちを護る位置にいたようだ。高貴なる者の務め=ノブリスオブリージュ、である。それも、私が来た時点で責任から開放されたと――吸血鬼としては私のほうが圧倒的に格が上だしねぇ。
というかさ。
侯爵は初め、私の今回の転移パートナーかと思ったらそうでもないようだった。まあ、好きに百合百合すればいい。恋人たちの親交を邪魔して馬に蹴られたくないしね。……でも今回だけだよ! あなたたちパパ氏の血筋での下僕なんだからね!
そんなことより、結局、セラーナたちとは探索中に出会わなかったのが……。
と思っていたら、憔悴しきった様子でセラーナを先頭に六人一組のメイド隊が、カミラお嬢様を見かけませんでしたかと私たちの集団へとやって来たのだった。
「セラーナ、セラーナ。ここだよ。わたしはここにいるよー」
「お、お、お嬢様……ですか? 随分大人に……? お、おっぱいでっかい……?」
「そこから攻めて来るかー。そう来るかー」
「いえ、分かります。今把握しました。お嬢様の良い匂いを感じます。できればその胸に顔を埋没させたいほど。ああ、しかし嬉しくも同時に残念でもありまする」
「この姿は一時のものだから、またすぐ幼女に戻れるからねぇー」
「そ、そうなのですか。よかった……」
セラーナが通常運転で安心する。彼女は幼女スキーである。男なら案件問題にしかならないが、女性ならまあ性癖はともかく社会的にはセーフといったところ。
「それよりも手伝ってくれない?」
「喜んで。まずはその柄も知れぬ美味を予測できるお菓子の配膳でございますね?」
「だねー。これはプリン・ア・ラ・モードっていうの」
「聞き初めの御菓子でございます」
「最初にゲストの魔神様方に神饌を。それからマリーと死神のサンズに。アモル侯爵とルナマリア嬢にもね。残りの女の子たちと教師陣には単体のプリンと紅茶で」
「はい、承りました」
「彼女達が食べ終わったら、頃合いを見て袋菓子を用意しているのでそれを大皿にテキトーに盛って出してあげて。やっぱり鑑賞系だとポテチかポップコーンよね」
「ええと、聞き初めの御菓子なのですが」
「そっちにプリン以下略を作るための材料と器具召喚ついでに取り寄せた異世界の
「開けるのを失敗すると開封者を爆死させると……」
「比喩表現よ。現物を見たらどういう意味なのかすぐわかるから」
「あ、はい。……承りました」
「その間にわたしはステージ衣装に着替えてっと。魔法少女っぽい感じで……ううん、せっかくだしクリー〇ィマミをリスペクトするべきかしらねぇ」
「ク○ーミィマミ……?」
エロ魔女とか散々な言われようの大人バージョンな私では、旧き良き昭和時代の慎ましやかな女児向け『魔女っ子』系統にそぐわないかもしれない。
オタクはね、結構お金を持ってるんだよ。
一桁女児は親にグッズを買ってもらわないといけないけれど、オタクは、特に20代30代の大きなお友達は欲しいものがあれば自前でガンガン買う。女児向けアニメ作品なのにグッズの購買年齢層のグラフが露骨にМの字を書くから笑っちゃうよ?
とまれ、お金は万能の願望器。
フェイトとか言う前に大金があれば大体なんでもできる。
嘘だと思うならお金なしで社会生活してごらん。逆に何もできないから。
私は舞台裏に移動する。
「まあ、なるようになるよね。ティラクルラミカルレミラミルー!」
クリー○ィマミと言いつつ、作品も時代も違うNHK10分アニメネタ使ってるやんけとのツッコミただいま受付中。でも私の中の魔女っ子はヤダモンなのよね。
レベル2100万というあり余るレベルで以って、亜神気にて衣装を変化させる。
奇跡の無駄遣い。
今の私なら死者ですらリスクなしで完全復活させられようもの。
そんなこんなで魔法の天使なマミさんっぽい薄紫の衣装になる。
これが黄色系統のマミさんだと、もれなく首がマミってしまうので注意。
もちろん高位の吸血鬼は首が吹っ飛ぼうと心臓に杭を刺されようと太陽光に晒されようと、たとえ聖遺物であってもほとんどダメージを受けないけれどね。
吸血鬼でも姿を映せる魔力鏡を作って、自らを映す。
「似合ってないにゃー。でもここからがあり余るレベルでの力こそパワー」
「わっちにはわけわからないです」
「あれ? 魔法杖くん、わたしについてきたんだ? いいの?」
「魔法少女にはパートナーが必ずいるものです。インテリジェントな魔法杖然り、マスコット然り、あるいは意思疎通できる小物類や、白がいれば黒の仲間とか」
「もしかして魔法の杖くんが今回の転移系でのパートナーだったのかな」
「何のことかはさっぱりですが、たぶん、違うと断言できます」
「その矛盾めいた発言の説明よろしくー」
「わっちは、魔法少女の小悪魔パートナーなのです。そもそも方向性が違います」
「なるほどー」
言いながらぐるぐると思考を巡らせる。
小悪魔、か。
持ち運びのできる悪魔。ポータブルタイプ。別に幼いから小悪魔ではない。
小さい悪魔で、小悪魔、か。
ふむ。
私は小悪魔に向けてニコっと微笑んだ。
それを見た杖の小悪魔は、ビクッと冷や汗を垂らした。
【お願い】
作者のモチベは星の数で決まります。
可能でしたら是非、星を置いて行ってくださればと。
どうぞよろしくお願いします。
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